「ゲームクリエイター志望者に正しい勉強をしてもらわなければいけない」

── 既存のゲームスクールとスーパーゲームスクールの違いとはなんですか

松山氏:ゲームクリエイターになりたい学生さんは高校卒業後、専門学校や大学に行ったりして、少なからず勉強をされていますが、ほとんどの福岡の学生さんは、ゲームコースを学んだ後に、地元のWebデザイン会社のような当初の目的と違うところに就職しています。現状は、ゲームコースに入学しながらも、ゲームクリエイターになれていない人が多いです。企業側は常にクリエイターを募集していますから、毎年数多くの作品に目を通すのですが、その作品の内容は我々が求めているものとあまりにもかけ離れている。これは、いま学校で教えられている先生方の多くが、いまのゲーム業界で求められているスキルをご存じないからだと思います。

── いま現場で通用する"生きた知識"を教えることができていないということですね

松山氏:はい、講師のみなさんは実際に現場で働かれた優秀な方たちですが、「PlayStation®2」専用ソフトの開発しか実績がないという方も中にはいらっしゃいます。「PlayStation®2」は2世代も前の機種です。もちろんゲーム作りには普遍的に変わらない所もあります。ですがゲーム業界は、去年の技術が今年はもう通用しないと言われるほどスピードの速い世界です。業界の中にいる人からも、毎年脱落者がいるほどです。このようなゲーム業界に求められる新しい人材を育成するためにも、いまの技術を知って、正しい勉強を行ってもらい、ゲームクリエイターになるためのしっかりとした道筋を歩んでほしい。スーパーゲームスクールの開校にはこういった思いがあります。

これまでゲーム業界は夢のあるきらびやかな面ばかりアピールしてきました。その結果、憧れることはできても、具体的にどれくらいの技術があればゲームクリエイターになれるのかということを、実は誰も教えてくれなかった。ですから、専門学校に入学してから「こんなことをやるなんて思っていなかった」、「数学や英語がいるなら、中学や高校で真面目にやったのに」なんて声が上がるわけですよ。これは結局、ゲーム開発に関する正しい情報を与えられてないからです。こういった理解不足に加え、現在業界で求められている技術とはかけ離れた授業というダブルパンチで作られた作品を、生徒の皆さんはポートフォリオとして企業に送るわけですね。企業には作品が山のように送られてくるわけですから、個々の作品に「ここを変えたほうが良い」などとお答えすることも難しい。つまり、「こうすれば勝てる!」 という合格ラインや方法がわからない。これでは、人材が育つわけがないんですね。

「なんで誰もやらないんだろう? と思っているならお前自身がやれよ!」

松山氏:このような現状を踏まえて、いま必要なのは、ゲーム業界に対するハードルを下げることと、その理解を深めることなんじゃないかなと思いました。これはサイバーコネクトツーさえよければいいという問題ではなく、ゲーム業界全体の問題だと考えています。そして同時に「なんで誰もやらないんだろう?」と思っていました。ですが今回、その考えを反省したんです。「なんで誰もやらないんだろう?」と思っているから誰もやらないんだと。「そう思っているならお前自身がやれよ!」と自分に言い聞かせて始めたのが、このプロジェクトです。

── 多くの企業や行政からすでに協力を受けていると聞きましたが……

松山氏:はい。実際にこの想いを週刊ファミ通の林編集長にお話ししたところ、両手をあげて応援しますと言うお言葉をいただきまして、1月23日にはここ福岡で特別講演を実施いただきました。また、福岡県も本プロジェクトにご賛同いただいています。これは、サイバーコネクトツー1社でやるのではなく、「GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP GATE FOR FUTURE)」という団体のもと、産業を担う人材を育成するという理念をもち、無料で開校したからこそ実現したことです。誰かが声をあげないと始まらないので、現在は弊社が舵を取っておりますが、福岡の他のゲーム企業や、多くのスポンサーのみなさんにも、講師や機材提供の面でご協力いただいています。そのうちの1社が、ツクモさんとなります。