店内には所狭しとアンティークのおもちゃたちが。

ゴジラの大きさは体感しましたが、なんだかもっと詳しくゴジラのことが知りたくなってしまいました。そんなわけで、次に訪れたのは高円寺にあるアンティークおもちゃを多数扱っている骨董品屋さん。ここで待ち合わせていたのは、怪獣絵師の開田裕治先生です。

開田先生の描く怪獣は、ゴジラのみならず躍動感があふれていてかっこいいんです! ハッとするような色彩が特徴的です。今日は開田先生にゴジラについて色々と教えてもらおうと思います。

開田先生のオリジナル怪獣イラストは迫力満点! (c) 開田裕治


「いま、ゴジラといえばやっぱり東京タワーだと思って、外階段昇ってきたんですよー

「そうなんですか? でも東京タワーに関しては、ゴジラが壊したのは平成に入ってからで、かなり後発なんですよ」

「え???????」

「ゴジラが発表されたのは昭和29年で、まだ東京タワーはありませんでしたからね。劇中でテレビ塔が倒されるシーンがあって、その印象が強いかもしれません。
東京タワーはいろいろな怪獣が壊しているのですが、ゴジラは後手に回っていて、5番目くらいに壊しているんですね。それなのに一般的には怪獣イコール、ゴジラという印象のためか、ゴジラが東京タワーを倒しているイメージがあるようです」




「な、なんと……」

「(あ、あんなにがんばって昇ったのに……)」

「ゴジラといえば、どちらかというと国会議事堂だったらしい……チーン……」

「(気を取り直して)怪獣絵師って、どんなお仕事なんですか」

「学生の頃から怪獣が好きで。卒業してすぐに怪獣復活ブームがあったんですよ。そうしたら怪獣の絵を頼まれるようになってね、気がついたら怪獣絵師と呼ばれるようになっていました。職業的にはイラストレーターなので怪獣以外も描きます」

「初めてゴジラを見たときのことを覚えていますか?」

「初代ゴジラが公開されたとき、僕はまだ1歳でしたら記憶にありません。当時は特撮映画が珍しかったので何年も大ブームになったそうですよ。僕が初めてゴジラを見たのはお好み焼き屋さんのテレビ放送だったんですけど、画面は小さいのに、すごい迫力で恐ろしかったことを覚えています」





「初めてゴジラを見たときのことを覚えていますか?」

「初代ゴジラは見て欲しいと思いますが、あんまり古い昭和ゴジラを最初に見てもね。最近だと「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」や「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」はおすすめです。映画としても非常にバランスがいいので楽しく見ることができると思います。怪獣の怖さもちゃんとあるし、バトルの爽快感もあります。役者さんもいい。あと、昭和の作品でしたら「キングコング対ゴジラ」もいいです。これは、怪獣映画と言うよりも、日本映画の全盛期を見よ! っていうくらいに豪華です」

「ゴジラを描くときに気をつけていることはありますか?」

「ゴジラの解釈には戦前生まれと戦後生まれとでは分かれるところがあるんです。戦前生まれの方たちにとってゴジラは戦争や破壊の象徴であり、ヒーロー的な存在ではないと思います。でも僕は、戦後生まれだからか、ゴジラをかっこいいと思っている。あこがれのようなものがあり、怖いだけのものとしては、描きたくないと思っています」

「あのぉ、マイナビニュース会員300名に「ゴジラに関するアンケート」を実施してみたところ、素朴な疑問が集まっておりまして、開田先生の解釈としてお答えいただける範囲でいいので教えていただけると嬉しいのですがいいでしょうか」

「いいですよ」

「(優しい……)」





「ゴジラはどこから来たんだと思いますか?」

「そうですね、ゴジラはいつも海から現れ、海へ帰っていきます。“南方回帰”という考え方があって、太平洋の南の方から来ているんじゃないかな」

「オスとメスはありますか?」

「それは公開されたときから話題になっています。ゴジラの卵が劇中に出てきたことはあるのですが、孤島にポンと置いてあるだけで、見守っていたゴジラが産んだとは限りません。子供のゴジラが出てくるシーンもあり、母のように教育する描写も見られますが、街を破壊する姿には、父親的な、男性的な印象を僕は受けます」

「ゴジラは何匹いると思いますか?」

「これも諸説ありますが、基本的に1匹でしょうね。劇中に“メカゴジラ”というニセモノが登場することがあるのですが、ニセモノがいる、ということは逆説的に“本物は1匹である”といえるかもしれません」

「なぜ暴れるのでしょうか?」

「なぜでしょうね。ゴジラはいつも人間がいるところへやってきます。僕はもしかして“なにもかもぶっ壊してしまいたい”と思っている人間の気持ちが、ゴジラを呼び、暴れさせているんじゃないかと思います」

