みなさん知っての通り、2014年4月に長い間愛されてきた名OS「Windows XP」のサポートが終了となる。実際にまだこのOSを使っている人は意外に多く、確かに用途によって現在でも十分な働きをしてくれていることは理解できる。
しかし、サポート切れがもたらす影響は計り知れず、セキュリティの問題をはじめ、脆弱性パッチがもう適用できないこと、さらにはソフトウェアの不具合もこれ以上の解消は望めないことになってしまうからやっかいだ。
Windows XPがリリースされたのは2001年11月。思えばかなりの年月が経っている。もちろん、現在使われているエディションはSP3が主流であろうし、PCの購入時期もその頃だというユーザーもいるだろう。ちなみにSP3の発表は2008年になるので、それでも5年は過ぎ去っていることになる。
現在のWindowsの最新バージョンは8で、さらに8.1のリリースも10月18日と迫っている。世代的には3世代も進んだことになる。もちろん、PCも進化を続けた結果、Windows 8を最適に動かすための能力を身につけている。当然のようにWindows XP世代のPCとでは、スペックだけを見ても雲泥の差が生まれてしまっているのが現実なのだ。
ここで筆者が言いたいのはただひとつ。「Windows XPは十分働いてくれたじゃないか」ということ。現在まで使い続けたのには必然的な理由があることは分かるが、今回のサポート切れは逆に最新世代へのステップアップを告げる声だと考えてみてはいかがだろう? 実際に最新世代のOSとマシンから享受できることは非常に多い。ここでは、現在のメインストリームともいえる、誰にとっても扱いやすい典型的なスタンダードノートPCを例にその実力を見ていこうと思う。
CPU | インテル Core i3-4000M |
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チップセット | インテル HM86 Express |
メモリ | 4GB(4GB×1) |
ストレージ | 500GB HDD |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GT 750M |
OS | Windows 8 64bit |
価格 | 79,800円(税込) |
Windows XPには壁があった!
最新のWindows 8をベースと考えた場合、Windows XPと決定的に変わった点がいくつかある。ひとつは搭載できるメモリの量。Windows XP世代では、64bit版を購入するユーザーはほぼいなかった。サードパーティーがリリースするソフトウェアや、デバイスのドライバなどが、まだ64bit環境に合わせられていなかったというのが一番大きな理由だったが、Windows 7の世代ぐらいからは、64bit環境への適合はPC業界内でほぼ完了したといって良いだろう。そんな理由もあって、Windows 8では余程のことがない限り、OSプリインストール済みのPCのほぼすべてに64bit版が入っている。
32bit版と64bit版の違いをいちいち解説するスペースがないので割愛するが、64bit版OSを選択した場合の大きなメリットのひとつは搭載できるメモリ量が拡大されることだ。理論的には最大192GBまでは問題なく搭載できるが、マザーボードのスペースの問題もあるので、現在のノートPCの場合は8GB×2の組み合わせで最大16GBが設定される場合が多い。Windows XP 32bit版の最大搭載量が4GBだったことを考えれば、それがどれだけの大容量化を果たしているかはすぐに想像できるだろう。
Windowsにログインした直後の画面はこのように違いがある。Windows XP(左)はデスクトップがすぐに表示されるが、Windows 8(右)ではスタート画面が出てくる。使い勝手や機能の違いについては本記事と趣旨が違うので割愛するが、この画面を見るだけでも、両者の間に大きな変化があったことが容易に想像できるだろう |
また、Windows XPではOSが認識できるHDD容量にも限界があった。当時もよく「2TBの壁」などと話題になったので、よく覚えている人も多いだろう。現在の市場で出回っているHDDは4TBは当たり前、一番安いモデルでも1TBもしくは2TBとなる。もっともノートPCの場合は大容量化を目指す方向ではなく、速度を重視する方向へ進んでいるので、それほど大容量のHDDを搭載することはあまりない。しかしながら、Windows 8ではこれまでの容量の制限を超えたHDDに対応していることも、大きなメリットだと覚えておいて欲しい。
