アウトドアウオッチにとって、「高機能/多機能化」と「小型/薄型化」という相反する要素を両立させることは、永遠のテーマではないだろうか。高精度な方位や高度の計測、LEDライト、ソーラー充電、電波受信、GPS……。搭載される機能が多くなれば、アウトドアで遭遇するさまざまなシーンで活躍してくれるが、一方で本体のサイズはどうしたって大きく、厚くなり、腕時計としての装着性が損なわれてしまうからだ。
カシオのアウトドアウオッチ「PRO TREK」(プロトレック)シリーズの歴史を振り返ってみても、まさにその両者を両立させるための試行錯誤の連続であった。そして、今年2018年5月に発売された最新モデル「PRW-60」は、ハイスペックな機能と大幅なダウンサイジングを実現した、現時点で“もっとも使い勝手のよい”PRO TREKだといっても過言ではない。
PRW-60の機能や装着性を試してみるべく、埼玉県中西部、奥武蔵の東に位置する日和田山へと向かった。日和田山は、標高305mと手軽に登れる低山ながら、広大な関東平野を一望にできるとあって、初心者に人気の山だ。
メンバーは、PRO TREKの開発者であり、登山ガイドの資格も取得したというカシオの牛山和人さんをリーダーに、マイナビニュース・デジタルの林編集長、カシオ広報担当の村田さんと柳原さん、そしてライターの私(谷山)という計5人。牛山さんと私以外の3人は登山初心者である。
みんながPRW-60を受け取り、手首に装着させた瞬間、まず感じたのは「すごくフィットするな」ということ。これまでPRO TREKの新しいモデルが出るたびにフィールドで使用してきたが、PRW-60の装着感のよさ、手首との一体感は圧倒的である。
その秘密は、現行モデルでは最小のケースサイズ(50.5×47.2mm)はもちろん、裏ぶたとラグ(時計本体とバンドを連結する部分)を一体化させた新構造や、柔らかなシリコン素材を使用したデュラソフトバンドにある。
牛山さんによれば、PRO TREKアンバサダーを務める登山家・山岳ガイドの花谷泰広さんも「PRW-60の装着感をかなり気に入ってくれている」そうだ。
牛山さん「花谷さんにはPRO TREKのアナログタイプの歴代モデルを使っていただいているのですが、これまでは1日の行動を終えてテントに入ると、少しでもリラックスするために腕時計は外していたそうです。ところが、このPRW-60は、春のヒマラヤ登山で使用してもらったときに『テント内でもずっと着けていました』とおっしゃっていただけたんです。嬉しかったですね」
小型化を実現した一方で「機能性や視認性はどうか?」と懸念される方もいるかもしれないが、さすがはPRO TREKと言うべきか、機能面やデザイン面での妥協はない。
PRW-60が搭載している機能は、高機能モデルとして人気が高い『PRW-6100』と同レベル。高精度の方位、高度/気圧、温度計測を実現する「トリプルセンサー ver.3」をはじめ、世界6局の標準電波を受信して時刻を自動修正する「マルチバンド6(電波受信機能)」、ソーラー充電システム「タフソーラー」、暗所での視認性を高める「ネオンイルミネーター+LEDライト」、液晶表示の視認性を確保する「針退避機能」など充実の機能を備えているのだ。