「フムフム、なるほど……勉強になるわぁ……」

「ゴジラは普段、どこで暮らしていますか?」

「ゴジラのオフタイムだ……」

「海の中でしょうね」

「(海底でリラックスして読書するゴジラを想像してしまう……)」

「ゴジラの皮膚はどんな肌触りだと思いますか?」

「ゴツゴツとして堅そうですね。あれは、水爆実験や放射能の影響によって変異した際に受けた火傷の跡という説があります。だからハリウッド版のゴジラの皮膚はゴツゴツしておらず、鱗に覆われています。いずれにせよ、ゴジラの肌は人間レベルで触ったら堅いでしょうが、あらゆる攻撃をはねのける耐性を考えるとある程度の弾力はありそうですね」

「ゴジラに知能や知性はあると思いますか?」

「人間の言葉が分かるような知性はないでしょうね。ただ、頭が悪いわけではありません。感情はあります。理性は…あるかどうかは分からない。でも人間に都合のいいような理性は持ってないでしょうけどね。犬か猫かでいえば猫だと思います。何を考えているかは、分からないから」

「(猫耳のゴジラ……)」

「どんなニオイがすると思いますか?」

「劇中でゴジラのニオイが話題になったことはないので、強いニオイはなさそうですが、海の中で暮らしていて、出てくるときに流す描写もないので、海のニオイがするのかもしれませんね」

「(ゴジラ、磯のニオイがするんだ……)」

「ゴジラは何を食べていると思いますか?」

「なんでしょうね。動物は食べるみたいですよ。劇中でイルカを追いかけているシーンがあります。あと原子炉を取りこんでパワーアップしたりもします」

「ゴジラに出会ったらどうすればいいですか?」





「逃げるしかないでしょうね」

「(やばい、だんだん質問がくだらない方向に)」

「(そろそろ締めよう)」

「開田先生にとってゴジラはどんな存在ですか」

「ゴジラは今の時代では、いや、あの時代でなければ思いつかなかったものでしょう。昭和という時代を象徴しているような、昭和の影から生まれ出たような傑作娯楽映画です。ゴジラを見ると、大人になってからはなかなか手に入らないものを感じられます。それは、台風が来るとわくわくしてしまう子供心のような。怖い、だけど見たい。もしもゴジラが誕生していなかったら、僕はどんな人生を歩んでいたのか想像もできません」

「ありがとうございました!」

「わたし、ゴジラに会いたくなりました」

「そうだね」

「ゴジラに会って、写メ撮りたい」

「死ぬよ?」

「でも今日はゴジラ目線を体験できたり、開田先生のお話をお伺いしたり、全然知らなかったゴジラにとても興味が湧きました! 悪者だと思っていたゴジラが、そうとも限らなかったり、オスだと思っていたけれど、そうとも限らなかったり。すごく興味もわいて、好きになりました。やっぱり会いたいです!」


知れば知るほどその魅力に引き込まれ、どんどん妄想が膨らんでいくゴジラ。そこには戦後復興に懸ける日本人のパワーや、映画黄金期における製作者達の熱い情熱、さらには人間の怪獣に対する憧れや恐怖など、様々な思いがギュッと詰まっている素晴らしい作品なんだと思いました。そんなゴジラの魅力をぜひ、一人でも多くの方に知ってほしいと思います。 ちなみに、今回行ったアンケート調査で人気のあった作品は下記の通りとなっています。


質問:どの作品がお好きですか?3つまでお選びください。


ダントツの一位だった「ゴジラVSモスラ」はそのタイトルの通り、人気怪獣の「モスラ」と対決した話題作! 1964年の「モスラ対ゴジラ」で対決済みにもかかわらず、ファンによる熱烈なアンコールに応じて制作されたそう。巨大隕石が小笠原所島沖に直撃することで巨大怪獣ゴジラが目覚めます。同じ頃、南洋のインファント島で先住人類の守護神である巨大蝶モスラの卵が発見され……! モスラの味方である身長15cmの美人コンビももちろん登場。その美声もご堪能あれ!

「ゴジラVSモスラ」 (C)TOHO CO., LTD.

ということで、いかがでしたか? ゴジラをまだ見たことないという人はもちろん、もう一度あの作品が見たい! と思っているゴジラファンの皆さんは、ぜひ、5/2からWOWOWシネマにて放送されている「史上初!『ゴジラ』全30作品一挙放送」を見て、もっともっとゴジラを好きになっていただきたいと思います。きっと、皆さんもゴジラの奥深い魅力にハマるはずです。

また、各作品の放送スケジュールについては特設サイトでチェックして、気になる作品を見逃さないようにしましょう。


取材協力

東京タワー

・開田祐治先生 原画展を宮崎と石巻で開催中。 詳しくはコチラ

小山ひかる ファッションモデル。天真爛漫な性格で動物好き。歌とダンスが得意。愛称は「ヒカチュー」

ライター

コヤナギユウ
デザイナー/イラストレーター/エディター。
旅先などでの体当たり絵日記風のブログが人気。住処は主に布団の中。

(マイナビニュース広告企画:提供 WOWOW)

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