マウスコンピューターの「DAIV-DGZ500S1-RAW」は、デジタルカメラのRAW現像用途に最適化されたデスクトップPCだ。高画素デジカメのRAWファイルもスムーズに現像できるという。その性能をチェックしてみよう。
フォトグラファーに最適なRAW現像コンセプトモデル
近ごろのデジカメのセンサーは、2000万画素以上が珍しくなく、3,000万画素や4,000万画素を超える製品も増えている。高画素化によって写真の細部の表現力がアップするのはうれしいが、その一方でファイルサイズが大きくなり、PC上での処理が遅くなるという問題もある。
特に、たくさんの枚数をRAW撮影し、そのRAWデータを現像処理する際にはけっこうな時間がかかってしまう。筆者のようなフォトグラファーにとっては、仕事の効率にかかわる深刻な問題だ。アマチュアの写真愛好家にとっても、休日の貴重な時間を有効活用するには、RAW現像はできるだけ短時間で済ませたいだろう。
そんなデジカメ高画素時代を迎え、そろそろPCを新調しようと考えていた筆者のもとに、編集部から1台のマシンが送られてきた。マウスコンピューターが新発売した、RAW現像に適したデスクトップPC「DAIV-DGZ500S1-RAW」だ。これをテストして使用感をレポートせよ、という依頼である。まさに願ったりかなったり。個人的な購入検討も兼ねながら、プロの仕事用にどこまで使えるのか。その本気度をチェックしてみたいと思う。
まずは、製品の位置付けと基本スペックから確認していこう。今回試用する「DAIV-DGZ500S1-RAW」は、同社のクリエーター向けブランド「DAIV」の中でも「RAW現像向けPC」をうたうコンセプトモデルであり、そのミドルレンジに位置している。
CPUはCore i7-6700(3.4GHz)で、GPUにはGeForce GTX 950を、チップセットにはインテル Z170 Expressをそれぞれ採用。メモリは16GB。ストレージには240GBのSSDと2TBのHDDを搭載。OSはWindows 10 Home 64ビットとなる。
実際に購入する際は、もちろんBTOによる細かいカスタマイズが可能だ。例えばメモリは最大64GBまで増設可能で、一度に多くの画像処理を行う場合のほか、PhotoshopやLightroom、ブラウザなどのアプリケーションを同時に立ち上げて作業する際の快適さを向上させることができるだろう。
さらにストレージは、NVMeに対応した高速SSDや大容量6TBのHDDなども追加できる。昨今はカメラの画素数が上がり、それに伴って写真のファイルサイズも大きくなっている。ストレージに余裕を持たせることで、容量を気にせず作業できるほか、データがいっぱいになって、外付けストレージに退避するといった手間も省くことができる。
また、Core-i5 6400(2.7GHz)を搭載したエントリーモデル「DAIV-DGZ500E1-RAW」や、Core i7-6700K(4GHz)を搭載したハイエンドモデル「DAIV-DGZ500M1-RAW」も別途用意されている。
本体サイズはW190×D490×H490mmで、重量は約10.9kg。外観は黒を基調にした精悍なデザインであり、しっかりとした剛性感も漂っている。
ユニークなのは、前面上部に大きなハンドルを備えること。BTOオプションで底部のキャスターを選択すれば、本体を持ち上げながら室内をスイスイと移動できる仕掛けだ。特にスタジオで使う際に役立つだろう。デスクでは、背面の端子類にアクセスする際に便利といえる。
本体前面には、マイク端子とヘッドフォン端子、USB 3.0端子×2、電源スイッチを装備。その下には、着脱式のパネルで覆われた拡張ベイ(5インチ×3基、3.5インチ×1基)がある。そして、5インチ拡張ベイの1つには3.5インチHDD用リムーバブルベイが、3.5インチ拡張ベイにはUSB 3.0のカードリーダーがそれぞれ取り付けられている。