コレジャナイ寿司……ざんまい!

――他にもアイデアが?

坂本:7つくらい出したかな。

武笠:iPhoneのメモを見てみると……ご祝儀袋、鳥居、スクランブル交差点、炊飯器、満員電車の軍艦巻き、電車の太巻き、高層ビル群の軍艦巻き、将棋なんかがありますね。

坂本:満員電車はしらすの軍艦巻きみたいなイメージだったよね。人がしらすで。あとは将棋の駒もシャリにのせやすそうだなって。

――なぜ他のネタはやめたのですか?

坂本:今回は、現代日本は外してみようということになったんです。あとは"食いで"も考えましたね。ご祝儀袋は酢飯に対して具が薄くて満足度が低そうでしょ。そういう点でご祝儀袋と鳥居はなくなりました。

武笠:シリーズを重ねることで我々の調理の腕が上がってきたら、もっと具材を生かす寿司として考案できるかもしれないと思いますね。

――"調理"なんですね(笑)。城もすごいですね。シャリを石垣に見立てる発想はやられた! と思いました。城のモデルはあるのですか?

坂本:ざっくり2つ3つの城を頭の中で混ぜて作った感じですね。城と富士山はどう握るか悩みましたね……。特に富士山は一番バランスが難しかったです。

――シャリで裾野を包み込んでいますよね。雄大さを感じます。

坂本:富士山をカットしたくなかったんですよ。富士山を切ってシャリにのせましたっていうと、何かリアリティがなくなる気がしたんです。裾野の形をどこまでにするっていうのを、自分で勝手に決めたくなかったのかもしれません。そうすると、観念的な富士山になっちゃうんじゃないかという気がして。

――そこから、"シャリで包む"という発想が生まれたと。

武笠:やっぱり載せるだけだと芸がないというか、寿司職人としてはシャリとネタとのバランスを考えて、富士山をどう握るかを考えていくのが正しいデザインなのかなと。だから寿司としての形にはこだわりませんでした。

――でもちゃんと寿司ですよね。

武笠:そうなんですよ。そこはもう、ブシロードクリエイティブさんの造形力ですね。

坂本:もう少し酢飯がほしいみたいな調整しましたよね。ご飯が少ないから富士山に対してもう少し酢飯を厚くしたい、とか。

――完全に寿司屋の新メニュー開発の会話ですね(笑)。成田さんはコレジャナイ寿司を見ていかがでしたか。

成田:4種類のバランスがすごくいいなと思いましたね。天狗でまず表紙のイメージができました。コレジャナイジャパンっていう時点でふざけているわけなので、表紙イメージはある程度まじめにしたかったんです。天狗はその意味で見た目もいいし、流行りの力士もおさえている。いいラインナップになりました。

――力士がまた、すばらしいですよね。脱力感もいい感じですし。

成田:力士はおいしくなるように調整しましたね。肉感とか、脚の伸ばし方とか……。

――力士の寿司を見て、今までになかった新たな感覚が芽生えた気がします。

坂本:僕も個人的に力士が大好き。実際に「おいしそう」っていう声が一番上がっているんですよ。

――何となく理解できてしまいます……。今回、かなり海外向けを意識されたのかなと思うのですが。

坂本:そこは、はっきり意識していますね。

武笠:オリンピックも近いし、海外からのお客様も増えています。今あるお土産のマーケットにはない面白いものを見てもらいたいという気持ちは強くありますね。

――お土産というのがキーワード?

武笠:そうですね。成田空港にカプセルトイが設置されていて、それが売れているそうなのですが、実際カプセルトイとお土産ってすごく相性がいいんですよね。

――こうなると、早くも次が気になります。

成田:第二弾は「コレジャナイ力士」で秋口くらいに展開していく予定ですが、寿司もまた挑戦したいですね。

武笠:次は我々の調理レベルもさらに上がっていると思います。

坂本:今日はもう板長キャラでいくのね(笑)。

右上はコレジャナイ寿司用の湯呑み、下にあるのはお箸じゃなくてボールペン

――スクランブル交差点寿司とか見てみたいです。すでにイメージはあるわけですよね。

武笠:いや、ないですね!

