登録にはパスポートの番号が必要
さて、フルMVNOについての解説はこれくらいにして、実際にJAPAN TRAVEL SIMを使ってみよう。種別としては事前に容量分の金額を払って購入する「プリペイドSIM」となり、1.5GBと3GBの2種類が販売される。どちらも容量の有効期間はアクティベーションしてから30日までだが、データ量を追加すると有効期限が延長される。追加が必要であれば、ネットで追加の容量/期間を購入できる。また、データ通信専用で、音声通話やSMSは利用できない。訪日外国人向けの製品ではあるが、別に日本人が購入して利用してもかまわない。ただし、登録時の個人認証としてパスポートの番号が要求されるので、あらかじめ準備しておこう。
内容はSIMカードのほか、取扱説明書やカードにチャージ(入金)することで電話発信ができたり、データ通信容量の追加購入できるBrastelのプリペイドカードなど。購入したら必ず中身を一度チェックしておこう。台紙が屏風状になっているのはJAPAN TRAVEL SIMの伝統。取扱説明書は日・英・中国語(繁体、簡体)、ハングル、タイ語表記が用意されており、内容も平易でわかりやすい(スマートフォン側の操作が煩雑なのは仕方がない)。
SIMカードは前述のとおり、1枚で標準SIM、microSIM、nanoSIMの3サイズに対応できるタイプ。このタイプは最近、NTTドコモやソフトバンクの訪日外国人向けプリペイドSIMでも使われだしているものと同等なようだ。自分が使いたい端末に合わせて折り取って使用しよう。
挿入後は「APN」設定をするだけ
あとはスマートフォンのSIMトレイを外し、SIMカードを挿入すればいい。続いて電源を入れ、システム設定から説明書に書いてある「APN」を入力する。あとは一度端末を再起動し、専用サイトに接続してSIMカードの有効化を行うことになる。
アクティベーションが完了すれば契約完了。登録した利用開始予定日(※)から利用できる。ちなみに設定が終わると、アンテナピクトに「IIJ」の文字が表示され、通信が可能になる。ここが「docomo」ではないところがフルMVNOの証なのだ。
※LTE接続を確立するには時間がかかることがあります。
注意点としては、無線ネットワーク部にはNTTドコモの回線を使用しているが、通信事業者としてはIIJが認識されているため、ドコモのSIMロックがかかった端末にSIMを挿しても認識されない点だ。利用には、あくまでSIMフリーの端末が必要になる。この点について、本来のターゲットユーザーである訪日外国人は、そもそもドコモ用端末は持っていないであろうことから大きな問題にはならないが、日本人でJAPAN TRAVEL SIMを使いたい人は注意してほしい。
気になる通信速度だが、ネットワーク的にはIIJmioと同じく、ドコモ回線を使ったMVNOサービスだ。つまり、フルMVNOだからといって特に高速ということは残念ながらない。そのため、時間や場所によっては若干遅く感じる場合もあるだろうが、日常使いには遜色がないレベルだといえる。
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大きな話題をよんだIIJのフルMVNOサービスだが、「日本人が日本国内で利用する」という観点では、今のところアンテナピクトに表示される「IIJ」の文字が楽しめるということ以外は一般ユーザーが使用するメリット(?)は見当たらない。ただし、本来のターゲットである訪日外国人向けとしては、設定が少々面倒な点はあるにせよ、よくまとまって使いやすいパッケージになっている。外国からのお客様が来た時などは、事前に用意してあげれば喜ばれるだろう。
一方、日本国内向けとしてはSIMフリー端末さえ用意できれば日本国内向けのプリペイドSIMとしては普通に使えるし、今後は音声需要に応えるプランやIoT機器での利用等、さまざまな形で利用の幅が広がっていくはずだ。まず現時点では、数年をかけて辛抱強く交渉し続け、フルMVNOを実現したIIJの心意気を感じながら使うというのがマニアの正しい姿というものだろう。
なお、「JAPAN TRAVEL SIM」の購入可能店舗については、以下のバナーよりチェックしてほしい。
[PR]提供:IIJ