ユニットコムが運営する「パソコン工房」のイメージといえば、一般向けのPCを販売するPCショップとしてのイメージが強いだろう。しかし実は、法人向けPCの取り扱いにおいても長い歴史を誇り、学術機関や医療機関などの先進分野において数多くの納入実績がある。昨年、種子島宇宙センターから打ち上げられた気象衛星「ひまわり8号」のデータ管理と解析を行っている環境リモートセンシング研究センター (CEReS)も、古くからユニットコム 法人営業部(パソコン工房)を利用している機関のひとつ。今回は環境リモートセンシング研究センターのある千葉大学 西千葉キャンパスにお邪魔し、ユニットコムのシステムを選定した理由について伺ってみることにしよう。

千葉大学にある、環境リモートセンシング研究センター

付属図書館では、4kディスプレイ6枚を利用して、ひまわり8号の画像をリアルタイム表示している

千葉大学の環境リモートセンシング研究センターと情報通信研究機構(NICT)が共同で開発した「ひまわり8号リアルタイムWeb」は、高解像度可視画像としたひまわり8号のデータを誰でも閲覧できるようインターネット上に公開している。またYouTubeにおいても、「CEReS NICT JMA HIMAWARI Visualization Team」チャンネルにおいて重要度の高い気象情報を動画として配信しており、世界中から注目を集めている。このひまわり8号の気象データ取りまとめの中心人物であるお二人が理学博士の樋口篤志氏と、豊嶋紘一氏だ。

千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授 博士(理学) 樋口篤志氏

千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 特任研究員 博士(理学) 豊嶋紘一氏

静止気象衛星「ひまわり8号」の高解像度画像データをだれでも閲覧できる「ひまわり8号リアルタイムWeb」。NICTサイエンスクラウドによるシステムだ

環境リモートセンシング研究センターとは?

マイナビニュース:環境リモートセンシング研究センターはどのような活動を行っている施設なのでしょうか?

樋口氏:我々の所属している環境リモートセンシング研究センターは、限られた研究機関だけが認定される「全国共同利用型研究施設」となります。同様の施設としては、東大の地震研究所や大気海洋研究所などが有名ですね。1995年から活動しておりまして、現在のスタッフは10名ほどです。当施設は、人工衛星データを利用した環境研究の普及と推進を担っています。具体的には、人工衛星のデータを収集して研究コミュニティや一般向けに公開するという内容になりますね。

このような活動を長年続けていたのですが、2007年に4つの研究センターの合同により地球環境、特に気候に関する研究を推進するという特別事業が文部科学省によって始められました。この取り組みは我々の中では、通称「VL」(Virtual Lab. / 仮想研究室)と呼ばれていまして、東京大学と名古屋大学、東北大学、そして千葉大学がそれぞれの得意分野を活かして研究を進めようというものです。

日本では静止気象衛星といえばひまわりが知られていますが、地球全球での研究を推進するには、どこかの機関がデータを収集し、情報として扱える状態にしなければいけません。そこで、衛星の研究を専門に行っている我々、環境リモートセンシング研究センターが世界の静止気象衛星のデータを収集・管理するようになりました。全球でのデータを収集している機関は、アジアでは当センターのみとなります。たまに「なぜ千葉大学がひまわりのデータを持っているんですか?」と聞かれることがありますが(笑)、実はこうした過去の活動と、静止気象衛星分野における実績の積み重ねにより、ひまわり8号のデータをアーカイブすることを特別に気象庁から許可してもらえているのです。