WoWSならGTX 950で十分
軽量級代表であるWoWSを試してみよう。まずは画質を一番上の"最高"にした時のパフォーマンスをチェックする。テストは実際の対戦時に「Fraps」を利用して計測した。
WoWSではGPUパワーがどんなに高くても、75fps程度でフレームレートが頭打ちになるので、GeForce GTX 960以上のGPUでは何を使っても一緒どころか、コスパがかえって悪いことになる。また、GeForce GTX 950やGeForce GTX 750 Tiといった安めのミドルレンジでも平均60fpsは難なくクリアするが、GeForce GT 730までGPUのパワー下げてしまうとパワー不足に陥ることがわかる結果となった。
この結果を踏まえ、GPUごとに筆者なりのオススメ設定をはじき出してみたのが以下の表だ。GeForce GTX 750 Tiはパフォーマンスに影響しやすく、かつ見た目でわかりにくい影と反射を最高から1段階下の"高"に下げただけで済むが、GeForce GT 730は一番低い画質にせざるを得なかった。
World of Warships 1920×1080ドット時のオススメ設定 | |
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GeForce GTX 980 Ti | 最高設定 |
GeForce GTX 980 | 最高設定 |
GeForce GTX 970 | 最高設定 |
GeForce GTX 960 | 最高設定 |
GeForce GTX 950 | 最高設定 |
GeForce GTX 750 Ti | 最高設定をベースに、影品質と反射のみ「高」に |
GeForce GT 730 | 低設定 |
上の推奨設定でどれだけ画質が違うのかをそれぞれ比べてみた。
砲塔の部分を比べてみる。左が最高設定、右がGeForce GTX 750 Tiでのオススメ設定だが、最高設定の方が影の輪郭が滑らかだ |
GeForce GT 730だと、画質を限界まで下げる必要があるため、テクスチャーも水面の表現も粗くなる。さらに甲板上のオブジェも減っているだけでなく、一部がテクスチャーで誤魔化されている点にも注目だ |
これらの設定で実際にWoWSを遊んでみた時のフレームレートは以下のとおり。描画がガクガクだったGeForce GT 730もなんとか遊べるようになったが、それでも平均60fpsには及ばなかった。つまりGeForce GT 730でもWoWSは動くが、遊ぶには不適、という結論になる。
Fallout 4に挑むならGeForce GTX 970? それともGeForce GTX 960?
続いてはFallout 4のパフォーマンスを検証しよう。画質設定はプリセットでいくつか用意されているが、まずは一番高い"ウルトラ"でチェックする。検証はフィールド上の特定のコース(サンクチュアリ・ヒルズ~コンコード)を移動する際のフレームレートを「Fraps」で計測した。また、ドライバ側で垂直同期をオフにしている。
垂直同期をオフにすることで60fps以上出せるようになるが、何もせずウルトラ設定で60fpsが維持できるのはGeForce GTX 970以上だ。3DMarkでもGeForce GTX 960とGeForce GTX 970の間にはスコアの溝があったが、Fallout 4ではそれがよりハッキリとみられる。
何も考えずにFallout 4を最高の画質で楽しみたいなら、GeForce GTX 970以上を狙うのがよいだろう。ただ、GeForce GTX 960やGeForce GTX 950でもそこそこ良いフレームレートが出ている。そこで画質設定を調整したのが下の表だ。
Fallout 4 1920×1080ドット時のオススメ設定 | |
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GeForce GTX 980 Ti | ウルトラをベースにアンビエントオクルージョンとゴッドレイ品質も最大に |
GeForce GTX 980 | ウルトラをベースにアンビエントオクルージョンを最大に |
GeForce GTX 970 | ウルトラ設定 |
GeForce GTX 960 | 高設定 |
GeForce GTX 950 | 高をベースに影とアンビエントオクルージョンを下げ、描画距離も近くに。アンチエイリアスはFXAA |
