1995年、フランスの港町ナントで誕生した音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)。ネーミングそのままに、ヨーロッパの数ある音楽祭のなかでもっともエキサイティングな展開を見せており、2005年から東京でも開催されている。
今年(2018年)から装いも新たに生まれ変わったラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018に、カシオの電子楽器に触れられるタッチ&トライブースが出現。数多くの来場者で賑わいを見せていた。
ここでは、ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018池袋会場に設営されたカシオ特設ブースや、プロのピアニストによるミニコンサートの様子をレポートしよう。また、日本を代表するピアニストとして第一線で活躍されている近藤嘉宏さんに、カシオの電子ピアノ「CELVIANO Grand Hybrid」について伺った内容もお届けする。
老若男女、特設ブースからあふれんばかりの人
ゴールデンウィーク後半戦が始まった5月3日、東京の池袋駅ほど近くにある東京芸術劇場には、全国から数多くの音楽愛好家らが詰めかけた。ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018のカシオ特設ブースでは、電子ピアノでありながら、グランドピアノの打鍵感に近く、豊かな音色を響かせる「CELVIANO Grand Hybrid GP-500BP」、「CELVIANO Grand Hybrid GP-300」に加え、最新のAiX音源を搭載した電子キーボード「CT-X5000」を展示。
これらは自由に試奏できるとあって、老若男女を問わず、多数の来場者たちが触れ、その音色を確かめている姿が印象的だった。
「CELVIANO Grand Hybrid」に実際に触れた来場者からは、「音はもちろんタッチもグランドピアノみたい」、「グランドピアノを弾いているかのよう」といった声。クオリティの高さはもちろん、カシオが長年取り組んできた電子ピアノ、その結晶とも呼べる珠玉の1台に感嘆の声が上がっていた。
取材に訪れた5月3日、カシオ特設ブースで行われたミニコンサートには、日本を代表するピアニストの近藤嘉宏さん、アクロバティックかつダイナミックな演奏で観る者をトリコにする、伊賀あゆみさん&山口雅敏さんのピアノデュオが出演。筆者は近藤嘉宏さんの演奏を聴くことができたが、会場(特設ブース)は立ち見も含めて大変な人の密度だ。近藤さんが紡ぎ出す「CELVIANO Grand Hybrid」の調べに聴き入っていた。
ミニコンサートでは、近藤さんも高く評価している「CELVIANO Grand Hybrid」で、『月の光』(ドビュッシー)、『別れの曲』(ショパン)、『革命のエチュード』(ショパン)、『愛の夢 第三番』(リスト)を演奏。詰めかけた音楽ファンの心に染み入るピアノの音色を届けた。
演奏の合間では、近藤さんが愛してやまないC.ベヒシュタインのピアノについて、「透明感があり明るく、音が重なっていてもすべてハッキリ聞き取れる」と、その魅力に触れる。が、実は日本国内では、C.ベヒシュタインのピアノはかなり少ないそうだ。
そんな折り、カシオとC.ベヒシュタインの共同開発によって誕生した音色「ベルリン・グランド」を持つ「CELVIANO Grand Hybrid」に注目していたとのこと。
『月の光』『愛の夢 第三番』では、その「ベルリン・グランド」音色で演奏したが、「CELVIANO Grand Hybrid」には他にも世界で名だたるピアノの音色が搭載されている。『別れの曲』は、柔らかく美しい至福のピアニッシモや、重厚で落ち着いた音色が特徴的な「ウィーン・グランド」で、『革命のエチュード』では迫力と力強さの筋肉質な音色が特徴の「ハンブルク・グランド」で演奏した近藤さん。それぞれ特徴的な音色の個性を、情感たっぷりな演奏で示してくれた。