韓国サムスン・エレクトロニクス(以下、サムスン)が発表した新世代のSSD、「Samsung SSD 840 PRO」。新型のNANDフラッシュやコントローラを搭載する注目のSSDだ。今回はさまざまなベンチマークテストを行い、Samsung SSD 840 PROの性能を掘り下げてみた。
サムスンは、NANDフラッシュ、DRAM、SSDなど、さまざまな分野で世界No.1シェアを獲得している、世界最大の半導体メモリメーカーである。そのサムスンが、最近注力しているのがSSDだ。世界で唯一、SSDの主要パーツであるNANDフラッシュ、コントローラ、DRAMのすべてを自社でまかなえるメーカーでもある。
昨年11月に発表した「Samsung SSD 830」は、世界最高レベルの性能と高い信頼性を実現し、高い評価を得た。今回、Samsung SSD 830の後継として9月24日に発表されたのが、Samsung SSD 840 PROおよびSamsung SSD 840である。スペックなどについては、発表会の記事「サムスン新SSD発表会 - ベンチマークは? そして次世代のSSD像とは?」をご覧いただきたいが、搭載NANDフラッシュの高速化、新型コントローラ「MDX」の採用、DRAM容量の強化など、さまざまな面で性能向上が図られた魅力的な新製品である。
特に、上位となるSamsung SSD 840 PROは、再び世界最速の称号を目指して設計されており、性能にこだわるエンスージアストにとって非常に気になる製品であろう。そこで、Samsung SSD 840 PROの性能をじっくり検証していくことにしたい。テスト環境は以下に示した通りで、比較用にSamsung SSD 830(128GB)を用意した。なお、今回検証に用いたSamsung SSD 840 PROの容量は256GBである。
テスト環境
CPU : Core i7-3770K(3.50GHz)
マザーボード : GIGABYTE GA-Z77X-UD3H(Intel Z77 Express)
メモリ : DDR3-1600 4GB×2
グラフィックスカード : ELSA GLADIAC GTS 250
HDD : Western Digital WD10EADS(1TB)
OS : Windows 7 Ultimate SP1 64bit
シーケンシャルリード/ライトで実測500MB/s超えを実現
まずは、定番の「CrystalDiskMark 3.0.1c」の結果から見ていこう。Samsung SSD 840 PRO(以下SSD 840 PRO)のシーケンシャルリードは実に518.5MB/sにも達しており(図1-1)、Samsung SSD 830(以下SSD 830)に比べて24MB/s以上も高速になっている。シーケンシャルライトの性能も驚異的で、こちらも500.2MB/sと(図1-2)、500MB/sの大台を突破。RAID 0構成ではない単体のSSDで、ここまでの数値を見たのは初めてである。
前モデルのSSD 830の性能も決して低いわけではなく、現時点でもトップクラスなのだが、シーケンシャルライトの結果は340.5MB/sであり(図2-3)、性能は1.5倍近くに向上したことになる。
(編集部注:以降の画面写真をクリックすると、別ウィンドウで原寸表示となります。)
SSD 840 PROは、ランダムリード/ライトの性能も非常に高い。特に4K QD32ランダムライトの速度は、SSD 830の3倍近く(図1-4、図2-4)となっている。SSD 840 PROは、実使用でのパフォーマンス向上を狙い、シーケンシャル性能よりもランダム性能を重視したチューニングを行っているとのことだが、その言葉に偽りはない。
SSDの性能を比較するときに注意したいのが、データ圧縮機能である。一部のSSDでは、データに0や1が続く場合は、コントローラがそのデータを圧縮してフラッシュに書き込む仕組みになっており、ランダムデータと「0や1が続くデータ」では性能が異なるものがある。
メーカーによっては、圧縮が効いた状態でのパフォーマンスをカタログスペックとして謳っているものもあるが、実際のデータは、必ずしも圧縮が効きやすいものばかりではない。CrystalDiskMarkでは、通常はランダムデータの読み書きを行うが、圧縮が効いているかどうかを確認するために、0または1で埋めたデータでの性能を計測することができる。そこで、0で埋めたデータ(0Fill)で計測してみた。
SSD 840 PRO、SSD 830ともにランダムデータ(図1、図2)とほとんど結果が変わらず、データを圧縮していないことが確認できた(圧縮されていると0Fillのほうがパフォーマンスが高くなる)。サムスンのSSDは、実使用において常に安定した性能が出ることを重視し、データを圧縮していないことが特徴だ。
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