GeForce GTX 750 Ti | 中をベースに影とアンビエントオクルージョンを下げ、描画距離も近くに。テクスチャー品質と被写界深度は1段上げ。アンチエイリアスはFXAA |
GeForce GT 730 | そもそもプレイに適してない |
ウルトラ設定で普通に遊ぶならGeForce GTX 970。GeForce GTX 960との違いは遠くのオブジェまで描かれるようになったこと(遠くにある木の枝の数が増えている)と、立体感が強調される影(アンビエントオクルージョン)の存在だ |
フルオプションのFallout 4にするならGeForce GTX 980 Tiは欲しくなるところ。建物の隙間から差し込む光線の表現(ゴッドレイ)にジャギー感がない、より立体感のある陰影表現になっているのが主な違い |
ゴッドレイ部分を抜き出したところ。左がGeForce GTX 980 Ti、右がGeForce GTX 980のオススメ設定。光や影の表現に差が出る |
Fallout 4でGPUパワーが足らないと感じた時にまずチェックすべきは影品質とアンビエントオクルージョンの設定。止め絵で見ると結構目立つが、動いているならあまり気にならない設定でもある。ただしアンビエントオクルージョンは完全オフにすると絵ヅラが平坦になるので、可能なら残しておきたいところ。
さらにFallout 4は遠景のオブジェクトを描画する距離も細かく調整できる。GPUパワーが少ないと思ったら素直に描画距離を"近"側に寄せてみよう。
以上のような設定にした時のFallout 4のフレームレートは以下のとおりとなる。GeForce GTX 750 Ti~GeForce GTX 960でもかなり滑らかな描画が堪能できる。ただここでもGeForce GT 730はガクガク。やはりGeForce GT 730はゲーム用としては不適格ということがわかる。
重量級のThe Divisionには魔が潜む
続いてはThe Divisionの検証に入る。まずはプリセットの"ウルトラ"設定でどの程度動くかチェックしてみた。The Divisionには嬉しいことにベンチマークモードが搭載されているが、最低fpsが表示されないだけでなく、やや高めの数値が示される(※ただし筆者の感想)きらいがあるため、ベンチマークモードを再生しつつ、その時のフレームレートを「Fraps」で計測するという方法をとった。
フォトリアリスティックな描写を売りにしたゲームだけあって、描画は全体的に重い。特にベンチマークシーケンスの4分の3あたりで発生する戦闘シーン(特に煙を通り抜ける場所)でフレームレートが一気に落ちるが、GeForce GTX 980 Tiをもってしても60fpsキープは難しい(兵士の描画等でオブジェクトが一気に増えるため、VRAMの帯域がボトルネックになっている感触がある)。GeForce GTX 960以上なら一番上の画質でも遊べるが、平均60fpsを越えられたのはGeForce GTX 980以上というシビアな結果になった。
The Division 1920×1080ドット時のオススメ設定 | |
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GeForce GTX 980 Ti | ウルトラ設定 |
GeForce GTX 980 | ウルトラをベースに、コンタクトシャドウを1段落とす |
GeForce GTX 970 | 高設定をベースに、パーティクル品質を高に |
GeForce GTX 960 | 中設定 |
GeForce GTX 950 | 低をベースに色収差オン、異方性フィルタリングをx8に |
GeForce GTX 750 Ti | 低をベースにビネット効果をオフ |
GeForce GT 730 | そもそもプレイに適してない |
GeForce GTX 950だと中設定と低設定の間ぐらいがベストな選択だと感じた。地面に置かれた看板の影(アンビエントオクルージョン)や、雪面の表現の違いのほか、左のビルにあるはずの煙が省略されている。遠景もぼんやりとしている |
以上の設定でThe Divisionのフレームレートを計測したのが次のグラフ。GeForce GTX 950以上ならプレイアブルだが、画質とコストのバランスでみると、GeForce GTX 960以上がオススメといえる。GeForce GTX 750 Tiは"動くけれども、ススメはしない"レベルだ。
