友達のようなAIは開発可能か

――ジャービスとウルトロンのように最終的な結果が異なるというのはあり得るということですが、その結果、映画のようにロボット同士が衝突するということはあるのでしょうか?

あると思いますね。ただ、高性能なAI同士が対峙すると、戦う前にシミュレーションをしてその時点でどっちが負けるのか、わかるかもしれませんね。となると、対峙した時点で勝ち負けがわかるからもう戦わないんですよ(笑)。なので、将来、AI同士が戦う世界になったら、争いはまったく起きないかもしれない。

――友達のような役割を果たすロボットは実際につくることはできるのでしょうか?

相当作りこめばできる可能性はあると思います。でも、そういうロボットを作るよりも、物流や乗り物の操作などに役立つ実用的なロボットを開発するほうが産業的には大事なことですので、実用的な観点からいえば、そちらが先に進むのかと思います。でもどこかの大金持ちが「どうしても人間のような人工知能を作りたい」と思って投資をすれば、ある程度のところまではできるかもしれません。

――最後に、松尾先生の考える理想のAIの使い方や将来像とは?

社会全体でどういう社会を作っていきたいかという合意を形成して、それをAIで実現していくということだと思います。でも、どういう社会を作るのかっていうのが最初の議論自体も結構難しいんです。例えば貧富の差がどれぐらいあってもいいのかとか、絶対に事故は起こらないけど時間がかかるとか、そういう効率性とリスクみたいなトレードオフになってくるものを判断するのが難しい。個人の価値観みたいなもので、それはそれぞれに違っていてもいいけれど、それを社会全体でどこまで許容するかも含めてですよね。AIは徐々に社会生活に入ってくるとは思いますが、社会にとって何が大事かの優先順位や取捨選択のバランスの議論をもっとしていかなければならないと思います。

――ありがとうございました。

人工知能の研究者から見た映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。素人とはまったく異なる視点からの奥深い考察を踏まえた上で映画を観れば、さらに興味深く感じられそうだ。

ストーリー
アイアンマンこと“戦う実業家”トニー・スタークが開発した<ウルトロン計画>――それは、人工知能による完璧な平和維持システム。しかし、進化と増殖を続けるウルトロンが選択した“究極の平和”とは、地球を脅かす唯一の存在=人類を抹消することだった……。世界中の都市を襲う人類滅亡の脅威に、最強チーム“アベンジャーズ”が再び結集。絶体絶命の彼らに残された最後の武器は、「愛する人を守りたい」という熱い思いだけだった……。


©Marvel 2015

撮影:伊藤圭

(マイナビニュース広告企画:提供 ウォルト・ディズニー・ジャパン)

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