ブラザー販売は10月9日、製品・ソリューションを紹介するビジネス向けのイベント「Brother World JAPAN 2015 for Business」を都内で開催した。今年で9回目の開催となる。そこで本稿では、来場者の注目を集めていた製品・ソリューションを中心に、当日の模様を紹介していこう。
いま話題の"爆買い"に対応
会場は「店舗」「医療」「オフィス」「製造・物流」「モバイル」にカテゴリ分けされ、18のソリューション、11社に上るパートナー企業との取り組みが紹介された。
主催者講演に登壇したブラザー販売 常務取締役の三島勉氏は、その中から3つのユニークなソリューションについて語っている。まずは、そのプレゼンテーションの内容からお伝えしよう。
海外からの訪日客(インバウンド)による購買力に注目が集まっている。"爆買い"もそのひとつだ。三島氏は「この半年で免税店が倍増しました。店舗では免税の手続きに必要な”購入記録票”、”購入者誓約書”を作成しなければならず、パスポートから転記する項目もあります。手書きの手続きでは、お客様1人につき15分ほどかかり、記載漏れなど人為的なミスも起こりがちです。一方、専用の設備を置くと、狭いカウンターで大きな場所を占めてしまうため邪魔になってしまいます」と問題を指摘。そこでブラザーでは、株式会社 近畿システムサービスと協業して免税対応システム「TAXTIS (タクティス)」を開発した。
ハンディタイプ、もしくは据え置きタイプのスキャナーでパスポート情報を読み取り、A6用紙対応プリンター「MW-260 TypeA」で印刷できるのが特長。三島氏は「これまで15分もかかっていた作業が3分で済みます。業務効率が改善し、スペースやコストの問題も同時に改善できます」と説明する。最近では、東京・銀座周辺の高級ブランド店、アパレル店などで同システムの導入が進んでいるという。
社員のマイナンバーを安全に管理
2016年からマイナンバー制度が開始される。これにより企業は今後、社員のマイナンバー情報を安全に管理することが求められる。そこでブラザーは「マイナンバークラウドパック」を開発したスマイルワークスと協業して、同ソリューションと専用スキャナーを組み合わせた企業向けクラウドサービスを展開した。
専用スキャナーで読み取られた画像は、PCを介さずにクラウドストレージの専用フォルダにダイレクトにアップロードされる。クラウド上の情報には、管理担当者とマイナンバー情報を入力した本人以外はアクセスできない仕様で、必ずアクセス履歴が残るようになっている。三島氏はこの製品について「既存の安価なスキャナーを使って、安全でかつ効率的なデータ利用環境を整えられるサービスです」と解説し、その利便性をアピールした。
医療現場にもブラザーの技術
医療の現場にも、ブラザーならではの技術が生かされる。これまで小さな病院やクリニックでは、プラスチック製の診察カードに患者名などを印字させることが難しかった。カード印刷専用プリンターは数十万円かかる上に、用途もカードの印刷に限定されるため、導入に踏み切れない病院も多いという。そこでブラザーではメディングと協業し、ブラザー製のプリンターでカード印刷ができるようにした。
従来、レーザープリンターでプラスチックに印字することは、定着性や耐久性の面などでハードルが高かった。そのような中、ブラザーはメディングと何度も情報を交換して、課題をクリアしていった。平常時は通常のプリンターとして使える。業務効率の改善につながる、良いシステムになったと認識していると三島氏は胸を張った。
三島氏が紹介した3つの事例は、いずれもブラザーの既成品を使用したもの。このことから、同社製品の対応力の高さがうかがえる。ブラザーでは今後とも、パートナー企業と共に、お互いが持つ強みを生かしたソリューションを展開していきたい考えだ。三島氏は、集まった企業関係者に「何かお困りのことがございましたら、まずはご相談ください。できる限り対応させていただきます」と呼びかけるとともに、「ビジネスプリンターにおけるユーザー満足度で1位をいただきました。ブラザーはこれからも信頼のブランド、パートナーであり続けたいと思っています」とまとめ、プレゼンを終えた。