■昔の面影も残しつつ品質面で信頼を築くASRock。その魅力を徹底解剖
【ハードウェア編】
【ソフトウェア編 第1回】
【ソフトウェア編 第2回】

前回は、写真を通じて高信頼な部品や多くの機能を詰め込んだASRockのIntel Z77 Expressマザーボードを2製品紹介した。確かにユニークな機能は搭載しているが、昔を知るユーザーは、「ASRock、真面目になったなあ」と感じただろうし、あるいは「もっとASRockらしさを……」と思ったかもしれない。ただ、ハードウェアだけでASRockは語れない。むしろ調べていくと、ハードウェアよりもソフトウェアのほうが数倍ユニークで、昔のASRockテイストを放っていたりする。

そこで、今回は前回に引き続き2枚のASRockマザーボードを用い、ASRockのソフトウェア面をスクリーンショットとともに紹介していこう。

ソフトウェアをチェックしたゲーマー向けのマザーボード「Fatal1ty Z77 Professional」(左)とメインストリーム向けの定番「Z77 Extreme6」(右)

実用的なユーティリティが盛りだくさんな内容

まず注目したいユーティリティが「XFast 555」。これはASRockマザーボードで利用できるユーティリティのなかでも中核機能といえ、今回用いるFatal1ty Z77 Professionalはもちろん、エントリー向けのB75M R2.0といったモデルでも利用可能。同ユーティリティは「XFast RAM」「XFast LAN」「XFast USB」の3種類のアクセラレーション機能からなっており、RAM、LAN、USBそれぞれを加速させるため“555”(Go!Go!Go!)というネーミングになっているのだ。

USB接続の記憶デバイスを高速化

紹介した順番とは前後してしまうが、まずはXFast USBから説明していこう。XFast USBは、USBの高速化ツールで、ASRockの製品ではかなり以前からバンドルされていたものだ。USB高速化ツールは、大手周辺機器ベンダーを中心にUSBストレージのバンドル品として配布されている。XFast USBはそのマザーボードバンドル版といったイメージだ。性能については、実際にUSB機器の転送速度を計測してみたので、その結果をみていただきたい。

XFast USBの設定画面には、NormalとTurboという2つの項目があり、Turboを選ぶことでXFast USBが有効になる。USB機器を接続すると、初回接続時に限り「再度抜き差しする」ように指示されるが、次回以降はXFast USBのプログラムがUSB機器を自動認識する。今回は、SSD(OCZ Vertex 4 512GB)を搭載したSATA 3→USB 3.0変換アダプタを用意し、CrystalDiskMarkを用いて転送速度を計測した。また、USB 2.0ケーブルに交換することでUSB 2.0接続時の効果も調べている。結果からいうと、USB 3.0時、2.0時ともに効果がみられた。USB 3.0時は、一部の項目でTurboよりNormalが速いという結果となったが、シーケンシャルや512KBの書き込みが速いことに注目したい。そのため巨大ファイルのバックアップなど、USB外付けストレージの肝心な用途において、Normalよりも短時間で処理を完了することができそうだ。


USB 2.0時は、USB 3.0時よりも多くの項目で速度向上が見られた。そもそもUSB 2.0接続はUSB 3.0接続時の1/5程度なので、大容量データのコピーでは数時間かかることもザラだ。そうした長時間を要するコピー作業では、時間短縮の効果も高いだろう。

通信速度の向上でネットゲームを快適に!

XFast LANは、オンラインゲームの優先度を高く設定することでゲームの待ち時間(レイテンシ)を短縮できるという。ネットワーク速度は環境により様々なので、この機能は実際に体感してもらうしかないが、なかなか面白い試みといえるだろう。一応オンラインゲーム向けとされているものの、ゲーム以外にもネットワークを利用する様々なプロトコル・プログラムにも対応している。

XFast LANをインストールすると、ネットワーク使用状況を表示する小さなグラフが表示される

アプリケーションごと、あるいは送信/受信といったように、知りたい項目のみを表示させることもできる

同ツールをインストールして起動すると、小さな画面が表示される。これはネットワーク状況を表示するグラフを兼ねている。これを右クリックするとメニューが開き、設定画面を呼び出せる。一部英語のままの部分は残るが、大半は日本語化されている。主に設定するのは「設定」と「プロトコル」「プログラム」といった項目だろうか。設定タブは全般的な設定を、詳細はプロトコルやプログラムタブから詰めていく格好だ。プロトコルタブは、用途別にストリーミングやサーバプロトコル、ファイル共有といったサブ項目に分けられており、プログラムタブも同様にVoIP、ゲーム、ファイル共有といったサブ項目から構成されている。基本的に、それぞれTX制限(TX Limit)値を設定していくことで優先度を指定していく仕組みだ。プログラムに関しては、あらかじめプリセットが登録されているほか、ユーザーが追加登録することもできる。

XFast LANは日本語対応。ネットワーク用語なので難解ではあるが、ルータ等の設定などで聞いたことのある単語が登場する

プロトコルタブの「特別」項目。SSHやSSL、FTP、Telenetといった代表的なプロトコルに対し、プリセットが適用されている

帯域制御設定というのは、具体的にはTX制限(TX Limit)の値を指定するものだ

プログラムタブの「ゲーム」項目。あらかじめ代表的なゲーム用にプリセットが登録されている。新規にインストールしたゲームがリストに無い場合は、下の「新しいプログラム」にexeファイルのパスを指定し、TX制限の値を設定していけばよい