ブラザー販売は2016年5月25日、都内でプライベートイベント「Brother World JAPAN 2016」を開催した。10周目という、節目の年となった今回は「医療」と「店舗」の分野で活用できる製品とソリューションが紹介されたほか、2016年4月にブラザー販売 代表取締役社長に就任した三島勉氏の基調講演も行われた。本稿で順を追って紹介していきたい。

ブラザー販売は5月25日、プライベートイベント「Brother World JAPAN 2016」を開催。「医療」と「店舗」の分野で活用できる製品とソリューションを紹介した

ブラザー製品が医療の現場でも注目?

ブラザー販売と医療――。関連性を見出すことがやや困難にも思える組み合わせだが、実際、医療の現場でいまブラザーの製品が選ばれているという。それは何故だろうか。様々な医療機関に対しICT化に向けたアドバイスを行っている、メディキャスト メディプラザ事業部の大西大輔氏が、当日行われた特別講演の中で分かりやすく解説した。

会場には、診療所の受付、診察室、検査室を模したセットが組まれていた。医療の現場で、いまブラザーの製品が選ばれている理由はどこにあるのだろうか

特別講演に登壇した大西氏は、はじめに医療業界における印刷の需要について解説。同氏は「大病院、中小病院の下に、全国に10万件の診療所が存在する。コンビニが5万件なので、診療所はその倍もある」と紹介した上で、「1日に100人の患者が診療所を訪れるとする。それぞれに領収書、明細書、処方箋を渡せば、20日間で6,000枚の紙を消費する計算になる。実際には、このほかにも問診票や紹介状などをプリントしているので、1カ月でザッと1万枚以上は紙を消費している」と説明。紙1万枚×診療所10万件=10億枚、という規模の紙が毎月医療の現場で必要とされているとして、まずはその需要の大きさを印象づけた。

コンサルタントとして、これまでも様々な医療機関に対してICT化に向けたアドバイスを行ってきた大西大輔氏(左)。まずは業界の規模と印刷需要について解説した

では、そうした診療所では今、どのようなプリンター製品が求められているのだろうか。同氏によると、喜ばれる特徴は「コストパフォーマンスが良い、プリントが速い、小さい」ことだという。そしてこの特徴を満たすのが、ブラザーの製品とのことだった。

併せて、大西氏は「医者の先生は、よく”ブラザーの製品はコスパが良い”と話している。在宅診療を行うドクターには、コンパクトなブラザーのプリンターが喜ばれている。受付のスペースが狭い診療所も多い。そうした所では、他社製品より小さいブラザーのプリンターが、やはり選ばれている」とも語った。

受付のスペースが狭い診療所では、棚にすっぽり入るモノクロレーザープリンター「HL-L6400DW」や、PCの横に置いておけるラミネートラベルプリンター「PT-9700PC」のような省スペースの製品が選ばれている

こちらは診察室、検査室を模したセット。ブラザーの製品は、コンパクトながらも様々なタイプの印刷物に対応している。感熱ラベルプリンター「TD-2130N」では検体に貼るバーコードラベルが印刷可能だ(右)

カルテ、レセプト、紹介状、処方箋などが電子化され、医療分野におけるクラウドの使用が解禁されるなど、医療の世界でもここ数年、情報通信技術(ICT)の波が押し寄せてきている。しかし、現場に普及するにはまだ少し時間がかかるようだ。その理由のひとつが、利用者のITリテラシーが高くないということ。「一般的に50歳を越える方にはプリントの需要が高いとされている。そして診療所の先生の平均年齢は50歳を越えている」と大西氏。

また、「いくらオンライン化や電子化が進み、書類の内容がモニターで確認できるようになったとしても、印刷するのが医療業界。私も看護師さんに”もう印刷するのをやめませんか”と言ったことがあるが、赤ペンで自由に線をひけなくてはダメ、と言われた。医療の現場では、書類は印刷して指さし確認できることが常に求められているんです」とも語っていた。

会場には医療分野で活用できる製品とソリューションが多数展示されていた