企業にとってデータの価値が高まり、データベースの重要性が増す一方で、運用管理やパフォーマンスチューニングに関して「周囲に相談できる人がいない」と悩んでいるデータベース管理者(DBA)も少なくないのではないだろうか。そんな「ひとりDBA」の心強い味方となってくれるサイトが「DBひとりでできるもん」だ。同サイトの運営を行っている、システムサポート(STS) 東京支社 インフラソリューション事業部の山本典子氏と宮井聡氏に、このサイトを作った理由や、Oracle初心者がおさえるべきおすすめ記事を聞いた。

  • システムサポート 東京支社 インフラソリューション事業部 シニアマネージャー エヴァンジェリスト 山本典子氏(右)、同部 グループリーダー 宮井聡氏(左)

    システムサポート 東京支社 インフラソリューション事業部 シニアマネージャー エヴァンジェリスト 山本典子氏(右)、同部 グループリーダー 宮井聡氏(左)

今は「データの時代」と言われる。企業がITを活用してビジネスを行うのは、もはや当たり前。単にITを導入するだけでなく、多様なシステムに蓄積された「データ」をより高度に活用し、そこから新たな価値を生みだせるかどうかが、ビジネスの勝敗を分けるカギになるからだ。

この「データの時代」において、データを蓄積し、必要に応じて参照、活用するためのテクノロジーである「データベース(DB)」の重要性も、これまで以上に高まっている。企業の情報システム部門にとっては、DBの状態を常に健全に保ちつつ、求められるデータを、業務の要求に見合うパフォーマンスで滞りなく提供できる環境を作っていくことが、重要な任務のひとつにもなっているのだ。

――とは言ってはみたものの。実際に自分が置かれた環境を見回して「そんな無茶な……」と頭を抱えているDBAも多いのではないだろうか。情報システム部門には、ITによるビジネスへの直接的な貢献を求める一方で、合理化、効率化へのプレッシャーを強めている企業も多い。いくらDBが重要だと言っても、それを管理している担当者は、実質ひとりというのもよく聞く話。日々の運用管理を効率化したり、業務のニーズに応じてパフォーマンスを改善したいと思っても、周囲に相談できる人がいないこうした状況をどうしたらいいのか……。

今回、そんな思いを抱え孤軍奮闘している「ひとりDBA」の、心強い味方となってくれるサイトを紹介したい。その名も「DBひとりでできるもん」だ。

  • データベースをはじめとしたインフラ全般に関するあらゆる情報を配信する「DBひとりでできるもん」

    データベースをはじめとしたインフラ全般に関するあらゆる情報を配信する「DBひとりでできるもん」

見た目はポップでも内容は本格派、第一線のOracleエンジニアが執筆

過去に「DBの技術情報サイト」を使って調べ物をした経験がある人は、「DBひとりでできるもん」を開いた瞬間に、少し違和感を覚えるかもしれない。一般に、ITベンダーが作る情報サイトと言えば、難しい技術用語や英語が、色数の少ないページにみっちりと詰め込まれているものといったイメージがある。経験の少ない「ひとりDBA」にとっては、なかなかほしい情報にたどり着けず、敷居が高いケースも多いのではないだろうか。

一方、「DBひとりでできるもん」のメインカラーはパステルピンク。カラフルなトップページに一瞬、たじろいでしまう人もいるかもしれないが、ここはれっきとした「Oracle Database」に関する情報サイトであり、人気記事ランキングには「Exadata」「Oracle Net」「マルチテナント」「CDB/PDB」といった、Oracle技術者にとっておなじみの用語が並ぶ。

「DBひとりでできるもん」の制作と運営を行っているのは、システム開発、インテグレーション事業を行うSTSにおいて、主にOracle Database、Oracle Cloudを中心としたソリューションビジネスを展開する「インフラソリューション事業部」だ。

本サイトを立ち上げた意図について山本氏は、「インフラソリューション事業部には、Oracleに関して、非常に高い技術力を持ったエンジニアと、多くの魅力的なサービスがあります。それを、より多くの方に知っていただきたいと思ったのがきっかけでした」と話す。

  • インフラソリューション事業部の立ち上げメンバーでもある山本氏。最近は「ORACLE MASTER Cloud Oracle Database Cloud Service」資格を取得し、営業やマーケティング経験も豊富な同事業部の顔というべき存在

    インフラソリューション事業部の立ち上げメンバーでもある山本氏。最近は「ORACLE MASTER Cloud Oracle Database Cloud Service」資格を取得し、営業やマーケティング経験も豊富な同事業部の顔というべき存在

また、ポップな色使いや見た目には、あえてこだわったそうだ。

「これまでの技術情報サイトにはない雰囲気にすることで、ユニークさを際立たせたかったことに加え、Oracleのテクノロジーにそれほど詳しくないビギナーの方にも、身構えずに内容を読んでもらい、気軽にお問い合わせをいただけるようなサイトにしたいと考えました」(山本氏)

親しみやすさを前面に押し出した見た目だが、メインのコンテンツである技術ブログの内容は、初心者向けの読み物から、同社でシステム構築、運用、DB管理に携わっている第一線の技術者による高度かつマニアックなものまで、バラエティに富んでいる。

現在「DBひとりでできるもん」には、500本弱の記事が掲載されている。サイトの制作にも携わる宮井氏は「事業部のエンジニアは、本当に技術が好きで、自分が学んだことや、日々の業務で感じたことを積極的に記事にしてくれます。書き手がいなくて困ったことはあまりないですね」と話す。

  • インフラソリューション事業部のリーダーで、Oracle Cloud検証チームの責任者でもある宮井氏。Oracle Cloudに関する資格も多数所有し、社内からの人望も厚い

    インフラソリューション事業部のリーダーで、Oracle Cloud検証チームの責任者でもある宮井氏。Oracle Cloudに関する資格も多数所有し、社内からの人望も厚い