業界のイメージアップと健全な利用を促進するために
野口氏:クレジット業界では広報や啓発にも力を入れていると伺いましたが、どのように取り組まれているのでしょうか。
杉本氏:協会に寄せられる消費者からの相談には、クレジットについて十分な知識や理解がないため発生したと思われるケースも多く見受けられます。クレジットを安心して利用していただくためには、会員各社によるわかりやすい情報提供などと共に、セキュリティ対策なども含めたクレジットの正しい理解を促進するための消費者広報・啓発の充実強化がたいへん重要だと考えております。
そのためには、まず消費者の皆様に、クレジットを利用するメリット・デメリットをしっかりと認識していただくことが必要です。お子様が親御様のカードを使用したため、多大な支払いをしなければならないといったケースもありますので、学生の時からしっかりとクレジットの仕組みについて学んでもらうことが必要だと思います。現在は主に若年層を対象として啓発キャンペーンを行っていますが、高等学校、大学等の教育機関へのクレジット教育支援や、消費者生活センター等の消費者関連機関との連携を強化することなどにも積極的に取り組んでいきます。こうした活動全体を通じてクレジットに対するイメージアップが図られることを期待しております。
関係業界と協力し、決済インフラを広めていく
野口氏:杉本会長は、長年の間クレジット業界に身を置かれ、ご自身の目で業界の歴史を見てこられたと思いますが、クレジット業界の長い歴史のなかで感慨深いことなどがあれば、お話しいただけますか。また、クレジット業界の将来をどのようにお考えでしょうか。
杉本氏:クレジット業界は、日本の経済発展と共に成長してきました。もともとクレジットはクーポン方式で、消費者の方にクーポン券をさし上げて物品を買ってもらうシステムでした。
昭和30年代には、初めてプラスチック製のクレジットカードが発行され、またクーポンから現在の個別信用購入あっせんという仕組みも出来上がり、「三種の神器」といわれた家電製品(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)や、高度経済成長期の「3C」(カラーテレビ、クーラー、自動車)に代表される耐久消費財の購入などに広く利用されるようになりました。個別クレジットの開発や、サイン一つで商品が買えるクレジットカードの出現が、日本の高度経済成長の一端を担い、その後の国民生活の向上や加盟店の販売手段の向上に大きく貢献してきたものと思っています。このような歴史の中、業界の諸先輩方には大変な苦労があったことも事実です。
現在のクレジット業界は、クレジットカードでのショッピング額は年々増加しており、個別のショッピングクレジットも概ね堅調に推移しております。ただ、クレジットカード決済の個人消費に占める比率は14%台と諸外国に比べ低い水準に留まっており、残念ながら"クレジット先進国"と言えるまでには至っておりません。言い換えればまだまだ伸びる余地があるということです。
日本のカード決済比率が低いのは、例えば公金や医療など、カードで支払いができる環境が未整備の分野もあることや、インフラの整備が十分とは言えないことなどが原因と思われます。また、地方の活性化を図っていくことも必要であり、そのための決済インフラを整備していくことが、今後の大きな課題だと思います。そしてカードを安心して使っていただけるような仕組みを作ること。我々クレジット業界だけではなく流通業者、ネット事業者、決済端末メーカー等とも協力し、安全・安心のための環境をつくっていくことが、クレジット業界の、そして日本経済の将来にもつながっていくものと思っております。
(マイナビニュース広告企画:提供 日本クレジット協会)
photograph = Toshio Sato
[PR]提供:日本クレジット協会