東京オリンピック開催による訪日外国人に向けた対策とは

大久保氏:現在、我が国は観光立国を目指し、訪日外国人旅行者数を平成2 8 年までに年間1,800万人にするとしております。また、2020年には、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定していることからも、訪日外国人旅行者数が増加するのは確実といえます。日本国内において、より多くの人にとって、さらにクレジットカードが安心して利用しやすい環境を整備・拡充していくことが不可欠と考えられますが、今後どのような対応が求められると思われますか?

島田氏:観光庁が公表した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」において、電子マネーやクレジットカードの利用が可能な施設の拡大や利用可能であることの表示について促進することが掲げられています。

すでに日本クレジット協会でも利用可能であることの表示の強化への取り組みを始めておりますが、クレジットカードのさらなる受入体制の整備については、取扱加盟店のニーズも踏まえ、加盟店とクレジット会社が一体となって推進していくことが不可欠だと感じています。

例えば、「表示を効果的に行ったことで店舗の売り上げ増につながった」などの具体的な成功事例の発信、また、加盟店やその地域の特性にあった表示の提案などの取り組みを業界として展開していくことも有効だと思います。

さらに、今後は消費税の免税対象が消耗品にも拡大適用されることになり、訪日外国人の消費における利便性向上が期待されます。従来、クレジットカードを取り扱ってこなかった小売店や地方の物産店などが免税品を取り扱う際に、新たにクレジットカードの取り扱いも始めていただけるよう総合的に取り組んでいくことが、利用加盟店拡大の観点で重要だと思います。

訪日外国人の消費における利便性向上のために、クレジットカード加盟店の拡大は重要だという

米IT企業との業務提携や外貨建て決済サービスを実施

大久保氏:三井住友カードは銀行系クレジットカード業界のリーディングカンパニーの1つとして、このような環境の中、どのような取り組みをなされていますか?

島田氏:弊社は昨年5月に、米国スクエア社との戦略的業務提携を発表しました。スクエア社は、米国でスマートフォン決済サービスを展開し、事業開始から3年で加盟店数は300万店、取り扱い高は年間150億ドルに達するなど、スマートフォン決済のリーディングカンパニーです。弊社がこのスクエア社と提携し、日本でスマートフォン決済サービスを展開してから約1年が経ちますが、加盟店数・取扱高ともに順調に拡大しています。

スクエア社のユーザーとなった加盟店は、これまでクレジットカードの取り扱いがなかった事業者が大半で、個人事業主も多く含まれています。弊社がこのサービスを立ち上げるに当たり、「クレジットカード決済が十分に浸透していないスモールビジネスのマーケットを開拓すること」をひとつの眼目に掲げておりましたが、これまでのところ所期の目標通りの展開となっていると認識しています。

また、弊社では外貨建て決済サービスにも取り組んでおります。平成24年にEC取引での外貨建て決済サービスを導入したのに続き、昨年7月には実店舗版も導入しました。折りしもその直後に2020年の東京オリンピック開催が決定しましたが、外国人利用者の多い宿泊施設や免税店などを中心に、このサービスに対する関心が日に日に高まっていることを実感しています。弊社は外国人観光客の方の立場に立ったアクセプタンス環境の実現に積極的に取り組み、我が国の観光立国を目指す動きに対して、協会としての活動だけでなく、個社としても貢献してまいります。

大久保氏:三井住友カードは特にITを活用した決済サービスに力を入れているのですね。

島田氏:弊社では2年前に、米国の最先端の決済技術動向に関する情報収集拠点として、シリコンバレー・パロアルトに事務所を開設しました。米国では大手企業からベンチャー企業まで企業規模を問わず、決済ビジネスへの参入が相次いでおり、これらの事業者はITを駆使して独創的で斬新な決済サービスを次々と生み出しています。米国で生まれた新しい決済技術・サービスの中には、日本の決済ビジネスを大きく変革する可能性を秘めたものも少なくありません。これらの情報をいち早くキャッチし、日本の決済ビジネスへの影響や弊社のビジネスへの活用方法を日々研究しています。

海外の革新的なサービスも活用しながら、日本の決済ビジネスの変革にチャレンジし続けたいと考えています。

お客様に安全なインフラを提供するそこに個社としても貢献する所存

大久保氏:副会長をお務めいただきました島田様は、日本クレジット協会が果たすべき役割とはどのようなことであるとお考えでしょうか。

島田氏:クレジット決済が受け入れられる大前提として、お客様に安全なインフラの下で安心してご決済いただける環境の実現、いわば決済の安心・安全が担保されていることが決定的に重要だと思います。

現在、クレジット業界では、決済サービスの多様化と高度化が急速に進んでおります。割賦販売法に基づく自主規制機関や認定個人情報保護団体の立場として、消費者保護の観点で時勢にあったルールを制定・運用していくことは無論ですが、技術革新等による新たな課題についても速やかに対応していくことも、クレジット業界の発展に資する協会の重要な使命であると考えています。

今春協会は中期業務運営方針を策定しましたが、今後はこの方針にある「安全・安心・快適なクレジット利用環境の整備」の精神に則りさまざまな取り組みを推進し、クレジット業界の健全な発展に貢献することを期待しております。

私自身は協会の副会長としての任からは離れましたが、その実現に向けて個社の立場か らとはなりますが、引き続き精一杯、貢献していきたいと考えています。

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