オーバークロックで見事に上位機種超えを達成!

いよいよNEXTGEAR i630SA7-MNのオーバークロックを行うわけだが、まずは基礎的な部分について説明しておこう。CPUには定格の動作クロック周波数があるが、オーバークロックとはこの定格以上の周波数で動作させることを指す。ただし注意してもらいたいのは、オーバークロックを行うと発熱や消費電力の増加、場合によってはシステムの安定さを欠くような事態に陥ることもある。動作クロック周波数を一気に上げるのではなく、コア温度などを細かくモニタリングしながら、徐々に最適値を見つけ出すようにしよう。なお、オーバークロックはメーカーで推奨しているものではないため、あくまでも自己責任の範囲でトライしてもらいたい。

旧来、オーバークロックといえばBIOSでベースクロックを上げる方法がメジャーだったが、マウスコンピューターの製品はBIOS上でベースクロックの変更が制限されている。そこで今回は、インテルが提供する無料のオーバークロックツール「Intel Extreme Tuning Utility(インテルXTU)」を使用し、クロック倍率を上げる方法で行った。

NEXTGEAR i630SA7-MNに搭載されているCore i7-4770Kは、標準時の動作クロック周波数が3.5GHz、「ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0」有効時が3.9GHzとなっている。ちなみに、CPU型番の末尾にある「K」は倍率ロックが解除されたモデルであることを示している。

インテルXTUを用いたオーバークロックの設定は、「Manual Tuning」項目にある「All Controls」もしくは「Core」から、「Processor Cache Ratio」を変更。これに伴い、「Multipliers」に表示された4つの「Active Core」で各コアの倍率も変更していく。より高い周波数で動作させる場合、通常はコア電圧「Core Voltage」を徐々に上げながら安定稼働する値を探っていくが、今回はライトなオーバークロックにとどめるため、コア電圧はデフォルトのままで安定する周波数に調整していきたいと思う。

この条件で周波数倍率を上げていったところ、42倍に到達したところで負荷テスト実施時の動作が不安定になった。そこで41倍に戻し、負荷テスト中でもコア温度が50度を超えない範囲で推移していることを確認。今回のNEXTGEAR i630SA7-MNのオーバークロックはマックス4,100MHzということで、定格よりも200MHzほど高速で動作させることができた。先に述べたように電圧関係はノータッチなので、この結果が妥当かどうかは微妙だが、人柱の有志達の情報を見ても良くてプラス100~200MHzという感じだ。もちろん、CPUとしての個体差というものも大きく影響するため、筆者の感覚だと至って標準のCPUに当たった印象。ということで、この環境で再び先ほどのベンチマークを行った結果は以下の通りだ。

Windowsエクスペリエンス インデックス(WinSAT)
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC後)
プロセッサ 8.3 8.4 8.4 8.5
メモリ 8.3 8.4 8.4 8.5
グラフィックス 8.4 8.3 8.7 8.3
ゲーム用グラフィックス 8.4 8.3 8.7 8.3
プライマリハードディスク 5.9 5.9 5.9 5.9
CrystalMark 2004R3
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC後)
Mark 361825 363927 365128 381370
ALU 88983 88889 89338 97960
FPU 79238 79921 80163 87006
MEM 85865 87298 89944 86044
HDD 18634 18503 17078 17685
GDI 24769 24856 24326 25128
D2D 20072 19884 19356 20797
OGL 44264 44576 44923 46750
スーパーπ
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC後)
13万桁 0秒 1秒 0秒 0秒
26万桁 2秒 2秒 2秒 1秒
52万桁 4秒 4秒 4秒 4秒
104万桁 9秒 9秒 9秒 8秒
209万桁 20秒 21秒 21秒 19秒
419万桁 47秒 48秒 47秒 45秒
838万桁 1分44秒 1分44秒 1分44秒 1分39秒
1677万桁 3分49秒 3分50秒 3分49秒 3分38秒
3355万桁 8分23秒 8分19秒 8分21秒 7分57秒

どれもオーバークロックの効果がしっかりと表れているが、特に大きな差が出たのはCrystalMark 2004R3の結果だ。Mark項目の値はオーバークロック前と比べて+19545ポイント、MASTERPIECE i1430GA4と比べても16242ポイント上回っている。ハードウェア構成を変えることなく、見事に上位機種のスペックを超えたわけだ。

もともとパフォーマンス的にかなり優れたCPUだけに、体感的に変わったかと言われると微妙だが、それでも数値としてこれだけの結果が出たのには満足だ。CPUをフルに使うマルチタスク時や、高度な演算を行う時などはかなり快適になるはず。さらに、こうしてベンチマークを回していても50度を超えないというのも、耐久度を考えた場合かなり良好な印象だ。もちろん水冷システムが大いに貢献していることは明白だが、これぐらいのライトなチューニングに留めておくほうが、今回のPCには合っているのかもしれない。

このように、オーバークロックはライトな方法でもPCのスペックを飛躍的に向上してくれるテクニックだ。特に、今回使用したNEXTGEAR i630SA7-MNは水冷式のCPUクーラーを標準搭載しているため、オーバークロックのベースモデルとしても最適。もちろん、オーバークロックなしでも十分な性能を発揮してくれる。

ただし、CPUのオーバークロック耐性には個体差が存在するほか、やり方によっては突然起動しなくなるような場合もある。今回の検証はあくまでも参考程度にしていただき、自分でオーバークロックを行う際は、前述の通りあくまでも自己責任の範囲でトライしてもらいたい。

詳細スペック

型番 NEXTGEAR i630SA7-MN
CPU インテル i7-4770K プロセッサー(3.5GHz)
チップセット インテル Z87 Express チップセット
メモリ 16GB
HDD 1TB
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX760(2GB)
ディスプレイ -
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
ネットワーク 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×1
インタフェース USB 3.0ポート×4(背面×2、前面×2)
USB 2.0ポート×6(背面×4、前面×2)
DVI-I×1
DVI-D×1
DisplayPort×1
HDMIポート×1
ラインイン
ラインアウト
ヘッドフォン
マイク入力(モノラル 前面×1/背面×1)
リアスピーカー
センター・サブウーファー
サイドスピーカー
サイズ/重量 W190×D543×H450mm、約10.7kg
OS Windows 8.1 64ビット版
価格 13万9,800円

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