マウスコンピューターの「LuvBook T」シリーズは、15.6型液晶ディスプレイとGeForce GT 640Mを搭載した、コストパフォーマンスの高いスタンダードノートPCだ。一般的な傾向として、「コストパフォーマンス」「スタンダード」といった表現で語られる製品は、エントリークラスから中程度の性能を持ちながら、それほど強い個性は持たないものが多い。しかし同シリーズは、スタンダードノートの王道に沿いながら、Core i7やSSD+HDDのデュアルストレージなど、パワーユーザーも満足させる強力な構成が可能となっている。
今回、シリーズの中で"プレミアム構成"に位置づけられている「LB-T510S-SH」を試用する機会を得たので、その使い心地を詳しく紹介したい。
8万円を切る構成ながら非常に優れた操作感
「LuvBook T」シリーズは、1366×768ドット表示に対応した15.6型ワイド液晶ディスプレイ、"Ivy Bridge"世代の最新CPU、そしてグラフィックスチップとしてGeForce GT 640Mを搭載した据え置き型のノートPCだ。この春に登場した新デザイン筐体を採用し、ダークブラウンを基調とした落ち着いた外観となっている。
今回紹介するLB-T510S-SHは、クアッドコアプロセッサのCore i7-3610QM(動作周波数2.30GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.30GHz)、8GBメモリ、DVDスーパーマルチドライブなどを搭載したモデル。これらに加えて前述のGeForce GT 640Mが搭載されるとあって、確かにノートPCとしてはハイスペックなものであることがわかる。
以下にベンチマークテストの結果を示すが、特にゲーマー向けモデルを銘打つ機種ではないにもかかわらず、1280×720程度の解像度であれば、ファイナルファンタジーXIVのような高負荷のゲームでも、十分実用的に楽しめるスコアが得られている(なお今回は、内蔵ディスプレイがフルHD表示に対応していないため解像度は1280×720までのテストとなっている)。また、CINEBENCHの結果を見ても、ほかのCore i7-3610QM搭載PCと同じパフォーマンスを、正しく得られていることが確認できる。
BIOHAZARD 5 ベンチマーク ベンチマークテストB(DirectX 10) | |
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1280×720 | 74.5fps |
ファイナルファンタジー XIV オフィシャルベンチマーク | |
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Low | 2694 |
3DMark Vantage 1.1.0 Performanceプリセット | |
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3Dmarks | P7728 |
GPU SCORE | 6557 |
CPU SCORE | 16641 |
3DMark Vantage 1.1.0 GPU SCORE | |
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1280×720 | 8905 |
CINEBENCH R10 64bit | |
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Single CPU | 5669(2分36秒) |
Multiple CPU | 19996(0分44秒) |
ただし、実際にこの製品に触れて、各種ソフトのインストールや実行、Webブラウジングなどの日常的に発生する操作を試してみると、非常にキビキビとした操作が可能で、前述のベンチマークスコア以上に快適な利用ができることが実感できた。筆者はPC新製品の試用時、ベンチマークソフトが格納されているZIPファイルの展開や、そのソフトのインストールなど、機種を問わず行う定型作業を何度もこなしている。あくまで主観的な評価となるが、それらの定型作業を行う中で、10万円以下のノートPCとしては、従来製品よりも明らかにマシンのレスポンスが高速で、体感的な軽快さはワンランク上であると確信できた。
この軽快さが生まれる理由は、Windowsエクスペリエンス インデックスを見れば、すぐに知ることができる。プロセッサ、メモリに加え、ストレージのテストも7以上の高いスコアとなっており、マシンの中にボトルネックとなる場所がないことがわかる。Core i7や高性能グラフィックスチップを搭載しているPCでも、ストレージがHDDの場合、このスコアは6以上となることはほとんどない。CPUやグラフィックスに比べ、ストレージの性能は一見地味な指標だが、システムのインストールドライブをHDDからSSDに変更することで、ファイルへのアクセスというPCの基本的な動作速度が向上し、全般的なレスポンスの高速化という形で、ユーザーには体感できるというわけだ。
ノートPCに搭載できるドライブの数は限られているため、従来であればストレージはHDDかSSDの二者択一となり、スピードを取るか容量を取るかの選択を迫られていた。SSDのほうが快適な動作が可能になることはわかっていても、メインドライブが128GB程度の容量では心許ない、という理由でHDDを選んでいたユーザーも少なくないだろう。
しかし、今回の「LuvBook T」シリーズは、500GBの2.5インチHDDと、128GBのSSDの同時搭載を実現している。なぜこれが可能になったのか、その秘密は本体底面のカバーの中に隠れていた。HDD搭載ベイの横に、mSATA接続のSSDモジュールを接続するための専用スロットが用意されており、ここに128GBのSSDが搭載されている。mSATAスロットの採用により、本体内部で場所をとる2.5インチドライブベイを増やさなくても、SSD+HDDのデュアルストレージ構成が可能となったのだ。ちなみに、HDDはBTOオプションで1TBに変更することも可能だ。
CrystalDiskMark 3.0.1 x64で測定したSSDのアクセス性能 |
Core i7やGeForceなどのいわば「ブランドパーツ」を搭載するPCは多いが、一般的にそれらの真価が発揮されるのは動画エンコードやゲームなど、高負荷のプログラムを実行するシーンだ。一方SSDは、OSやソフトの起動、ファイル操作など日常的なオペレーションにおいてもその効果を実感できる。mSATA型SSDモジュールの採用により、"普段使い"からヘビーユースまでのあらゆるシーンで快適さを楽しめるのが、新「LuvBook T」シリーズの特徴といえるだろう。79,800円というスタンダードノートのカテゴリで、この構成を実現したところに意欲が感じられる。