除湿機
ASRockマザーボードは、UEFI BIOSにもユニークな機能が満載だ。とくにこちらはASRockならではの機能も多いので、いくつか紹介していこう。まずは前回ユニーク機能として紹介した「除湿機」だ。こちらもどういう動作をするのか実機で確認していこう。
除湿機機能といってもコンプレッサーが回るようなことはないし、マザーボード上にも特別な「機械」は搭載されていない。ASRockマザーボードにおける除湿機機能は、電源オフ後も定期的にCPUクーラーを動作させることでケース内の空気を入れ替え、湿度を抑えるものである。
Dehumidifier Periodは、シャットダウンの何分後に動作させるかの指定。その下のDurationは何分間CPUファンを回すかの指定、CPU Fan SettingはCPUファンの回転数を1~255(最大)までの値で指定する |
そんなことで湿度が下がるのか、と疑問を持たれるかと思うし、筆者も半信半疑だ。なので、シチュエーションから想像してみよう。例えば起動中のPCケース内は外気よりも温度が高く、その後電源をオフにするとケース内が冷えてくるが、この冷える過程で湿度が高まることになる。湿度は温度によって変化するからだ。そして一般的に電源オフ後のPCケースは対流がないため、外気よりも湿度が高いまま保たれてしまう、ということが考えられる。そこで、定期的に空気を入れ替えすれば、PCケース内の温度と湿度、外気の温度と湿度が均され、その結果ケース内湿度が下がる、という理論だろうと推測できる。無意味ではないし、実際このシナリオ通りに運べば数値は下がるだろう。ASRock自身も、「湿度70%の環境において、20分動作させることで40%まで低下させることができる」と主張している。ただ、効果があるにせよ、それと同時にエアコンを入れるのがよいとは思う。ジメジメした環境はPCのみならず人間にとっても不快なので……。
インターネットフラッシュ
Advancedの中にあるのがインターネットフラッシュ機能。一般のPCユーザーの場合、あまり気にするところではないが、自作PCにつきまとうのがUEFI BIOS更新だ。昔はフロッピーディスクを用意してDOSコマンドから書き込むという面倒な作業をしていたが、ASRockの最新マザーボードではそんな手間は要らない。UEFI BIOS上からインターネットを通じてダウンロード、更新できる。
UEFI BIOSから「Internet Flash」という項目をクリックすると、自動的にネットワークのIPを調べ適用、ASRockのサーバに接続する。そして新しいUEFI BIOSファイルを検出すると、それを適用するかどうかの確認画面が表示されるので、適用する場合は「Yes」を押せばよい。
システムブラウザ
Main画面にあるシステムブラウザをクリックすると、マザーボードの写真が現れる。このマザーボード上の各部にマウスカーソルを合わせると、その部分の情報が表示される。拡張スロットに搭載したカードの情報や、USBポートに挿したデバイスの情報なども表示でき、例えばPCケースをデスク下などに収納した後でも、どのUSBポートに何のUSB機器を接続しているのか、というのが把握できる。
グラフィカルなUIでマザーボード上の各種情報を表示できるシステムブラウザ。Fatal1ty Z77 Professionalの場合、2系統あるLAN端子のうちどちらにケーブルが接続されているのか、ということも把握できる |
OMG(オンライン マネージメント ガード)
これはインターネット接続できる時間帯を制限するといったことができる機能だ。時間帯によって料金が変わるようなISPで利用する機能という説明も一応あるが、子どものインターネット接続を制限するということに実用性があり、子どもにとってはリアルに「オーマイガッ!!」な機能かもしれない。普通、こうした機能はWindows上のアプリケーションとして販売されているものだが、それをUEFI BIOSで実装したというのが面白い。なお、子どものインターネットアクセス制限をする場合、UEFI BIOS自体のパスワードを併用すればパーフェクトだ。
Load Optimized CPU OC Setting
初心者には難しいとされるOC。確かに高クロックで動作させるためには、適切な電圧を与える必要があり、どこまでも引き上げられるわけではないのでさじ加減も必要になる。そのため各社とも初心者向けOCツールを提供しているが、ASRockではUEFI BIOS上にあらかじめプリセットを用意しておくことで対応している。案外アグレッシブな設定もあり、例えば赤い文字の項目はCPUクーラーも高性能なものが必要。また、青い項目でも、上からひとつひとつ順に試していくのがよいだろう。
No-K OC
インテルがCore iプロセッサー・ファミリーを投入して以降、オーバークロックは「末尾にKが付くプロセッサ」というのが常識だ。Kの付かないプロセッサは、倍率が固定されており、基本的に定格のまま使うというのがセオリー。ところが、ASRockの「No-K OC」は、倍率の固定されているはずのCPUで、Turbo Boostの値を変更できてしまうというのだ。
「Turbo Boost値」というように、No-K OCが利用できるのはTurbo Boostに対応したCPUに限られ、Xeonでは利用できないとされているので、Core i7またはCore i5用ということになる。手元にKナシCPUがなかったため、動作テストができなかったが、Core i7-3770Kと3770では2,000~3,000円の価格差があり、コストを切り詰めつつパフォーマンスを最大化したい、といったニーズにとってはメリットがあるだろう。
なお、代理店によると、K付きのCPUでもオーバークロッカーによる推奨値が設定されており、そのプロファイルを適用することで、オーバークロッカーの手法を学ぶことができるという。オーバークロックに興味のある初心者にとっても、お手本になりそうな機能だ。No-K OCはそもそもK付きCPUのオーバークロックに対応した同社インテルZ77チップセット搭載マザーボードで利用できる機能とされる。試してみたい方はインテル H77やB75ではなく、同社のZ77マザーボードを選ぼう。
「面白い!」と思っちゃった貴方はもうASRockの術にハマってる
前回の記事の冒頭で「ASRockが変則マザーボードからの脱皮を目指している」と書いたが、ソフトウェア面の各機能をじっくり見ていくと、「変則」あるいは「目の付け所が独特」だと感じる。主に後半紹介したUEFI BIOSで特に感じられるところだ。ASRockというメーカーを理解しているつもりでも、おもわず「えっ!?」と思う機能が出てくる。CPUメーカーによる縛りがキツイ今、ソフトウェア面で差別化を図ろうとしているのだと思うが、でもなぜWindowsソフトではなくUEFI BIOSで……とは誰しもが思うところだろう。UEFI BIOSに実装してしまえば、OSを問わないで利用できるため実際に便利なわけだが、そこまで計算した上でのことなのかどうかは機会があれば問い詰めてみたい。
前回紹介したハードウェアの「信頼性」という点に加え「実用性」なソフトウェアバンドルも新生ASRockの武器である。結構多機能なRAMディスクツールに実用的なUSB高速化ツール、ネトゲユーザーには気になるLAN高速化ツールなど、単体で集めると手間もコストもかかる3つのツールがドライバDVDに収まっているのだからお得といえよう。
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