ユニットコムが運営しているパソコン工房は、BTO PC販売において長い歴史を持つ。全国各地に実店舗を構え、地元に密着した多数の顧客を抱えているのが特徴だ。その顧客は個人にとどまらず、法人営業でもさまざまな実績がある。2013年に創基130年を迎えた、大阪府立大学もそんなユニットコム法人営業部(パソコン工房)から最新のBTO PCを導入した法人の一つだ。今回は、マルチGPUサーバを導入した、同校の大学院工学研究科 知能情報工学分野 知能メディア処理研究室を伺い、その研究の内容とGPUサーバの活用方法について聞いてみよう。

Reading-Life Logの研究を手がける大阪府立大学・知能情報工学分野

同大学の知能メディア処理研究室が、近年、特に注力している研究がReading-Life Logだ。このReading-Life Logの研究を主導しているのが、同研究室の教授を務める黄瀬 浩一氏。同研究室では昨年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2015」にて、東北大学、九州大学、慶應義塾大学などと研究開発を進めている「Reading-Life Log(リーディング・ライフ ログ)」プロジェクトのデモンストレーションを発表し、その最先端の研究内容は、大いに話題を集めた。同研究室には、「Reading-Life Log」プロジェクトの研究分担者である岩村 雅一 准教授、岩田 基 准教授、内海 ゆづ子 助教も在籍している。

大阪府立大学 大学院 工学研究科 准教授 博士(工学) 岩田 基氏

読む行動を記録する「Reading-Life Log」

知能情報工学科 知能メディア処理研究室では、前述した「Reading-Life Log」をはじめ、文書や画像、動画を中心とした研究を行なっている。まずは、昨年話題となった「Reading-Life Log」について、プロジェクトの研究分担者の一人である岩田 基氏にお話を伺ってみよう。

──「Reading-Life Log」について、簡単にご説明ください。

岩田氏:Life Log(ライフログ)は、その名のとおり人間の行動の記録です。ライフログを記録しておくことによって、生活や環境を見直すために役立てるわけですね。例えば睡眠時間なら、枕元にセンサーを設置しておけば眠ってから起床するまでの時間を計測してくれます。また万歩計を持ち歩けば、1日に何歩歩いたかを大まかに知ることができます。こういった情報を通じて自分の健康状態を知る、これがライフログの役割です。

ですが、"知識がどれだけ増えたか"というような認知的な行動のログは、現状ではほとんどとることができていません。こういった認知的な行動を記録するものとして現在普及しているものだと、例えば読んだ本を登録して、週に、月に何冊本を読み終えたかをログとして残すものがありますね。しかしこのようなシステムは手動でログを残さなければならないため、最初のうちはマメに記録していても、なかなか長続きしないものです。

私どもが研究している「Reading-Life Log」は、こういった"読む"という行動を自動で記録する研究です。自分の読書行動(狭義には読書、広義には標識を見るなどといった文字情報を読む行動そのもの)を記録することを「Reading-Life Log」と呼んでいます。読むという行動を記録するためには、視線の計測が必要となります。人間が目で物を見たときの視線の移動を記録して、それをもとに読書行動を認識・検出するわけですね。Reading-Life関連では、他にも文字認識についても研究しています。Reading-Life Logに関する研究以外でも、歩容認識や電子透かしなど、幅広い分野について研究しています。