インバウンド消費の恩恵をもたらすビジネスモデルの構築

村山氏:貴社は、日本のカード業界のリーディングカンパニーであると同時に、日本で唯一の国際ブランドでもありますが、このような環境の中、どのような取り組みをされていますか?

浜川氏:JCBは、日本で生まれた唯一の国際ブランドとして、1981年以来、海外展開に力を入れています。2015年9月時点で、海外会員数、海外取扱店契約数ともに2千万を超え、世界19の国と地域でJCBブランドのカードが発行され、190の国と地域で利用されています。この数は、今後もさらに増加させていく考えです。JCBの取り組みは多岐にわたっていますが、今日は、インバウンド消費の取り込みと地域消費の活性化に関してお話ししたいと思います。海外に会員を、国内に加盟店網を有するJCBにとって、インバウンド事業は海外と国内の双方のお客様にメリットをもたらす重要な分野であり、その一翼を担っているのが、JTBとJCBの共同設立会社「J&J事業創造」(以下、J&J)です。

J&Jは、文字通り新たな事業を作り出すことを目的としていますが、実を結びつつあるのが外国人旅行者向けの「Tax Free事業」です。インバウンド消費の拡大や免税制度改正の動きを受けて消費税免税店への関心は高まっており、免税店の数は現在全国約3万店で、さらに増えつつあります。一方で、店頭での免税手続きが煩雑で時間がかかる、年々変わる免税制度や外国人旅行者の動向に的確に対応したい、多言語対応の人材確保や免税品の発送梱包など運用に関わる問題をサポートしてほしい、といった課題やニーズも存在します。J&Jはこうした声に対してソリューションを提供しており、特に免税手続きを効率化する「J-Tax Freeシステム」は、今やスタンダードとなりつつある「No Service Charge」「消費税8%全額返金」を可能とする仕組みとして、広く導入されています。単に免税端末を設置するだけでなく、全国免税店協会の理事会社として関係省庁と連携しながら、免税制度に関わる総合的なサポート、アドバイスを提供する会社として、お客様のインバウンド対応のお役に立ちたいと思っています。

また、J&Jはジャパンショッピングツーリズム協会の事務局として、新たに「訪日外国人向けおみやげ農産物販売事業」に取り組んでいます。平成26年10月の免税制度改正により農産物も免税対象となりましたが、農産物の海外持ち出しは国ごと植物ごとに条件が異なるほか、持ち出す際も植物検疫に時間と手間がかかるという事情があります。今回、農林水産省の支援を受けた実証実験では、福岡県の観光農園でいちご狩りのあと購入したお土産を、検疫済みの状態で空港でお渡しするモデルに取り組みましたが、「検疫の時間と手間が軽減できる」「帰国日に空港で受け取るので手ぶら観光ができる」「鮮度の良い状態で受け取れる」といった評価を得ました。今後は地方自治体やJAなどと連携し、帰国後も日本の農産物をお取り寄せできる越境ECの推進などを併せ、第一次産業にインバウンド消費の恩恵をもたらすビジネスモデルの構築に取り組みたいと思います。

村山氏:キャッシュレス決済の普及に関して、貴社は、国際ブランドカード会社として、デビットカードやプリペイドカードを展開しておられますが、展望についてお聞かせください。

浜川氏:JCBのブランドデビットカードは、2014年10月の千葉銀行様による発行からスタートしました。JCBデビットを発行される金融機関様はその後着実に増加し、2016年度中には12行まで広がる見通しです。発行枚数も順調に増えており、これまでクレジットカードを持ちたくなかった層、持てなかった層を中心に、消費者の中にデビットカードへのニーズは確実に存在すると感じています。日本ではこれまで、カードというとクレジットカードを指していましたが、今後、デビットカードも市民権を得ていくと思います。

また、プリペイドカードに対する関心も着実に高まっており、「こんなプリペイドカードを発行したいのだが」といったご相談が増加しています。JCBは、クレジットカードやデビットカードと同様にJCBの国内外の加盟店で広く利用することができる「ブランドプリペイドカード」と、無記名式で国内約40万店(2016年3月現在)で利用でき全件オンライン取引の「JCB PREMO」の、2種類のプリペイドカードをお客様のニーズに合わせてご提供しています。プリペイドカードは誰でも持つことができるカードであり、若年層との親和性も高く、今後、クレジットカードやデビットカードとともに、わが国のキャッシュレス化を推し進める原動力になると思います。

クレジット決済環境のセキュリティ強化への取り組み

村山氏:浜川社長は、日本クレジット協会の副会長でもいらっしゃいますが、今後、協会が果たすべき役割についてはどのようにお考えですか。

浜川氏:キャッシュレス化の推進は国の重要政策であり、そのためには、クレジットカードをはじめとするカードの利用拡大の大前提である、消費者が安全・安心に利用できる環境の整備が不可欠です。

日本クレジット協会が事務局を務める「クレジット取引セキュリティ対策協議会」において、2月に「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」が策定・公表されましたが、実行フェーズに移るこれからがまさに正念場といえます。日本のクレジット決済環境のセキュリティの強化に向け、各事業者が連携を図って戦略的に取り組みを進めることが実効性の観点からも重要であり、今後も事務局として、そうした取り組みを進めるための牽引役を果たしていくことが、協会の役目だと思っています。

(マイナビニュース広告企画:提供 日本クレジット協会)

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