カシオの新タフネスカメラブランド「G'z EYE(ジーズ・アイ) GZE-1」が、いよいよ発売。そこで今回は、GZE-1開発スタッフから商品企画、デザイン、アプリケーションの各分野におけるキーマンである、カシオ計算機の是木卓氏、神出英氏、高山喜博氏に集まっていただき、それぞれの視点から、G'z EYE、GZE-1というテーマにどう取り組んだのか、また、今後の展開まで、その熱い思いを語っていただいた。

「前編」では、開発背景や、デザインする上でのこぼれ話などを伺ったが、今回の後編では、高山氏を混じえ「GZE-1」のタフネス性能の秘密や、世界観を踏襲したスマホアプリについて、より深い話をうかがったので、インタビュー後編として、その模様をお届けしたい。

⇒前編はこちら

従来の常識とはかけ離れた"新しいレベル"のタフネス

――落下時は衝撃を緩衝するためにバンパーが凹みますよね。その凹みの量も考慮しないと、レンズを守れない。この調整は大変そうですね……。

是木氏:「耐衝撃性能に関しては、かなり苦労しました。他メーカーも含め、従来のタフネスカメラは、カメラ単体でせいぜい2m落下の耐衝撃と、30mの防水性能でした。ところが、G'z EYEは4m落下と50m防水。この数字は、従来の常識とはかけ離れた"新しいレベル"なんです。

新しいレベルへの挑戦なので、既成の答えがありません。とにかく落としては修正、落としては修正を何度も繰り返しました。ただ、そればかりでは時間と費用ばかりかかってしまいます。そこで、落下シミュレーションも導入して実験と修正を重ねました。

しかも、衝撃によって生じる問題は複数あって、それらは密接に繋がっていることが多いのです。ひとつ解決すると別の問題が発生したり、そこを直すと前に直した箇所がダメになったりと、まさにイタチごっこ。それらを設計部門が、シミュレーションと経験と地道な落下実験によってクリアしていきました。その積み重ねによって、突出した耐衝撃性能が実現できたのです」

新しいレベルのタフネス性能(G'z EYE発表会より)

――もうひとつのタフ要素である「防水」も大変そうですね。先ほど「ハウジングなしで」というお話もありましたが。

神出氏:「防水の機構は、G-SHOCKを参考にしながら独自の機構を採用しています。例えば、ボタンをG-SHOCKよりかなり大きくデザインしたかったので、設計部門と相談して仕様を決めました。あと、時計と大きく違うのは、開閉箇所が多いこと。SDカードや接続端子、バッテリーなどのベイですね。これらをどうするか悩みました。操作時は簡単に開く方がいいのですが、思わぬところで開いてしまっては困りますから」

裏蓋の縁には、回しやすいようにローレット加工が施されている

是木氏:「耐衝撃や防水の面からは、可動部分が少ないほうがいいんです。したがって、バッテリーも固定式の方がいい。でも、私達のこだわりで交換式にしてもらいました。GZE-1は、どちらかというと動画メインのカメラと考えています。静止画より電力を消費しますし、バッテリーがそれほど大容量でもないので交換できた方がいいだろうと。これは絶対に必要だと思ったので、強く希望しました」

――それは、どのように解決したのですか?

神出氏「裏蓋を外した本体側に、バッテリーとUSB端子、カードベイをすべて収めました。さらに裏蓋を二重にして、中蓋に防水、外蓋に耐衝撃の役割を与えています。これを本体に咬み合わせると、中蓋がシーリングパーツにフィットして気密性を維持するのです。microSDカードは普通、本体横のスリットに挿す形が多いのですが、GZE-1は本体の厚みを利用して、縦に挿し込みます」

是木氏こだわりの取り外し式バッテリー

中蓋と外蓋を組み合わせた、2重式の裏蓋。このスリットに、本体側の赤いパーツがかみ合わされることでシーリングされる

――なるほど……。そういえば、マイクとスピーカーを装備しながらの50m防水にも驚きました。

是木氏:「マイクとスピーカーはバンパー内側のスリットの中にあります、ここには櫛歯型の樹脂パーツを組み込んでいて、これが消波ブロックの役割を果たし、水流が直接マイクやスピーカーに当たらないようにしています。この仕組みは設計部門が考案した新構造で、特許を取得しています」

防波構造(G'z EYE発表会より)