―― スキルが上がった実感はありますか?
外山氏「もちろん、あります。CeMDSでは最近、日光角化症についての出題が多かったので、特に日光角化症の診断についてはだいぶスキルが上がったと感じています。
日光角化症は、日光を浴びる部位に発症しやすい、皮膚がんの前がん病変です。宮崎県は国内で一、二を争う日照時間の長い県ということもあり、日光角化症が発生しやすい土地柄といえます。当院に訪れる患者さんだけを見ても、日光角化症の割合は全国平均より多いはずで、診断スキルが上がったと実感できているのは大変助かっています。
ただ、日光角化症は、手術での切除と投薬による治療という二通りの対処があるのですが、投薬治療した『治りかけ』の判断力を高める学習教材を充実させていただけると、もっと嬉しいです」
―― 病気かどうかの判断や、病気なら病名は何かと問うだけでなく、治っているかどうかを問う出題も欲しいということですね。
外山氏「そうです。日光角化症かどうか見分ける診断スキルはアップしましたが、現場では、治療して『もう大丈夫かな。それとも投薬を継続するべきかな』という判断が難しいのです。
見た目に皮膚がきれいになっていると、患者さんも治ったと思って安心します。しかしよく調べると、まだストロベリーパターン(編注:肌が苺の表面のような模様を伴って赤くなる症状)がほんの少しだけ残っているように見える、なんてことがよくあります。こういうとき、治療を継続すべきか、経過観察に切り替えるか迷うのです。
このため、CeMDSで治療経過の画像を提示して、この段階はまだ治療が必要かどうかといった出題があると嬉しいですね」
―― なるほど。患者さんの協力を仰いで、治っていく過程を画像でそろえられれば、不可能ではなさそうですね。先生は患者さんの治療に際して、時間経過の画像はすべて撮っているのですか?
外山氏「基本的に経過写真は撮っていて電子カルテに保存しています。何件かはCeMDSのなかに取り込んでいますので、データが増えれば増えるほど、CeMDSの問題も充実するはずです。ですから、私のような地方の開業医からデータを集めるのも大事なのではないかなと思います」