「宝の山」で新しいビジネスモデルの構築を

野口氏:最近、マスコミの報道などで「ビッグデータ」という言葉を耳にします。クレジットカードの決済データの活用について、どのようにお考えでしょうか。

住田氏:クレジットカードの利用が増えるほど、どういう人が、どういうところで、どのようなものを、いくらで購入したといった膨大なデータが貯まってきます。そうすると、国内や海外でどのようなものが必要とされているのかということや、さらには、それが男性か女性かといった属性ごとに分析することができるようになります。つまり、マーケティングに利用できる、いわば宝の山といえるものだと思います。

クレジットカード業界は、銀行など金融機関との関係が深く規制もあり、また、データは個人情報でもありますから、その取り扱いには慎重でした。宝の山といいながら、なかなかこれが使いにくく、宝の山を使いこなせていない感があったわけです。

これに対し、個人情報との両立をさせながら上手に活用する道があるのではないかということで、クレジットカード業界とだけでなく、それを使いたいという方も交えて、個人情報保護も守りながら利用する方法はあるはずです。昨年の9月から、経済産業省では、そのための勉強会を始めています。今までの役所の検討というと審議会のように全員が大きなテーブルでというやり方でしたが、議論が深まるよう、違うやり方で議論しようということで始めています。もちろん全体での議論もしますが、それだけでなく、グループごとに分かれて討議をして、新しい発想で議論を深めるというやり方です。

ここでは、宝の山をどう使っていくか、個人情報を上手に整理しながらどう使っていくか、ということを議論しています。例えば、誰であるか分からないように匿名化をするということもできるわけです。個人の名前は出さず、国籍がどこであるとか、住まいが何県であるとか、というように、人を特定しないで、属性の情報で統計的に処理して、マーケティングに活用したりしやすいよう、データの標準化など何が必要になるかを検討しています。

キャッシュレス環境の拡大と安全・安心な取引の実現

野口氏:最後に今後、クレジット業界に望むことを教えてください。

住田氏:これから人口減となることが見込まれています。そうすると需要も増えないでしょう。その中で、一つの期待は海外からのインバウンド需要です。日本での消費が増えることにつながることが期待されているわけですが、その主役はクレジットカード決済だと思います。訪日して、この日本で安心してショッピングをしていただくことが大事です。これが地方での元気にもつながっていくと思います。

日本国内でクレジットカードを使う人は、リボ払いもないわけではないですが、その多くは一回払いです。この一回払いは、実はクレジットカード会社にメリットは少なく、その意味で、この業界の収入源は多くないわけです。この利用者の多くが一回払いということは、国民性とも関わると思うので、なかなか変えられないところだとは思います。その中でクレジットカード産業がどう伸びていくのかということが課題だと思います。

そこで、先ほどのデータですが、宝の山をどう使うのかをしっかりと考えて積極的にビジネスに活用していく、ということがいいのはないかと思っているわけです。クレジットカード業界は、いわば規制慣れをしてしまっている面があるようです。そうした部分を乗り越えながら、思い切って殻を破り、新しいビジネスを含めいわば世の中を変えていくようなことをやっていけたらいいのではないかと思っています。

2020年は、そういう形でクレジットカード業界が変革していくための一つのきっかけになる年だと思います。東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで、あと5年、もう5年しかないと言ったほうがよいのかもしれませんが、それに向けて、クレジットカード業界には期待していきたいと思います。

(マイナビニュース広告企画:提供 日本クレジット協会)

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