近年、レノボ製品は大きく変革しようとしている。その象徴が「ThinkPad X1」や「ThinkPad Edge」といった製品といえるだろう。だが、この「ThinkPad X220」は、さしずめ“トラディショナルThinkPad”といったところだ。飾り気のないマットブラックのカラーリングや、かっちりとしたスクエアな面立ちは、見紛うことなくThinkPadの伝統的なスタイルといえる。

12.5型ワイド液晶を採用した絶妙なサイズ感

現行のXシリーズの中で、ThinkPadの伝統的なスタイルにもっとも近いのが「X220」。特に、歴年のThinkPadユーザーからの支持が厚い

「ThinkPad X220」は、12.5型ワイド液晶のワンスピンドル(光ドライブ非搭載)モバイルノートだが、この12.5型ワイドというサイズに妙味がある。他社のラインナップで13.3型ワイドのワンサイズ下となると、12.1型ワイドか11.6型ワイドがほとんどで、モビリティには優れるが、画面やキーボードに窮屈さを覚えることも多い。かたや「ThinkPad X220」は、フットプリントを抑えつつも13.3型ワイドノートに近い使い勝手が得られるというところが理想的で、ビジネスに用いるにも無理がない。


ボディの高さは最厚部が26.6mmで、この試用機のように6セルバッテリを装着するとさらに厚みが増してしまうが、それを含めて総重量は約1.46kg、バッテリ駆動時間が約8.9時間と、こちらもバランスがよい。ちなみに6セルバッテリは直販サイトの専用オプションで、9セルバッテリも用意されている。

左側面にUSB3.0、D-Sub15ピン、ディスプレイポート、USB2.0、無線LANスイッチと並ぶ。右側面にはSDカードスロット、Powered USB、LAN、音声入出力が配される。電源オフ時給電機能付きUSBは黄色になっている

何よりの利点は、ThinkPadならではの堅牢性だろう。天面と底面にマグネシウム合金を用いたボディは、多少の加圧や衝撃など物ともしないような頑強さで、持ち出すことに無用な神経を使わずに済む。モバイルマシンの命題ともいえる堅牢性については、深く信頼できるレベルである。

マグネシウム合金を採用した天板。見るからにタフな印象だが、実際に触れてみるとその頑丈さを強く実感でき、外に持ち出すことをためらわせないような作りとなっている

ボディの厚さは公称値19~26.6mmだが、6セルバッテリを装着した状態ではゴム足まで含めると最厚部が約35mm(実測値)になる。それでも、バッテリ駆動時間を考慮すると、4セルよりも6セルのほうがおすすめ

文字が見やすいノングレア液晶と伝統の7段配列キーボード

12.5型ワイド液晶は、映り込みが少ないノングレアタイプで、解像度も1,366×768ドットと表示領域の広さも十分。彩度がやや浅めだが、コントラスト感は高く、文字の視認性も良好だ。なお、現在では、注文時のカスタマイズでIPSパネル(画面サイズと解像度は同じ)も選択できるようになっているので、発色特性や視野角の広さを重視するならIPSがおすすめといえる。

液晶パネルは12.5型ワイドで、1,366×768ドット表示。写真の試用機は従来のTNパネルで、上下方向の視野角がやや狭いものの、文字の視認性は申し分ない。上部の液晶ベゼルが立体的な構造になっており、強度を確保。平面のディスプレイをゴリラガラスで覆うX1と異なり、ThinkPad伝統の手法で強度を高めている

また、キーボードは、ThinkPad特有の7段配列で、アイソレーションタイプではなくスタンダードな作りになっている。昨今のPC市場のトレンドからははずれるが、長年、ThinkPadを愛用してきた方には、この配列と打鍵感こそが大きな魅力になるだろう。もっとも、7段配列といっても過去のThinkPadとは若干異なり[Esc]キーや[Delete]キーが2段分と大きくなっていて、それに伴って周辺のキーレイアウトも多少変更されている。

もちろん、2種類のポインティングデバイスからなる「ウルトラナビ」も健在。タッチパッドとクリックボタンを一体化した「クリックパッド」は、クリック(特に右クリック)の検知の甘さが惜しまれるものの、指の滑りはよく、マウスポインターの追従性も高い。

キーボードは、ThinkPad伝統の7段配列で、キー自体もアイソレーションではなくオーソドックスなもの。心地よい打鍵感も、ThinkPadならではのものといえる。往年のThinkPadユーザーなら、こちらのほうがシックリくるはずだ

トラックポイントとタッチパッドの両方を装備。タッチパッドは左右クリックボタンと一体化されており、パッドを押下することで左右クリックが行える