ブラザー販売が高いシェアを持つ「店舗」分野

ブラザー販売では、もともと「店舗」向けで高いシェアを誇る。2016年のぐるなび加盟飲食店舗調査 では、飲食店が選んだ複合機ナンバーワン※4という結果も出された。また、賞味期限や値引きなどに使用されるラベルを印刷するラベルプリンターのニーズも高く、チェーン店を運営する本部からは、各店舗に設置した複合機を一元管理できる「BR-Admin」も高く評価されているそうだ。そのほか、多店舗間で店長会議が行えるWeb会議システム「OmniJoin」や、店内装飾に利用できるカッティングマシーン「ScanNCut」などの製品でさまざまな需要に対応。三島社長は「店舗・外食はブラザー販売がまだまだ深堀できる業種ではないかと考えています」と述べた。

※4 2016年10月31日~11月11日の期間に、ぐるなび加盟飲食店300店舗に調査した結果

店舗向け複合機で約4割のシェアを持つブラザー販売。会場には店舗のバックヤードを模したスペースがあり、業務用食品トレーには感熱モバイルプリンターで印字されたラベルが貼付されていた

複合機の一元管理システム「BR-Admin」(左)、Web会議システム「OmniJoin」(中)、カッティングマシーン「ScanCut」(右)などの実現が行われた「店舗」ブース

クリニックに強い「医療」分野ではユニークな提案も

「医療」分野においてブラザー販売が特に力を発揮しているのは、クリニックなどの小規模な医療機関。クリニックにある複合機のうち、約3割がブラザー販売の製品※5とのこと。昨年から注力されている業種だけに、電子カルテのシステムと連携したプリンターやスキャナ、薬品などに用いられるラベルプリンター、訪問医療で使われるモバイルプリンターなど、導入事例も多数上がっているという。利用されるシーンとしては、診察室、検査室、受付、バックヤードなどが多く、その中でも受付のカウンター下に設置される例が多いと三島社長は説明した。

※5 エグゼメディカル社、メディキャスト社が2016年11月に合同調査。調査方法:電話アンケート 対象数:778件(有効回答数106件) 調査対象:主要都市の無床診療所(開業10年以内)

医療ではクリニックからの引き合いが多いブラザー販売。会場にはクリニックのカウンターを模したスペースがあり、実際の利用シーンに合わせたプリンターの設置や、試験管用ラベルのサンプル展示が行われていた

ブラザー販売ではユニークな提案を行っている。レーザープリンターだけでなく複合機も導入する、いわゆる「2台持ち」だ。万が一の故障時でも業務を止めずに済む。また、同じプリントエンジンモデルならば、消耗品も共通化できるため、コストの削減も可能。これはイニシャル・ランニングコストに優れた同社の製品ならではの提案といえるだろう。

お薬手帳用ラベルが印刷できるラベルプリンター(左)、ブラザー販売は自社製品の特長を活かし、2台持ちを提案する(右)

2017年度から積極的な展開が始まった「製造・物流」分野

2017年度から新たに注力される業種が「製造・物流」。製造・物流の現場でもすでにブラザー販売の製品は数多く使用されており、部品倉庫や組立・検査、設備や出荷場などで活用が進んでいる。なかでも同社の強みが出ているのが、入庫・出庫のタイミングで必要なバーコードラベルなどの印刷をする感熱モバイルプリンターだ。コンパクトで機動性が高いので移動しながらその場で印刷することができる。

製造・物流ブースには、機動性、耐久性に優れた製品を展示。工場内の保管庫を模したスペースでは、マネキンを置いて現場作業時の利便性の高さをアピールしていた

「SMB戦略」「バーティカル戦略」に向けて組織体制も変革

これらの構造改革を実現するため、ブラザー販売では組織体制の見直しも進めている。2016年にビジネスソリューション事業部を発足し、BtoBを一元的に管理する体制を整備。ソリューション推進部には医療グループも新設した。2017年には「店舗」「製造・物流」分野を中心に担うプレセールスグループも追加され、エンドユーザーに向けたマーケティングの拡充を目指している。また営業部の増員も行われており、とくに東京エリアでは集中的に人員が増強された。

三島社長は最後に、「今後、ブラザー販売はスピード感ときめ細かなマーケティング活動によって、SMB市場においては存在感のあるブランドとして認知されるよう、販売店様からは信頼できるパートナーであると認めていただけるよう、頑張って参ります」とまとめた。家庭用プリンター市場が縮小していく中、堅調な動きを見せるSMB市場に軸を据えるブラザー販売。新たな試みを続ける同社の事業に、今後も注目したい。

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