近年、著しく増加傾向にあると言われているうつ病。厚生労働省は、1999年には44.1万人だった患者数が2002年には71.1万人、2008年には104.1万人と100万人以上の患者がいると報告している。日本では投薬による治療が一般的だが、投薬を長期間続けても改善しないケースがある。今回は、新宿ストレスクリニック本院の川口佑院長に、投薬による治療ではなく、副作用もほとんどないという、うつ病治療の最新治療法について話を聞いた。
新宿ストレスクリニック本院の川口佑院長 |
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うつ病とはどのような病気か
マイナビニュースでのアンケート調査でも、患った経験のある人が30.5%にのぼり、やはり現代でも決して珍しくない病気であることがうかがえるうつ病。うつ病になると一般に、何に対しても意欲が出ず、気分がふさぎ込んだ状態が続いてしまうという。それを “気の持ちよう”などと心の問題と言われてしまうことも少なくない。だが、うつ病は単なる心の問題ではなく「脳のネットワーク異常によって起こっている」と川口院長は話す。
うつと診断されたことのある人は30.5%となった。「理由もなく辛くなり、毎晩泣いていた。(38歳女性/ドラッグストア・調剤薬局/その他技術職/会社員・公務員・団体職員)」「精神的なストレスが酷かったときに、情緒不安定になり眠れなかった(42歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/技能工・運輸・設備関連/会社員・公務員・団体職員)」と、つらいうつ病の症状を回答していた |
「うつ病の精神医学的な捉え方としては、ストレスなどによって脳に機能的な変化が起こっていることになります。例えば、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった神経のやりとりに必要な神経伝達物質の変化や、植物で言えば肥料に当たる神経の栄養因子の変化です。それらの異常によって、脳のネットワーク環境に変化が起こるためと考えられています」
また、もうひとつの考え方として「環境に適応するために脳が変化した結果」とも話す。
「脳は変化する臓器です。例えば引っ越しをしたばかりのときは違和感があっても、しばらくすると平気になるように、脳は環境に合わせて変わっていきます。適応障害というものも別にありますが、個人的には脳が適応しきれなかった結果、うつ病につながっているケースもあるのではないかと考えています」
だが、うつ病が脳のメカニズムに問題が発生したときに起こるとはいえ、人は誰でも気分が落ち込むこともあれば、やる気が出ないこともある。どこからがうつ病と考えて良いのだろうか。
「落ち込んでいるなどの状態が、自分のコントロール下にあるかどうかだと思います。落ち込んでいるけどなんとかしよう、と立て直せるなら大丈夫。ですが、立て直せない状態が2週間から1か月間続くようなら、医師の診断を受けたほうが良いと思います。2週間以上というのは、うつ病の診断基準にもなっています」
しかし、うつ病は自分を客観的に見ることが難しくなり、自分を見失ってコントロール下にないことが自覚できないときもある。「死にたくなるなど生命の危険を感じた場合や、周囲から促されるようなことがあれば、すでに深刻な状態かもしれません。そのときは2週間を待たず病院にかかることをお勧めします」。