重量級のRoTTRもGeForce GTX 970以上がグッド
最後にRoTTRの検証に入ろう。このゲームはDirectX 12にも対応しているが、DirectX 11のままで検証を行う。内蔵ベンチマークモードは3つのシーンそれぞれで最低/最高/平均フレームレートを計測するが、今回は一番負荷の高い「地熱谷」の値だけをチェックする。まずは画質が一番高い"ウルトラ"設定でのフレームレートを比較する。
RoTTRをウルトラ設定にすると"VRAMを4GB以上使う可能性"について警告が出る。そのためか、VRAMが6GBと最も多いGeForce GTX 980 Tiのフレームレートが突出して高い。4GBのGeForce GTX 980とGeForce GTX 970の結果が近く、2GBのGeForce GTX 960~GeForce GTX 750 Tiと大差がついている点にも注目だ。ウルトラ画質のままでもなんとかゲームになるGPUはGeForce GTX 960が限度。実用的なフレームレートを出すにはGeForce GTX 970以上が必須だろう。
また、RoTTRはアンチエイリアスの設定が独特だ。アンチエイリアス処理はFXAAがデフォルトだが、その上の設定(SMAA)にするとVRAM消費量と負荷が一気に高くなる。マルチGPU環境でないかぎり、アンチエイリアスはFXAAのままにしておくのが得策だ。
各GPUごとのオススメ設定と、画質の比較を以下に示す。
RoTTR 1920×1080ドット時のオススメ設定 | |
---|---|
GeForce GTX 980 Ti | 最高設定 |
GeForce GTX 980 | 高設定 |
GeForce GTX 970 | 高設定 |
GeForce GTX 960 | 中設定をベースに異方性フィルタリングをx8に |
GeForce GTX 950 | 中設定をベースにアンビエントオンクルージョンとスクリーンスペースリフレクションを無効化する |
GeForce GTX 750 Ti | 最低設定 |
GeForce GT 730 | そもそもプレイに適してない |
VRAM搭載量の多いGeForce GTX 980 Tiならウルトラ設定でガンガン攻められる。フレームレートが高いのでアンチエイリアスをSMAAにしてさらにクオリティーを上げる手もあるが、最低fpsが落ちてカクつきが目立ちやすくなったため今回は見送り |
以上の結果から、RoTTRにおいてはGeForce GTX 950が画面の美しさを極度に損なわずプレイできる最低ライン。可能ならGeForce GTX 970以上が望ましい、といったところだろう。GeForce GTX 750 TiやGeForce GT 730はここでも論外な選択だ。
これらの設定でRoTTRのフレームレートを再計測したものが下のグラフとなる。
まとめ:搭載GPUによって選択できる画質設定に差が
ASUS製GeForceカードを使い、様々なゲームにおけるパフォーマンスをチェックしてみたが、重量級ゲームであってもフルHD & 高画質設定でガンガン攻めたいならGeForce GTX 970以上がよいことが再確認できた。
だがコスパという観点から見ると最もバランスよく使えるのはGeForce GTX 960ではなかろうか。画質中程度であれば、どのゲームもフルHDで快適に遊ぶことができる。しかも最近のゲームは見せ方が上手い(GPUの基本性能も高いせいもあるが)ため、中設定でもそれなりに美しい画面になる。最高を求めるなら間違いなくGeForce GTX 980 Ti(あるいはPascal待ち)だが、GWにPCゲームをやってみようかなと考えているなら、GeForce GTX 960が最も無難なチョイスといえる。
もちろんGeForce GTX 950も決して悪い選択ではないが、The DivisionやRoTTRクラスの負荷になると、画質中~低を狙わないと十分なフレームレートが獲得できない。Fallout 4のようなやや軽めのゲームを狙うか、WoWSのような超軽量ゲーム向けと割り切るべきかもしれない。
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