パソコンにとってもっとも負荷がかかる作業のひとつといわれているのが3Dゲーム。緻密なグラフィックの再現、派手なエフェクトの演出、大容量データの読み込みといったタスクを実行するため、高いパフォーマンスが求められる。こうした作業が短時間で済むのならば、強力なCPUとグラフィック性能があればよいが、PCゲームの場合はそうはいかない。プレイに没頭してしまった場合、長時間負荷がかかることになる。ここで紹介するフェイスの「Passant i7GZ8N78-W X」は、PCゲームによる高い負荷を、長時間支えられるだけの“足まわり”性能を確保しているのがポイントだ。

自作PCの“お手本”ともいえるパーツ構成

Passant i7GZ8N78-W X

試用機の基本仕様をチェックしてみよう。核となるシステムはIntel Z87 ExpressとCore i7 4770Kの組み合わせ。これらは第4世代Intel Core プロセッサー・ファミリーが登場してからというもの、コンシューマ向けハイエンドPCの鉄板コンビといえる。メモリはDDR3-1600の8GBモジュールが2枚、計16GBを搭載。大容量メモリにより、64ビットOSの性能を最大限に引き出す仕様だ。ストレージ構成は120GBのSSDに2TBのHDD。OSや各種プログラムファイルは高速リード性能を確保したSSDに、画像や映像データといった大容量ファイルはHDDに格納するといった使い方が可能となる。グラフィックはNVIDIAのハイエンドGPU、GeForce GTX 780(試用機はSLI構成)。優れた描画性能により、最新PCゲームの緻密なグラフィックをもたつくことなく表示できるという寸法だ。ズバリいうと、これらの基幹パーツの選択は、現在の自作PC市場において“お手本”あるいは“理想”ともいえる組み合わせ。だが、今回紹介するマシンは、こうした基幹パーツの選択以外にも参考になるパーツチョイスがなされている。クルマで表現すると、単に強力なエンジンを積んでいるだけではなく、足まわりやオーバーヒート対策も万全のマシンといえるだろう。


まず、冷却性についてのチェックポイントにPCケースのチョイスが挙げられる。同機で採用されるPCケースはクーラーマスター製の「CM 690 Ⅲ」。フロントフェイスが大胆に全面メッシュ構造になっており、フレッシュなエアを大量に取り込める設計になっている。さらに、フロントとレフトサイド、トップに20mmの大口径ケースファンを搭載可能。強力なエアフローを発生させることで、内部の熱を排出できる。大口径ファンを搭載できるということは、低回転でも大きな風力を確保でき、静音性と冷却性を両立できるということだ。PCゲームを楽しんでいる際に、ファンによる騒音が耳については台無し。その点、同機では左サイドに大口径ファンを搭載し、熱の発生源として大きいグラフィックボードに大風量を直接当てて冷却できる。なお、このレフトサイドのケースファンとフロントに搭載されたケースファンは、電源を投入すると赤く光るLEDライト付きに換装されている。妖艶な赤い光は、ゲームプレイを密かに盛り上げてくれる。

フロントは全面メッシュ構造で、エアインテークしやすい。背面をみるとわかりやすいが、電源ユニットは上部ではなく底部に取り付ける設計

ケース左側面に大口径ケースファンを取り付けられる。この左側のファンとフロントの吸気ファンは赤色のLEDが仕込まれ、電源投入するとレッドに発光する

クーラーマスター製の水冷ユニット「Seidon 120XL」を採用。ラジエーター部分は38mmと厚型で、12mmファン2基に挟まれ、効率よく冷却液を冷やす

冷却性能については、もう一工夫こらされている。CPUクーラーに空冷ではなく水冷を採用。水冷クーラーは、空冷よりも冷却性能が高く、効率よくCPUの熱を下げることができる。さらに、液例ヘッドがコンパクトで通常の空冷CPUクーラーのように容積を取らない。そのためエアフローを遮蔽することなく、スムーズにフロント→リアに空気が流れやすい。また、冷却性が高く静音性も担保されている水冷ならば、CPUのクロックアップにチャレンジしやすい。ちなみに試用機が搭載しているCore i7-4770Kは、倍率ロックがフリーとなっており、クロックアップにもってこいのCPU。自己責任とはなるが、CPUの性能アップを目指してクロックアップに挑戦するのもよいだろう。