2014年8月、Intelから"Haswell-E"が発売された。このハイエンドCPUとともに登場したチップセットが「X99 Express」だ。8コアもしくは6コアを内蔵し、新たにDDR4メモリを採用、PCI-Express最大40レーンを利用できる"Haswell-E"に対応する最新の仕様となるため、各マザーボードベンダーの「X99 Express」ラインナップには豪華な製品が並ぶ。MSIもその例にもれず、最新技術を駆使したマザーボードを多数発表した。今回はその中から、最もスタンダードな「CLASSIC」モデルとして位置付けられている「X99S SLI PLUS」をご紹介しよう。
MSIのマザーボードラインナップはユーザーの用途に合わせて4種類にカテゴリー分けが行われている。極限のオーバークロックを目指す「OVERCLOCKING」シリーズ、ゲームを楽しむための「GAMING」シリーズ、省電力に注力した「ECO」シリーズ、そしてスタンダードな「CLASSIC」シリーズだ。「CLASSIC」シリーズは、独自規格「GUARD PRO」に準拠しており、回路・湿気・高温・静電気・電磁干渉からマザーボードを保護し、省電力を実現する"エコパワー"を利用できる。またMSIが提案する高品質コンポーネントの基準である「ミリタリークラス4」に準拠したSFC(スーパーフェライトチョーク)と固体コンデンサにより、高負荷が続く環境においても安定した動作が可能だ。特定の用途に特化した機能を備えていない分、もっとも汎用性の高いシリーズとなっている。
MSIのマザーボードは、用途別に4つのカテゴリー分けが行われている。オーバークロック向けの「OVERCLOCKING」、ゲーマー向けの「GAMING」、省電力な「ECO」、スタンダードな「CLASSIC」だ |
モノトーンで統一されたシックなマザーボード
それでは「X99S SLI PLUS」の仕様を確認していこう。他のシリーズのように特定用途をイメージした色が無いため、マザーボードの外観は黒、白、シルバーというモノトーンで統一されている。この実用性重視の色彩がかえって好ましく感じるユーザーも多いことだろう。CPUソケットは、X79 Expressで採用されていたLGA2011から変更され、新たにLGA2011-v3を採用。"SandyBridge-E"や"IvyBridge-E"との互換性は無いため、現在のところ"Haswell-E"専用のマザーボードとなる。ソケット構造も変更されており、2本のレバーによって固定する方式となった。
メモリスロットは8基となり、対応するメモリは従来のDDR3から最新のDDR4へと進化している。DDR4メモリはX99 Expressで初めて採用されたため、現状ではまだまだ高価だ。X79 Express同様クアッドチャネルアクセスに対応しており、DDR4自体の速度と相まってこれまでにないメモリアクセス速度が期待できるだろう。さらにCPUが公式に対応しているDDR4-2133/1866/1600/1333はもちろんのこと、最大DDR4-3333までのオーバークロックに独自対応している。
搭載するCPUによってPCI-Expressを最大40レーンまで使用できるだけのことはあり、拡張スロットには4基ものPCI-Express3.0 x16スロットを備える。スロット形状は上からPCI-Express x16、x1、x16、x1、x16、x16となり、3-WayまでのNVIDIA SLIおよびAMD CrossFireに対応可能。2-Wayであれば2基のグラフィックスカードをx16で動作させることが可能なため、マルチGPUを利用する人はぜひとも"Haswell-E"+X99 Express環境を検討してほしい。
拡張スロットはすべてPCI-Express。最大40レーンが利用できるため、マルチGPU利用時にも十分な帯域を確保可能。スロット最下部には、ボタンを押すだけでPCのパフォーマンスを向上させる「OC GENIE4」も確認できる |
最大32Gb/sの転送速度を実現するTurbo M.2スロット
ストレージポートの数も大幅に増加している。X79 ExpressでサポートされていたSATA3.0×2、SATA2.0×4からSATA3.0×10へと変更されているだけでなく、SATA3.0の6Gb/sを超える10Gb/sの転送を実現するM.2ポートやSATA-Expressポートを備えており、アクセス速度の向上も期待できそうだ。特にM.2ポートは、MSIの独自技術によりPCI Express 3.0 x4の帯域を利用して最大32Gb/sの転送速度を使用できる「Turbo M.2スロット」となっており、対応したSSDを利用することで従来の転送速度の壁を打ち破ることができるだろう。なお、万が一マルチGPUなどでPCI-Expressの帯域が不足した場合でも、通常の10Gb/sで動作させることが可能だ。