PCを持っている人なら誰でも、長く快適に使い続けたいと願うはず。しかし、高いスペックを求めるクリエイターやゲーマーの中には、パフォーマンスを追い求めた結果、「PCの挙動が不安定になってしまった」ということはないだろうか。

……実はコレ、「電源ユニット」に対する配慮不足が原因であるケースが多いのだ。今回は、PCの快適な運用に欠かせない「電源ユニット」について、解説していきたいと思う。

ハイスペック=消費電力大

ここ数年、ショップブランドのPCを購入する人が増え続けている。その理由は、コストパフォーマンスが高いことはもちろん、ラインアップが豊富で自分好みのマシンが選びやすいなど、さまざまな魅力があるからだ。特にクリエイター向けのPCやゲーミングPCなどは、ハイパフォーマンスな製品が手頃な価格で手に入るので大人気になっている。

もうひとつ、こうしたショップブランドの人気を支えているのが、「BTO(Build To Order)」でパーツの組み換えができる点にもある。例えば、基本モデルをベースにCPUやグラフィックスカードを強化したり、メモリを増やす、あるいはストレージを追加し、自分のニーズに合ったマシンを組み立てられるのだ。

ここでひとつ気を付けてほしいことがある。ほとんどの人がパフォーマンスを上げるためにBTOメニューでより高性能なパーツを選んでいくわけだが、それに伴って消費電力も増えていくという事実だ。

例えば、CPU内蔵グラフィックスで消費電力を抑えた400Wの電源ユニットを搭載したモデルの場合、260WのTDP(※)があるハイエンドグラフィックスカードを追加すると、性能は大幅に向上するが、電源ユニットが限界に近い仕事を迫られることになりかねない。

※TDPとは、Thermal Design Powerの略称で、「熱設計電力」のことを意味する。これは、CPUやグラフィックスカードに代表される半導体チップが、フルに動作している状態における設計上の最大放熱量を表し、PCの冷却性能を考える目安のひとつとなる。

もし、電源ユニットが能力の限界を超えたらどうなるか……。マシンが勝手に再起動を繰り返したり、高負荷の作業時に突然電源が切れるなど、マシンが正常に動かなくなる。

挙動が不安定になるぐらいならまだいいが、最悪、回路のショートや焼損といった事故にもなりかねないから厄介だ。これを回避するには、PCを構成するすべてのパーツに電力を供給している電源ユニットも、一緒にグレードアップする必要がある。