デルのゲーミングPC「ALIENWARE」は、ハイエンドゲーミングPCシリーズとしておなじみの存在だ。そのALIENWAREの最新モデル「Alienware Aurora R5」は、水冷CPUクーラーの採用や、NVIDIA GeForce 10シリーズグラフィックスカードの2枚差しSLI構成にも対応するなど、スペック重視のミドルタワーゲーミングPCとなっている。本稿では、その特徴を見ていきたい。
放熱性に優れ、内部メンテナンスも容易なミドルタワーケース
ALIENWARE Aurora R5(以下、Aurora R5)は、ミドルワークラスのオリジナルケースを採用。本体サイズはW212×D360.5×H472.52mmと、どちらかというとミニタワーに近いサイズで、ゲーミングデスクトップとして比較的コンパクトとなっている。しかしこのケースには、ALIENWARE最上位モデル「Area-51」の思想を受け継ぐ、様々な特徴が隠されている。
ケースのデザインは、どちらかというと奇抜な印象の製品が多いALIENWAREシリーズとしては比較的"おとなしめ"という印象。ただ、横から見ると上部と下部が斜めに切り取られ、6角形に近いデザインである点や、正面の電源ボタンにおなじみのエイリアンをイメージしたボタンを用いている点、左右側面にLEDイルミネーションを備える点など、ALIENWAREらしさも十分に感じられるものとなっている。
このケースの最大の特徴となるのが、優れた冷却性能を備えていることだ。内部のエアフローをしっかりと計算し、効率良く吸気と排気できるように内部パーツの配置を工夫することで、最新CPUの搭載や、NVIDIA GeForce 10シリーズのSLI構成への対応を実現しつつ、比較的コンパクトなサイズで安定した放熱を可能としている。具体的には、前面下部や側面に用意された吸気口から外部の空気を取り入れ、ケース天面の排気口から排出するという空気の流れを確保することで、効率良くケース内部の熱気を外部に放出できる。実際に本体を稼働させて天面付近に手をかざしてみると、天面から熱気が勢いよく放出されていることがよくわかる。
また、コンパクトなボディにハイエンドパーツを詰め込みつつ、優れたメンテナンス性を確保していることも大きなポイントだ。ケース左側面のパネルを外すと電源ユニットが現れる。通常、マザーボード上部に電源ユニットを配置するケースでは、マザーボード付近のメンテナンスを行う場合に、まず電源ユニットを外す必要があるなど、メンテナンス性がやや犠牲になっているものが多い。
それに対しAurora R5のケースでは、ドライバーレスで電源ユニット部が扉を開くように手前に動き、簡単にマザーボードへとアクセスできるため、メンテナンス性が一切犠牲になっていない。また、拡張カードや内部ストレージベイもドライバー不要のツールレスで着脱可能な構造となっているので、グラフィックスカードやHDDの追加も容易だ。内部メンテナンスは頻繁に行うことではないかもしれないが、こういった部分まで利便性を考慮した設計になっているという点は、特筆すべき部分だろう。