選ばれたカラーはカラフル電卓8色、スタイリッシュ電卓5色
―― カラフル電卓の色は8色と豊富ですよね。どのようにして選択されたのでしょうか?
村田氏:たくさんの色があることを感じてもらえるバリエーション感を出したいという狙いがありました。しかし、パステルカラーやビビッドどちらかだけで統一したりすると、どうしても利用するユーザーが固定されてしまいます。より多くの方に色選びで楽しんでほしかったので、テイストに縛られない色選びをしています。
例えば、このパープルのモデルなどは、これまでのカシオの電卓にはなかった色だと思います。しかし、お店に並んだ時に定番のピンクだけでなく、個性的なパープルといったちょっと毛色の違う色も並ぶことで、バリエーションが豊富だという印象をもっていただけるのではないでしょうか。
―― スタイリッシュ電卓のデザインではどのような点にこだわりましたか?
宮原氏:スタイリッシュ電卓は、ビジネスシーンでも使えるよう、スマートなデザインを目指した5色を用意しました。5色のカラーいずれもトーンを抑えてマットな印象に仕上げており、主張が強すぎない大人の上質な持ち物として、日ごろから持ち歩けるのではないかと思っています。また、"ゴールド"、"ネイビー"、"ライトピンク"、"ブラック"では表面にアルマイト処理を行うことで高級感を演出しています。
―― 実はカラフル電卓とスタイリッシュ電卓のキーの文字に、ちょっとした違いがあるそうですね。その狙いはなんですか?
宮原氏:はい、使っている書体自体はAvenir(アベニール)という同じフォントなのですが、太さや大きさが異なります。
カラフル電卓の方はかわいらしさ、親しみやすさを重視するために、できるだけフォントを大きくして、そして知的な印象も併せ持たせるため細くしています。しかし、スタイリッシュ電卓では、小さくやや太めにあしらい、緻密な印象を出すようにしました。
ホームページで掲載しているカラフル電卓のイメージカット。ポップで可愛い印象だ |
スタイリッシュ電卓は、ビジネスシーンの写真やラグジュアリーな小物との組み合わせで表現されている |
"電卓としての使い勝手"を確保するのがカシオ計算機のポリシー
―― 機能性、操作性の部分で気にされたポイントはありますか?
玉本氏:このようなデザインに注力した電卓の場合、どうしてもキーの突量(出っ張りの量)は小さいほうがカッコよく見えます。実際に、今以上にキーの出っ張りを減らすこともできます。しかし、カシオ計算機のポリシーとして"電卓としての使い勝手"を確保しなければなりません。
具体的には、キーの隅を押したときでも、指の腹にフロントパネルが当たらないことが基準です。デザインだけを考えた製品の場合、フロントパネルよりもキーが沈み込んでしまうことが少なくありません。ですが、それでは実際に操作したときにストレスとなってしまうのです。そういった点を踏まえて、カラフル電卓はフラットキー、スタイリッシュ電卓は真ん中にくぼみのある形状のキーを採用しました。デザインセンターのみなさんには、必要最低限の突量は確保したうえでうまくデザインしていただけたなと思います。
―― その他、デザインするにあたってこだわった点がありましたら教えてください。
宮原氏:さまざまな用途で使えるようにカラフル電卓であれば4タイプ、スタイリッシュ電卓であれば2タイプを用意しましたが、色以外のデザインは極力統一しています。過去の当社のカラフル&スタイリッシュ電卓は、色だけは統一しつつも造形はバラバラでした。しかし今回は、(手帳タイプを除き)、形も統一しています。実際に同じカラーを採用したサイズ違いの電卓を比べていただければわかるのですが、写真で同じカラーの製品を見ると、見分けがつきにくいと思います。
また、薄さを感じさせつつ高級感を出す工夫もしています。スタイリッシュ電卓に使用されているアルミパネルは、樹脂ケースとの一体感を持たせることで、ムクの金属を削り出したかのような質感を演出できたのではないかなと思います。
さらに、従来のモデルよりもかなり薄くなっているだけでなく、液晶画面の角度を変えた際にも一体感を感じさせるようデザインしています。