薬を使わない、磁気によるTMS治療とは?

うつ病の治療には抗うつ薬による投薬治療が一般的だ。だが、うつ病の中には長期間にわたって投薬を続けても回復しないケースや、未成年であるなど投薬が推奨されないケースもある。先のアンケートでも、うつ病の診断を受けた人の中で投薬治療を行った経験のある人は58.8%。2年以上うつ病を患い、今も治療中という人は26.1%となっており、長期にわたって治療を続けている人も多いことがわかる。

「うつを患っていた期間を教えてください」の問いには、2年以上(治療中)が1/4を占めており、長期にわたる治療が必要な場合もあることがうかがえる

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「投薬は治療の第一選択として世界的に一般的ですし、まずはそれで良いと思います。ですが薬を飲んで、最初に出るのは効果ではなくて副作用。多くは吐き気など胃腸の症状や眠気です。1~2週間は副作用が出て、そのあとに効果が出るものなので、その前にドロップアウトしてしまうことも少なくありません」

実際に、治療をしていてつらかったことを尋ねたアンケートでも「投薬することに心理的な抵抗がある(28.8%)」「薬の副作用がつらい(27.5%)」という声は多く上がっていた。また、「保険や昇進にも多大に影響が及んだ(39歳男性/官公庁/公共サービス関連/会社員・公務員・団体職員)」「家族を犠牲にしたことで自分を責めた(56歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連/会社員・公務員・団体職員)」「周りからの理解を得られない(22歳女性/その他/その他/学生)」など、投薬などの治療を行っても思うように快癒せず、つらい思いをしたという回答も多くあった。川口院長によると、7割の患者は投薬で良くなるが、3割程度の患者が強い副作用によって薬が飲めない、長期にわたる投薬や、多剤併用投薬でも改善しない場合があるという。また、再発した場合に薬が効かなくなってしまうケースもある。

そのようなケースに対し、近年注目されているのが「TMS(経頭蓋磁気刺激法)治療」だ。薬を使わず、脳に磁気の刺激を与えることで治療を行っていく治療法で、2008年にアメリカでFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可され、欧米を中心に導入が進められている。

脳に磁気の刺激を与えるTMS治療は、うつ病をはじめとする精神疾患の治療としてアメリカを中心に欧米などで普及している

「不安や緊張を司る脳の部分、前頭前野と扁桃体のやりとりを磁気刺激によって回復させるのが、TMS治療です。脳は環境に合わせて絶えず新しい神経のネットワークを構築、更新していますが、削除されずに残っている古いネットワークを整理してくれるようなイメージ。脳を最適化してくれるような印象ですね」

TMS治療の大きなメリットは副作用が非常に少ないことだ。投薬による治療は脳だけでなく体全体への影響があり、大きな副作用も症状の改善にはつながっても社会復帰への大きな妨げとなる。一方、TMS治療では、投薬で出るような副作用は起こらない。てんかんの症状がある人は発作を誘発しやすいという可能性は指摘されているが、それ以外ではほぼ副作用は認められていないという。そのため、未成年や妊婦など、投薬を避けたい患者にも施術しやすい治療法となっている。

TMS治療は脳への磁気刺激という限定的な部位への治療のため、体全体に影響をおよぼす投薬治療のような副作用が出ない

「とはいえ、ほかの治療に比べてTMS治療のほうが絶対にいい、というものでもありません。その人に合わせた治療法の中で選択肢のひとつになっていることが重要です。症状を良くするだけでなく、社会復帰のためにどの選択肢が早いのかという観点が今後のポイントになるでしょう」

日本では自費診療となるため、治療費が高くなってしまうことはひとつのデメリットだ。しかし、以前は計180万円ほどかかっていた治療費も、現在は1/3の計60万円(1回2万円×全30回)ほどにまで抑えることができるようになった。「4Kテレビがだんだん手ごろな値段になってきたように、TMS治療のための機器も各国で作られ、競争によって値段が下がってきました」。

血流で脳の状態を診断できる光トポグラフィー検査の有用性

TMS治療と合わせて、うつ病をはじめとするメンタルヘルスの画期的な検査方法として、「光トポグラフィー検査」も注目を集めている。うつ病の診断は問診によって行われるのが一般的だが、診断の基準が時代によって変化していることや、明確に数値化できる基準がないことで、診断にばらつきが出てしまう。光トポグラフィー検査では、簡単な課題を行っている際の脳の血流などをチェックすることで、脳の状態を数値で確認し診断する。問診などの主観による判断ではなく、客観的なデータとなるため、有効な治療法の判断をしやすくなるという。クリニックでは通常の問診と合わせ、補助として光トポグラフィー検査を実施している。

光トポグラフィー検査は画面に出てくる簡単な課題をしているときの脳の血流を測定し、脳の機能異常を判定する

「治療で一番大切なのは、いかに早く社会復帰できるかということ。そのための選択肢を増やしてあげることです」と話す川口院長

「光トポグラフィー検査の結果によって、うつ病、双極性障害、統合失調症など、いくつかのパターンに分類できます。ですが、重要なのはその分類ではなく、脳の機能異常が認められるかどうか、TMS治療が効果的かどうかの判断ができること。どんな病気かと病名をつけるための検査ではなく、TMS治療などによって、どのように社会復帰を目指せるかどうかが大切です」

日本におけるうつ病の治療は、投薬によるものが基本。改善しない場合は量を増やしたり、複数の薬を飲み合わせたりすることで寛解を目指すが、それによってうつ病の症状は改善しても強い副作用などから社会復帰するのは難しいケースも散見される。アメリカでは投薬で改善が見られなかった場合、治療の第2選択としてTMS治療が選択できるようになっており、うつ病の治療ではスタンダードなものになってきている。抗うつ薬の重い副作用に悩む人や若年層の抗うつ薬を避けたい世代の人には、有用な選択肢となることは間違いない。新宿ストレスクリニックでは、TMS治療はもちろん、投薬、カウンセリングなどさまざまなアプローチで患者の状態や症状に合わせた治療を実施することができる。うつ病に悩んでいる人は、受診を検討してみてはいかがだろうか。

調査時期: 2016/12/20
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女501名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

[PR]提供:新宿ストレスクリニック