USB Steel PowerによってUSB3.0に安定した電力を供給
続いてバックパネルを確認しよう。"Haswell-E"はグラフィックス機能を内蔵していないため、映像出力端子は存在しない。そのぶんUSB3.0はバックパネルだけで8ポート、さらに内部端子として4ポートと豊富に備えている。USB端子へ供給される5V電源は、「USB Steel Power」によってUSBコントローラーチップを通すことなく直接ATX電源から生成されるので、多数のUSB機器を接続しても安定した動作が可能だ。また"Haswell-E"はCPUラインナップすべてがオーバークロックに対応する"K"シリーズとなるため、BIOSリセットスイッチをバックパネルに搭載。UEFI-BIOSが起動しないときでも、ケースを開けることなくすぐに復旧が行える。
ギガビットLANのコントローラはIntel I218-V。安定性と省電力で定評のあるIntelコントローラを標準搭載しているのはうれしいところだろう。HDオーディオ端子は光出力を備えたものとなっており、アナログ端子には金メッキが施されている。接点不良を防止し、長期間にわたって音質を維持してくれるだろう。搭載されているサウンドチップは少々控えめなRealtek ALC892。ここまで見た中で初めてコストを抑えたであろう箇所だ。最新チップであるALC1150にはスペック面で及ばないものの、7.1ch出力にも対応しており、機能的に劣ることはないだろう。
LANコントローラには、安定した動作と少ない消費電力で人気の高いIntel製を採用している。別途LANカードを追加しなくとも、十分な性能を発揮してくれるだろう |
サウンドチップはRealtek製のALC892。バックパネルには光オーディオ出力も備えている。最新ではないものの、今なお定番となっている安定したチップだ |
項目別にわかりやすくまとめられたUEFI-BIOS画面
UEFI-BIOSの起動画面は、「CLASSIC」シリーズのロゴマークともなっている「GUARD PRO」があしらわれたもの。言語設定を変えることで日本語表記も可能だ。ただし完全に日本語化されるわけではなく、最新デバイスの説明は英語表記の部分も多いため、逆にわかりにくくなることもあるかもしれない。オーバークロックは画面左中央の「OC」タブから行うことができ、設定を「Simple」から「Advanced」に変更することでより細かな設定が行える。CPU電圧の設定だけでも6つのパターンを選択でき、柔軟なオーバークロックが行えるだろう。
「X99S SLI PLUS」の起動画面。「CLASSIC」シリーズのロゴマーク「GUARD PRO」があしらわれたシンプルな画面に好感がもてる |
画面右上から言語設定を変えることで、日本語表記も可能。ただしUEFI-BIOSの用語に慣れているユーザーは逆に分かりにくくなる可能性も |
また「Memory Try It !」では、メモリチップを選択することで、DDR4メモリを自動オーバークロックすることも可能。手元にあったDDR4-2133で試してみたところ、DDR4-3000 CL15で問題なく起動が行えた。ただし各電圧が引き上げられることで安定性や寿命に影響を与えるうえ、メモリの耐性によって必ずしも成功するとは限らないので、試す場合は自己責任のもとで行おう。
その他、MSIユーザーにはおなじみの「Hardware Monitor」や「Board Explorer」も利用可能。ファンの回転速度を温度ごとにグラフ上から手動で調整したり、ケースを開けることなくマザーボードに接続されたデバイスを確認したりできる。
「Hardware Monitor」を利用すれば、グラフィカルな画面でファンの速度を設定できる。CPU温度を確認しつつ調整し、ファンの騒音を上手に減らそう |
マザーボードに搭載されたチップや、搭載したCPU、ポートに接続したデバイスなどを確認できる「Board Explorer」 |
X99 Expressの定番と成り得るコストパフォーマンスに優れた一枚
MSIのラインナップの中ではスタンダードな「CLASSIC」に属する「X99S SLI PLUS」。"Haswell-E"を中心としたシステムは高価になりがちだが、本マザーボードは2万円台から購入が可能。しかしここまで確認してきたとおり、「Turbo M.2スロット」などの技術も余すことなく投入されており、安価だからといって機能面での妥協点は見当たらない。他のシリーズと比べると際立った特徴こそないが、その分どんな環境においても安定したパフォーマンスを発揮してくれるだろう。"Haswell-E"を搭載するマザーボードの定番製品として活躍してくれそうな、コストパフォーマンスの良さが光る一品だ。
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