”2TB”の壁をもう一度おさらい
Windows XP 32bit版はOSの制約上、2TB以上のストレージは読めない。周知の事実であるが、実際はどうなるのか?今更ながら検証してみた。使ったマシンはX58Exressチップセットのマザーボードを搭載している。これにWindows XP、Windows 8 64bit版の両OSを入れ、3TBHDDを接続するとどのように見えるかを確かめてみる。
まずは、Windows 8のディスクの管理で、3TBのHDDを「MBR」に変換してみる。MBRはWindows XPの標準的なパーティションタイプだ。こちらにするとご覧の通り、2048GB以上は認識出来ずに、746.52GBははみ出した部分となり、フォーマットすらできない。
同じ条件で今度は「GPT」で変換する。すると3TBのHDDの容量をフルに使えることが分かる。
さて、同じマシンでWindows XPを起動し、ディスクの管理を覗いてみる。すると、3TBHDDhは先ほどのはみ出した部分、746.51GBしか認識できない。BIOS、SATAコントローラー、OSいずれに原因があるのか詳細は不明だが、これもよく見かける現象だ。ひとつ確かなことは、Windows XP 32bit版では2TB以上のストレージはまともに扱えないということだ。
こちらは2TBHDDを接続したときのディスクの管理画面になる。2TB未満のHDDであれば、すんなりと扱える。やはり、大容量世代のOSとしてはWindows XP 32bit版はやや苦しいことがお分かりいただけただろう。
ついでにメモリ3GBの壁も見てみる?
もう一つ、こちらは32bitOSの限界の話になるが、メインメモリについてもこちらは3GBまでしか認識できない。
Windows 8 64bit版のシステムには、このマシンが搭載しているメインメモリ12GBがきっちり表示されている。
一方、Windows XP 32bit版のシステムのプロパティには2.99GBとしか表示されない。先ほどと同じマシンなのに、約9GBのメモリ空間は使われないという、なんとも寂しい状況だ。メモリやHDDの価格がすっかりお手頃になっている現在、その恩恵に預かろうというのならば、最新OS環境が大切となることがはっきり見て取れるはずだ。
最近のメインストリームノートPCから分かること
さて、Windows XPとWindows 8の決定的に異なる点についてはこれぐらいにして、まずはこちらのノートPCをご覧いただこう。マウスコンピューターのLuvBook Kシリーズ「LB-K600E」は、BTOに対応したメインストリームのまっただ中ともいえるバランスの良いスペックがウリのスタンダードノートPCである。
CPUにはエントリークラスのインテル Core i3-4000Mが採用され、CPUクロックは2.40GHzのデュアルコアとなる。デュアルコアといえば、XP世代にとっては「インテル Core 2 Duo」が連想されると思うが、もはやそれとは別世界の高い処理能力を持っている。例えば、同じ2.40GHzのCPUクロックでいえば、当時はハイエンドに近いモデルだったE6600辺りが該当するが、インテル Core i3-4000Mはエントリーモデルでありながらハイパースレッディングに対応しているので4スレッドとなる。それだけ見てもかなり賢くなっているのはお分かりいただけると思うが、同じ周波数帯のCPUでありながら、E6600の消費電力は65Wだったのに対して、インテル Core i3-4000Mは37Wと効率の良さが際立つ仕様であることも大きな違いだ。
その他、メモリの周波数も違うし、HDDの性能やATA規格も上がっている。スペック全体が押し上げられているので、XP世代のPCからの買い換えを投資と考えれば、見返りに得られる「快適さ」で確実に進化しているのだ。また、このモデルに採用されている15.6インチディスプレイは1,920×1,080ドット、すなわちハイビジョン対応の高解像度タイプとなっている。画面が非常に広く使えるので、マルチウィンドウで作業しても実に快適だ。
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