そして、話題はいよいよ外装部分へ。S100の外装素材はアルミ合金だ。マグネシウムなどさまざまな素材を考えたが、加工性の良さと、(ユーザーが馴染み深い金属のため)金属的な質感を表現するのに向いていることから、アルミが選ばれたそうだ。適度な重量感もいい。金属ボディながら、S100の重量は250g。プラボディの本格実務電卓は210gなので、わずか40gしか増えていない。これは、持ち運ぶ気になれる重量と、高級感や満足度を得られる重量のバランスを考慮しているという。

ベベルのダイヤカットに走る一条の反射光も男心をくすぐる。聞けば、ここにもまた凝った加工がされているらしい。

ダブルアルマイト処理を施した筐体のダイヤモンドカット。液晶窓の縁にも同じ処理が施されている

筐体に使用されているアルミ合金製ケース。表面は高級感あふれるヘアライン処理

宇都宮氏「本体は、ブラックのアルマイト処理を施したアルミ合金です。そのベベル部分を研磨して金属地を出し、さらに反射光を抑えるアルマイト加工をもう一度行っています。金属地のままだと表面が腐食して曇ってしまいますし、あんまりギラギラ光るのも品がないと思ってこの仕様にしたのですが……。

このダブルアルマイト加工には、金属加工業者の方は皆さん驚かれますね。そんなことまでやってるの?って。そういうレベルの加工なんです」

本格実務電卓の筐体はビス留めで、4点にストッパーのシールが貼られる。これぞ実務仕様

S100は高級感と満足度を高めるため、目に付きやすい筐体のビス留めを廃した。ストッパーはエラストマー樹脂製

聞けば聞くほど、「そこまでやっちゃって大丈夫なの?」と、こちらが不安になってくるS100の開発エピソードの数々。実際、発売するまでは、社内にも懐疑的な意見があふれていたという。作りに凝りまくった3万円の電卓が売れるのか、と。

宇都宮氏「実際、『馬鹿じゃないの?』とは言われました。それも社内で(笑)。でも、馬鹿じゃないの? というところまでやるからこそ、それを理解してくださるお客様は確実にいるんですよ。S100は、そういう"違いがわかる人"に向けて作っている製品なんです」

大平氏「実際、問い合わせも多いですし、大手量販店のネット通販では品切れや入荷待ちになっている状態も目にします。S100は限定生産ではないので、お待ちいただければ必ず手に入るのですが、中には『待ちきれずに、在庫のある店を探して遠方から買いに来た』という方もいらっしゃったそうです」

S100は、カシオの高級時計「OCEANUS」(オシアナス)などと同様、山形カシオの工場で、専門の職人によって丁寧に組み立てられている。そのことからも、名実ともにカシオのフラッグシップ・プロダクツであることが理解できるだろう。

3万円の電卓。それは決して安いものではない。が、そのぶん、S100は長期の使用に耐える耐久性を備えている。極論を承知で書けば、S100を10年使うのと、3,000円の電卓を10年間、毎年買い換えるのは、費用面からいえば同等だ。しかし、それによって得られるビジネスの可能性と満足度は、決して同等ではないだろう。

(マイナビニュース広告企画 : 提供 カシオ計算機)

[PR]提供:カシオ