市場規模は今後も拡大クレジット産業のポテンシャルと課題の解消に向けた取り組み

江口氏:そのような状況において、今後のクレジット産業の市場規模はどのように推移していくとお考えでしょうか?

寺澤氏:インターネット取引やスマートフォン決済の拡大、またオリンピックに向けたインフラ整備のなかで、市場規模はさらに拡大していくでしょうし、クレジット産業が発展していくポテンシャルは非常に大きいと考えています。また、現在クレジットカードがあまり使われていない分野として、税金など公共部門の決済があげられますが、一部の自治体ではすでに利用が始まっています。消費者にとっては平日の9時から17時の間に窓口に行くという手間がなくなり、自治体側からしても徴税コストを削減することができるという、まさに「ウィン・ウィン」の関係になることですから、こちらについてもぜひとも推進していきたいですね。

江口氏:初期投資は必要かもしれませんが、人件費などを含めたランニングコストを考えますと、クレジット決済の導入は、確かに先々のコストカットにつながりそうですね。クレジット産業の健全な発展とともに、消費者の利益保護をより一層図るために、今後クレジット業界に対して、どのようなことを期待されていますか?

寺澤氏:まずは今後も消費者、事業者のニーズをいかに業界としての取り組みに反映させるかが鍵になると認識しています。また、ITのさらなる進展に伴う非対面取引の成長も見込まれるなか、より迅速・安全な決済手段を提供することが必要です。消費者の利益保護については、過量販売の防止や多重債務者問題への対策として、平成20 年(2008年)に「改正割賦販売法」を作り、平成22年(2010年)から完全施行しています。クレジット加盟店に対する調査や、指定信用情報機関を利用した支払可能見込額調査などを義務付けることで、悪質な加盟店の排除や消費者の多重債務などの問題については、相当程度、改善してきたと考えています。

クレジットカード利用者の保護を進めることが大切だと寺澤氏は語る

江口氏:具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか?

寺澤氏:悪質加盟店の排除については、日本クレジット協会の「加盟店情報交換制度」を充実させていくことが重要です。例えば、インターネットショッピングは、実際にお店に足を運んで買い物をするのとは違い、販売店が信用できるところなのかどうかがなかなか判断できず、心配される方も少なくないでしょう。クレジット業界では、そのような悪質な加盟店についての情報を交換することで、クレジットカードを利用できないようにする、という取り組みが行われています。

また多重債務の問題については、先ほども申しましたとおり、指定信用情報機関に集まった個人の信用情報の確認を徹底するようにしました。さらなる信用向上のためには、万が一、誤登録があった場合には速やかに修正する仕組みを確立することも重要だと考えています。一方で、今般「提携ローン」に関する反社会的勢力との取り引きが大きな問題となっているため、反社会的勢力との「関係の遮断」「取り引きの解消」も大きな課題と認識しています。当省では、2012年10月に策定した「割賦販売法(後払分野)に基づく監督の基本方針」でも、「反社会的勢力による被害の防止」を求めてきたところではありますが、2013年10月1日付であらためて、日本クレジット協会および会員企業に対して、再度「反社会的勢力排除の徹底」について要請を行っています。

現在、反社会的勢力の排除に向けた「共同データベースの構築」や「自主規制規則の強 化」など、クレジット業界としての対応強化が着々と準備されていますが、さらに排除に向けて徹底した取り組みが進むことに期待しています。

江口氏:「消費者の安全・安心」ということを考えますと、クレジットカードの不正利用を防止するなど、セキュリティの充実も挙げられると思います。以前、海外で1泊3日のお仕事をした際、あまりに短い滞在だったためか、クレジット会社から「本当に海外に行かれましたか?」という確認の連絡をいただいたことがありました。セキュリティ技術はもちろん大切だと思いますが、こうした細かな確認もしているのだと驚きました。

寺澤氏:不自然な利用があれば細かくチェックし、不正利用の早期発見につなげるのも、クレジット会社にとっては非常に重要なことです。これは当然「消費者の安全・安心」につながるものですし、不正利用による被害はクレジット会社にとってもコストがかさむものでもありますから、それを排除することで、よりカードホルダーに対するサービスを充実させることにもつながっていきます。

江口氏:クレジットの利用拡大で、消費者生活がさらに豊かに、便利になることに期待しております。本日はありがとうございました。

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