パーツ交換なしで性能をアップするオーバークロック

PCの性能はCPUやメモリ、グラフィックボードなどの各パーツに依存する。性能を上げるには、基本的にパーツを交換するしかないわけだ。しかし"基本的に"と書いたように、パーツを交換せずスペックアップを図る方法もある。それがオーバークロックだ。

今回は、マウスコンピューターが提供するスタンダードゲーミングPC「NEXTGEAR」シリーズの中でも、G-Tune10周年を記念してマイナビとのコラボモデル「NEXTGEAR i630SA7-MN」に注目したい。

NEXTGEAR i630SA7-MN

これは、マイナビニュース編集部が考えたオーバークロックに最適な構成のデスクトップPCを、マウスコンピューターとのコラボで製品化したもの。13万9800円(税別)というリーズナブルな価格ながら、標準構成でCore i7-4770K(3.5GHz)や16GBメモリ、GeForce GTX760を搭載。これだけでも十分にコストパフォーマンスが高く、カスタマイズ用のBTOメニューも用意されているが、せっかくなら「お値段据え置きでさらなる性能アップを!」というわけで、標準構成のままオーバークロックで上位機種を超える性能が出せるかにチャレンジしてみる。

「NEXTGEAR」シリーズでお馴染みとなっている、精悍なフロントマスクのケース

フロントパネルを開けるとドライブにアクセスできる。フロントパネルは着脱可能だ

ブラックで統一されたケース背面

カードスロットなどは本体上部に配置

高い冷却性能とメンテナンス性に加え、拡張性も抜群

オーバークロック時も頼りになる水冷式のCPUクーラー

80PLUS GOLD認証取得の700W電源を標準搭載

なお、NEXTGEAR i630SA7-MNは水冷式のCPUクーラーを採用しているため、オーバークロックのベースモデルとしても最適。さらにチップセット、CPU共にどのモデルも同じものを搭載しているので比較はしやすい。特にチップセットに関しては、オーバークロックを許可しているのはインテルでは「Z87 Express」のみになる。その他、いくつかのチップセットでクロックアップできるものも存在していたが、結論として"バグが残っていたため偶然クロックアップできた"というのがオチだったようだ。まぁ、簡単にいえばZ87 Expressを使えば大手を振ってクロックいぢりができるということなのである。

性能比較のターゲットであるハイスペックモデル「MASTERPIECE i1430GA4」

「MASTERPIECE」シリーズを超えるべく、「NEXTGEAR i630SA7-MN」がオーバークロックに挑む」

性能比較のターゲットとして選んだのは、Core i7-4770KとGeForce GTX760を搭載したスタンダードモデル「MASTERPIECE i1430BA3」、そしてCore i7-4770KとGeForce GTX780を搭載したハイスペックモデル「MASTERPIECE i1430GA4」の2機種だ。いずれも「G-Tune」のフラッグシップゲーミングPCとして位置付けられる「MASTERPIECE」シリーズで、NEXTGEARシリーズのワンランク上に属している製品。ただし、どちらも販売は終了しているため、参考機材としてご覧いただきたい。MASTERPIECE i1430BA3については、パーツ構成や価格がNEXTGEAR i630SA7-MNと非常に近いため問題なくクリアできると思われるが、価格にして4万円以上の差があるMASTERPIECE i1430GA4が難関だ。それぞれのスペックは以下の通り。

「NEXTGEAR i630SA7-MN」簡易スペック

CPU インテル Core i7-4770K プロセッサー(3.5GHz)
チップセット インテル Z87 Express チップセット
メモリ 16GB
HDD 1TB
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX760(2GB)
OS Windows 8.1 64ビット版
価格 13万9,800円(税別)

「MASTERPIECE i1430BA3」簡易スペック

CPU インテル Core i7-4770K プロセッサー(3.5GHz)
チップセット インテル Z87 Express チップセット
メモリ 16GB
HDD 1TB
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX760(2GB)
OS Windows 8.1 64ビット版
価格 14万2,800円(税別) ※販売は終了しています

「MASTERPIECE i1430GA4」簡易スペック

CPU インテル Core i7-4770K プロセッサー(3.5GHz)
チップセット インテル Z87 Express チップセット
メモリ 16GB
HDD 2TB
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX780(3GB)
OS Windows 8.1 64ビット版
価格 18万800円(税別) ※販売は終了しています

オーバークロック前のスペックをチェック

双方の実力が分からなければ性能を比べようがない。そこでまずはオーバークロック前に、3製品に対して各種ベンチマークテストを実施してみた。

指標に用いたのは、Windows 7以前に搭載されていた「Windowsエクスペリエンス インデックス」に相当する結果が得られる「WinSAT」を実行した結果および、ベンチマークソフト「CrystalMark 2004R3」と円周率計算プログラム「スーパーπ」の実行結果だ。

本来ならグラフィックスもクロックアップさせてゲームベンチも……などという構想もあったが、あまりカスタマイズを幅広くやりすぎると結論が絞りづらくなるため、今回は却下。ちなみにベンダーの独自ツールなどを使えば、割と気軽にGPUのクロックアップができる製品も存在する。ただし、故障した時のダメージはやはり大きいので、自力で復旧可能な人にしか勧めることはできない。

さて話を戻そう。WinSATの実行結果から、Windowsエクスペリエンス インデックスの各項目に相当するスコアは以下の通り。プロセッサとメモリはMASTERPIECEシリーズ2製品が上回っており、プライマリハードディスクはすべて横並び。グラフィックスについては、GeForce GTX780搭載のMASTERPIECE i1430GA4が飛び抜けている状況だ。

Windowsエクスペリエンス インデックス(WinSAT)
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
プロセッサ 8.3 8.4 8.4
メモリ 8.3 8.4 8.4
グラフィックス 8.4 8.3 8.7
ゲーム用グラフィックス 8.4 8.3 8.7
プライマリハードディスク 5.9 5.9 5.9

CrystalMark 2004R3の実行結果は、NEXTGEAR i630SA7-MNと比べてMark項目でMASTERPIECE i1430BA3が2100ほどリード、MASTERPIECE i1430GA4が3300ほどリードしている。

CrystalMark 2004R3
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
Mark 361825 363927 365128
ALU 88983 88889 89338
FPU 79238 79921 80163
MEM 85865 87298 89944
HDD 18634 18503 17078
GDI 24769 24856 24326
D2D 20072 19884 19356
OGL 44264 44576 44923

スーパーπについては、CPUとメモリ容量が同じという点から、そこまで大きな差が見られなかった。あとはオーバークロック後に数値がどこまで変化するかが気になるところだ。

スーパーπ
項目 NEXTGEAR
i630SA7-MN
(OC前)
MASTERPIECE
i1430BA3
MASTERPIECE
i1430GA4
13万桁 0秒 1秒 0秒
26万桁 2秒 2秒 2秒
52万桁 4秒 4秒 4秒
104万桁 9秒 9秒 9秒
209万桁 20秒 21秒 21秒
419万桁 47秒 48秒 47秒
838万桁 1分44秒 1分44秒 1分44秒
1677万桁 3分49秒 3分50秒 3分49秒
3355万桁 8分23秒 8分19秒 8分21秒