人気のモデルとその理由

―― ダイヤルも立体感があって見やすいですね。

齊藤氏「蒸着による時字(インデックス)は、メタルケースに負けない質感になっていると思います。あと、注目していただきたいのはインダイヤルリング上の文字。こういった部分は普通、印刷で賄うのですが、G-STEELはリングの蒸着をレーザーで剥がして、文字を書いているんですよ」

正林氏「リングには同心円状の溝が掘ってあるので、印刷だとこの溝にほんの少しインクが流れてしまい、文字の輪郭が滲んでしまいます。これは質感を下げる要因になりますから」

GST-W110-1AJFのケーストップ。時字は蒸着で着色している

―― ベーシックな時計とはいいながら、やっぱり細かな部分までこだわっていますよね。バンドもメタルと樹脂の2種類が用意されていますね。

齊藤氏「バリエーション展開を増やす、つまり、お客さまに数多くの選択肢を提供するというのがG-STEELの方針のひとつです。ですから、2種類のバンド用意するのは企画当初から決まっていました。

意識的にメタルのG-SHOCKを求める人が選ぶ製品なので、やはりメタルバンドのほうが人気だろうと思っていたんです。ところが、いざ蓋を開けてみると、樹脂バンドモデルも想像以上にお手に取っていただいています。

フルメタルを好む人だけでなく、樹脂バンドが好きだけどケースはメタルがいいとか、組み合わせのバランスも重要ということがわかりました。やっぱり、G-SHOCKは選択肢を多く提供することが大切なんだと再認識しましたね。ベゼルに関しても同様です。ゴールドのメタルケースに樹脂ベゼル、樹脂バンドのモデル(GST-W100G-1AJF)も人気があります」

正林氏「黒金のコンビはベーシックモデルでも人気があったので、GST-W100G-1AJFでは、新しい形に挑戦してみました。価格以上の高級感と満足感を味わっていただけるモデルだと思います」

「GST-W100G-1AJF」4万円

樹脂ベゼルとメタルバンドを組み合わせたモデル

―― 一番売れているモデルは、やはりベゼルもバンドもメタルのものですか?

齊藤氏「やはり、オールシルバーのフルメタルモデル(GST-W110D-1AJF)ですね。膨大な種類やデザインが存在するG-SHOCKの中で、G-STEELを選ぶ価値を感じていただけるモデルです。バンドのコマも力強く、時計の王道という安心感があります。

ですが、それだけのラインナップでは、デザインの幅が広がりません。色ひとつとっても、(IPによる着色では)黒か青か金かローズくらいしかできないんですね。樹脂を使えると、カラーリングなどの可能性が無限に広がります」

フルメタルの高い質感と、G-SHOCKらしい個性、安心感を兼ね備えた、もっともG-STEELらしいフルメタルモデル「GST-W110D」シリーズ

正林氏「MT-Gは、メタルと樹脂のメリットを倍加すると同時に、デメリットを補い合う(質感、強度、衝撃吸収性、装着感など)ため、ハイブリッド構造を採用しています。一方のG-STEELは、強度とデザイン性の広がりを重視してハイブリッドにしているのです。その点では、狙い通り『ベーシックでありながらG-SHOCKらしく』仕上がったと自負しています」

「私たちの自信作、G-STEELをよろしくお願いします!」

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