坂本:正直だなぁ(笑)。

武笠:あれは調理レベル高いですよ。でも海外の人は大好きですもんね。みんな写真撮っているし。

――ビジネスとしては、今後はどんな展開を予定されていますか?

成田:一発目が寿司、二発目が力士、それ以降はもしかしたら狛犬がくるかもしれないですし、半年に1回くらい新作を出していきたいです。5月20、21日には渋谷ちかみちでジャックイベントを行います。カプセルトイは通常、販売期で終了するのですが、コレジャナイジャパンは今までのカプセルトイではありえなかった展開をしようと考えています。TV局のお祭りや音楽フェスに出店したり、映像や音楽的なプロモーションでグローバルに展開したりしたいですね。TVCMも打つんですよ。カプセルトイのCMってたぶん、今までにないんじゃないかな。

武笠:非常勤で美術学校の授業をすることがあるのですが、カプセルトイのポップ(表紙)を作るワークショップをやることがあるんですね。「カプセルトイは広告宣伝費がかけられないから、ここにすべての情報と魅力を凝縮させなきゃいけないんだ」って言ってるんですけど、次から言えなくなっちゃいますね(笑)。

成田:PV用の音楽を海外のアーティストに発注したりしていて、すごくかっこいいんです。そのあたりもだんだん明らかにしていく予定です。

コレジャナイ寿司 fromコレジャナイジャパン/プロモーションビデオ


――カプセルトイだけでなく、コレジャナイジャパンブランドでグッズも展開されるのだとか。

成田:はい。お土産需要を見込んでいるので、周辺商品も含めて棚を構成したいのです。Tシャツやバッグ、湯呑み、ボールペンなどを考えています。ネット通販などは考えていなくて、神出鬼没でなかなか買えないものにしたいですね。サーカス団みたいに全国津々浦々いろいろなお祭りなどに出店して、どこで買えるかわからないという。

――SNSなどで盛り上がりそうですね。コレジャナイジャパンの展開を楽しみにしています。

ボールペン

Tシャツ

バッグ

ザリガニワークスらしさがたっぷりとつまったコレジャナイジャパンのコレジャナイ寿司。海外からの旅行客はもちろんのこと、日本人の目から見てもとてもおもしろくて、人に見せたくなるアイテムに仕上がっていると思う。

これまでのカプセルトイの常識を覆すコレジャナイジャパンが、どんなブランドに育っていくのか楽しみだ。

撮影:伊藤圭

プロフィール

●成田耕祐(なりたこうゆう)。株式会社ブシロードクリエイティブ代表取締役社長。アニメ・ゲームIPを中心とした商品化を主な事業とする同社の経営と企画プロデューサーを兼務する。東京芸術大学大学院卒業後、株式会社メディアファクトリー(後に株式会社KADOKAWAへ吸収合併)に入社。映像・音楽商品のセールスマンを経て、マーチャンダイジング事業、ライトノベル編集、企業IP開発に携わる。ザリガニワークスとは過去に共同作品「石膏ボーイズ」で協業。2016年6月に退社し、現在に至る

●武笠太郎(むかさたろう)。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。ザリガニワークスの工作担当。「コレジャナイロボ」制作数は通算7000体。「ごはんかいじゅうパップ」や「無気力フレンズ」ではイラストも担当。玩具を中心に据えた作品作りでプランナー&ディレクターとして活動中。趣味はホームセンター散策とフットサルとダンボール工作

●坂本嘉種(さかもとよしたね)。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。ザリガニワークスのデザイン担当。各種デザイン、イラストを中心に、最近は文章の仕事も出来るつもり。「ITIS NOT THIS! コレジャナイロボ!」では作詞・作曲も手掛けている

(C)zariganiworks/bushiroad

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[PR]提供:ブシロードクリエイティブ