2017年1月、ブラザーから、ビジネス向けA3インクジェット複合機の新製品が発表された。3年ぶりのフルモデルチェンジとなり、カラーインクの改良やファーストプリント時間の短縮、ユーザビリティの向上など、数多くの機能が刷新されている。最上位機種「MFC-J6995CDW」と旧製品を比べながら、その特徴を確認していきたい。
「PRIVIO WORKS」シリーズが3年ぶりのフルモデルチェンジ
低ランニングコストと高速印刷によって、ビジネスシーンで高い人気を誇るブラザーのA3ビジネスインクジェット複合機「PRIVIO WORKS」シリーズ。旧製品は3年前に機能やデザインを一新し、ビジネスシーンにおいて着実に定番の地位を築いてきた。2015年に発売された「MFC-J6973CDW」や「MFC-J6573CDW」は今なお高い人気を誇り、マイナビニュースでも取り上げている。
そんな「PRIVIO WORKS」シリーズが、ついにフルモデルチェンジされる。新たに登場したモデルは、「MFC-J6995CDW」、「MFC-J6980CDW」、「MFC-J6580CDW」の3機種。画質および本体耐久性の向上、ランニングコストの低下、一枚目の印刷時間の短縮、そして操作性の改善と、全方位の刷新に取り組んだ意欲的なモデルだ。今回はこの3機種の中から、フラグシップモデルとなる「MFC-J6995CDW」をピックアップし、旧機種からの変更点を探っていきたい。
WORKSシリーズのスペック表。※測定データおよび測定条件はブラザーHPで確認できる |
よりビジネスに適した顔料ベースのカラーインクを採用
従来モデルからの最大の変更点は、カラーインクの改良だ。旧機種でもブラックのみは顔料インクを採用していたが、新機種ではカラーインクにも顔料ベースのインクを採用。顔料インクは、滲みにくく、普通紙への定着が速いという特徴を持つ。また耐水性・耐候性にも優れ、水に濡れても印刷内容を失いづらい。一般的なコピー用紙に文字や図版を印刷する、ビジネスユースに適した特性を備えているのが、顔料インクといえる。インクジェット専用紙への写真印刷の画質では染料インクに譲るものの、ビジネスインクジェットという分野においては、顔料インクのほうがはるかにメリットが大きい。
カートリッジ容量アップと低ランニングコスト
インクカートリッジの容量はさらにアップ。「MFC-J6995CDW」ではモノクロ約3,000枚、カラー約1,500枚の印刷が可能になった。
ランニングコストも大きく抑えられている。従来機種でも一枚当たりのランニングコストはブラック1.4円、カラー6.1円と安価だったが、「MFC-J6995CDW」のランニングコストはブラック約0.9円、カラー約4.0円と、より経済的な低ランニングコストを実現。これだけのコスト差があれば、プリンター導入にかかるイニシャルコストもすぐに回収できるだろう。
ファーストプリントの印刷速度がアップ
速度面の改良も大きなトピックだ。印刷スピード自体はモノクロ22ipm、カラー20ipmで従来と変わらないが、新製品では、レディ状態から1枚目の印刷を完了するまでの印刷時間を短縮させ、小ページ印刷時のストレスを軽減させている。従来機種でも、最初の1枚はモノクロ約9.0秒、カラー約9.5秒と決して遅くなかったが、新製品「MFC-J6995CDW」では、モノクロ約5.5秒、カラー約6.0秒と、ファーストプリントの時間がぐんと短くなった。実際に速度を計測しても、レディ状態から1枚目の印刷開始までが大幅に短縮されているのがわかる。
新製品 (左)と、従来機種 (右)のファーストプリントの時間を検証