ゲームの表示性能をチェック

XL2730Zの液晶に目を向けよう。ゲーミング液晶を名乗るには応答速度が速くリフレッシュレートが高いほかに、ゲーム画面をより見やすくする補正機能がどれだけ充実しているかが鍵となる。

XL2730Zの場合は画像の白飛びを抑えつつ暗部を浮き上がらせる「Black eQualizer」にオーバードライブ機能「AMA」、さらにバックライト明滅による黒挿入でブレを抑制する「ブレ削減」、彩度を調整する「Color Vibrance」の4つが補正機能の柱となる。これらはユーザが1から詰めていくことも可能だがXL2730Zではゲーム用として"FPS1""FPS2""RTS"の3通りのプリセットがあり、さらにユーザ設定の叩き台として"ゲーマー1""ゲーマー2""ゲーマー3"の合計6モードが用意されている。この中の任意の3つをS.Switch Arcの1~3に割り当てるのがXL2730Zのスタンダードな使いこなしだ。暗いシーンに来たら暗部が見やすいモードに切り替えておけば、待ち伏せされる危険性が下がる、というわけだ。

"標準"モード。画面奥側の壁や床が暗くてほとんど見えない。ゲームは「ウィッチャー3 ワイルドハント」をプレイしている

"FPS1"モード(写真左)と"FPS2"モード(写真右)だと全体的に明るく、奥の壁の木目がはっきり見えるようになる。ただこの状態でも白飛びする部分がない点に注目だ

「Starcraft」等のRTS系ゲームプレイに適した"RTS"モード。FPS1/2モードよりわずかに暗い部分が見やすくなった印象

"ゲーマー1~3"にはユーザがカスタムした設定を入れられる。基本設定はFPS2モードをベースにColor Vibranceで彩度を強調しているため、FPS1/FPS2/RTSモードよりも暗部にある物体が把握しやすく、さらに画面も華やか

動画観賞には色の鮮明さを重視した"動画"モードを使おう

これら補正機能の威力は上に掲げたスクリーンショットを見れば一目瞭然だが、これと高リフレッシュレートによる滑らかな表示が加わるとまさに極上。前提としてWQHD環境でもフレームレートが100fps以上コンスタントに出せる画質設定に落とす必要があるが、その分画面の動きがより滑らかになる。

XL2730Zの補正機能の中で特に強力なのがBlack eQualizerだが、ゲームのスクリーンショットをよく撮る人は、撮影したスクリーンショットには補正がかからないので注意。絶好のスクリーンショットが撮れたと思ってファイルを開いてみると真っ暗だった……という経験を筆者は何度も体験した。スクリーンショットを撮る時のためにBlack eQualizerの設定値をゼロにしたモードをS.Switch Arcに登録しておこう。

Black eQualizerを最小(左)および最大(右)設定時の違いは上図のようになる。最大にするとやや青っぽくなるが画面全体が明るくなり、細かなディテールが浮き上がってくる点に注目だ

画面左半分が標準モード、右半分がFPS1モード。Black eQualizerの効果の差があらわれている

XL2730Zは応答速度が求められるゲーミングディスプレイということで、応答速度の速いTNパネルを採用している。パソコンモニターや携帯電話の画面に多く使用され、応答速度が速い点が特長だ。ただ、パネルの性質上、視野角が狭い点がネックになりそうだが、これに関してはあまり気にならなかった。壁紙を明るい色にすると視線の上下で微妙に明るさが変化するため、応答速度よりも、IPSのような均質さを求める人にはオススメはしないが、価格安めの高速TN液晶よりは格段に見やすい。

これらXL2730Zの機能は液晶とS.Switch Arcだけですべて完結するが、付属のCDに収録されている「Display Pilot」を導入することでもアクセス可能だ。特定のゲームに合わせたプロファイルを作成するのはもちろんのこと、起動したゲームに合わせモードを自動で切り替えられるなど、思いつく機能は大抵備わっている。

入力ソースに応じて画面のアスペクト比や表示解像度を連動させることが可能。古めのゲームをプレイしたいが、全画面表示だとアスペクト比やドットの大きさが崩れるという場合に有効

インストール済みのアプリと画質を関連付けられる。プリセットでもいくつかゲームが登録されているが、どれも古めなので最新ゲームは自分で登録する必要がある

ウィンドウを画面端に移動するだけで整理整頓することもできるが、Windows 8.1や10のスナップ機能の方が使いやすい印象があった

まとめ:少し高価だが性能には大満足!

ある程度予算のある人がこれから液晶を買おうとするなら、話題性のある4Kにするか、WQHDやフルHDの高付加価値モデルにするか迷うはずだ。4K液晶もかなり手ごろになってはいるが、まだゲーマーの貪欲な要求を満たせるスペックの製品は出ていないし、なにより4Kになるとビデオカードもかなり選んでしまう。フルHDだと高付加価値モデルがいろいろ出ているが、スマホの画面に見慣れてしまった身にとっては、フルHD24~27インチだと画面のドットの粗さ感が気になってしまう。

しかしWQHDで高付加価値なXL2730ZはフルHDよりも精細な描画が堪能でき、4K液晶よりもゲーマー向け機能が豊富、という点で非常に優れている。ビデオカードの負担も4Kよりは少ないので、高リフレッシュレートを出せる設定もしやすい。

これまで普通の液晶でゲームができていた、という視点で見ると実売8万円前後という価格は高いと感じるかもしれないが、一度XL2730Zのクオリティに触れるとその評価は一変するはず。特にオンラインでの勝ち負けにこだわるなら、このXL2730Zは絶対にチェックすべき一品といえるだろう。

レビュー機 詳細スペック

型番 XL2730Z
液晶 27インチTNパネル(ノングレア)
解像度 2560×1440ドット(WQHD)
輝度 350cd/m2
コントラスト比 1000:1(DCR1200万:1)
視野角 左右170°/上下160°
応答速度 5ms(中間調1ms)
入力端子 HDMI2.0×1、HDMI1.4a×1、DisplayPort1.2a×1、DL-DVI×1、ミニD-Sub15ピン×1、USB3.0ハブ、アップストリーム×1、ダウンストリーム×2
サイズ 633.7(W)×417.4~557.4(H)×226(D)mm
重さ 約7.5kg
実売価格 約8万円前後

The Witcher® is a trademark of CD Projekt S.A. The Witcher game © CD Projekt S.A. All rights reserved. The Witcher game is based on a novel by Andrzej Sapkowski. All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners.

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