「ほしかったのはこれじゃなーい!」と思わず叫んでしまいそうになる絶妙な偽物感でおなじみ「コレジャナイロボ」を生み出したザリガニワークスと、ブシロードクリエイティブがタッグを組んだ。日本文化をモチーフにした玩具プロジェクト「コレジャナイジャパン」第一弾は、5月中旬からカプセルトイで発売がスタートする「コレジャナイ寿司」だ。
シャリの上に載っかっているのは、天狗や富士山、城、力士というまさかのラインナップ! 寿司ってコレジャナイ! ……はずなのだけど、何となく収まりがよくて思わずニヤリとしてしまうユーモアにあふれているのがザリガニワークスクオリティだ。コレジャナイジャパンプロジェクトはいかにして生まれたのか。今後はどんな展開が期待できるのか。ザリガニワークスの武笠太郎氏、坂本嘉種氏、ブシロードクリエイティブの成田耕祐氏に制作秘話を伺った。
――コレジャナイ寿司の企画はどのようにして始まったのでしょうか。
成田:前の会社でザリガニワークスさんと一緒にお仕事をしていて、会社が変わっても一緒にやりたいなと思ったのです。ザリガニワークスさんはコレジャナイロボで長く注目を集めていらっしゃるので、それをもう少し広げていけないかとご相談させていただきました。
――「コレジャナイジャパン」という発想はそのときすでに?
成田:僕の中で何となく「ジャパン」というキーワードはありましたね。
坂本:当時、ちょうどインバウンドやオリンピックで盛り上がっていたときだったんです。ジャパンというキーワードをもとに3つくらいアイデアを出しました。
成田:個人的にヒットしたアイデアは「コレジャナイ狛犬」だったんですよ。だけど、一発目から狛犬かなぁ? と(笑)。
坂本:7番目くらいですよね(笑)。コレジャナイジャパン一発目はわかりやすいところで、寿司からいこうとなりました。
武笠:寿司っていうコンテンツはお土産屋さんなんかの販売の現場からも求められるんですよ。海外からのお客さんに対して売りやすいんです。
――天狗に富士山、力士に城と、シャリの上にのっているネタがどれも個性的……というか、食べ物ですらありませんよね(笑)。ネタのアイデアはどのようにして生まれたのですか?
武笠:最初は食べ物で考えてたんですよ。だけど、寿司ってけっこう何でもありなんです。カリフォルニアロールだって寿司だし、プリンとかのせても醤油をかけたらウニじゃんって(笑)。
坂本:食べ物だと弱いよね。パンとかですらちょっと弱い。
――まぁ、一緒に食べるっていう人もいるかもしれませんよね。
武笠:それだと「コレジャナイ」って言いきれないんですよね。いろいろなものを頭の中でのせてみたんですけど、天狗っていうのをひらめいたときに、「来たな」って思ったんです。
――天狗、来たな、と。
武笠:天狗! ハイハイハイ! って。じゃあ食べ物じゃないもので、しかもジャパンで出していこうと。アイデアの横串が刺さった瞬間です。
――天狗の寿司というのを聞いて坂本さんは……?
坂本:しっくりきましたね。めっちゃよさそうって。
――そこですぐにしっくりくるのがさすがです(笑)。
坂本:寿司の面白さって、おいしさもあるけど、それ以上にパッケージ化できるところだと思うんです。酢飯の上に何かがのっていて、それで主食とおかずが成立する。食べ物として整った形にまとめているっていうのが、欧米的感覚で面白いんじゃないかなと。そこに具ではなく、わかりやすい日本のアイコンがのっているのが面白いと感じたんです。
――「天狗」と聞いてすぐにこのビジュアルが浮かんだのですか?
坂本:すぐにこの形で共有できましたね。
武笠:握りとしてこれしかないですよね。
坂本:そう、握りとしてね。