パフォーマンスは申し分なし。意外なのは音の良さ
「X301」までは、消費電力や発熱量が小さい低電圧版CPUが搭載されてきたのに対し、今回の「ThinkPad X1」では通常電圧版のCore i5-2520Mを採用したことも大きな違いだ。また、メモリは標準で4GB、ストレージには128GB、160GBのSSDを選択できるなど、スペック面で不安材料は見当たらない。
SSDの読み書き速度を「CrystalDiskMark 3.0.1b」で計測した結果。シーケンシャルリード/ライトだけでなく、ランダムリード/ライトも速いことが「ThinkPad X1」の軽快な動作を支えている |
とりわけ優れているのは、OSの起動やシャットダウンにかかる時間が極めて短いことだ。電源ボタンを押して25秒でデスクトップ画面が表示され、さらにその15秒後には無線LAN接続も確立されて、インターネットを利用できる状態になっている。シャットダウンにいたっては、わずか5秒で電源が切れる。この機動力の高さは、ビジネスシーンにおいて何より心強い。
外部インターフェイスもかなり充実していて、USB2.0、USB3.0、eSATA(USB2.0としても使用可能)を各1基ずつ備えるほか、映像出力にHDMIとミニDisplayPortまで装備している。また、意外なことにこの製品は音質も良く、外観からは想像できないようなクリアさと音量感がある。内蔵スピーカーの音質もさることながら、ヘッドホン出力(端子はマイク兼用)の音は躍動的で疾走感があり、明らかにビジネスモバイルの域を超えている。
実は音質にもこだわった作りで、オーディオICにコネクサントの「CX20672」を搭載するとともに、ドルビーのPC向け音響技術「Dolby Home Theater v4」も採用している |
急速充電や強固なセキュリティがもたらす安心感
「ThinkPad X1」のバッテリ駆動時間は約5.8時間となっており、特段優れている方ではないが、バッテリ容量の80%をわずか30分で充電できる「Rapid Charge」機能を備えていることが心強い。実際に、試用機が筆者の手元に届いたときにはバッテリー残量がほとんどない状態だったが、インターネットの接続設定やWindows Updateの更新など試用前の準備をしている間にみるみる充電され、作業を始めるときにはもう80%を超えていた。また、一般的なノートのリチウムイオンバッテリーは、充放電を500サイクルくらい繰り返すとかなりへたってきて、バッテリー自体の交換を考えなければならなくなるが、「ThinkPad X1」のものは1000サイクル以上まで耐えられるという長寿命が魅力だ。
「省電力マネージャー」では、温度や充放電サイクルの回数など、バッテリーの状態を事細かくチェックできる |
さらに、ThinkPadの信頼性の要ともいえる強固なセキュリティ機能も健在だ。キーボード上の指紋認証センサーをはじめ、BIOSレベルで設定できる管理者パスワードやハードディスク(本機の場合はSSD)パスワードなど、二重三重のセキュリティで第三者による不正使用やデータの漏洩を防ぐことができる。また、これは個人ユーザーよりも企業のセキュリティ責任者向きだが、USB端子やメモリーカードスロットなどを個別に利用不可の設定に変更することも可能で、USBメモリなどを介したウイルス感染やデータ流出を未然に防げるようになっている。
BIOS上でスーパーバイザーパスワードやハードディスクパスワードなどを設定し、さらにBIOSロックをかければ、万が一の紛失や盗難に遭っても、重要なデータの流出は防げる。またスーパーバイザーパスワードやハードディスクパスワードなどを設定し、さらにBIOSロックをかければ、万が一の紛失や盗難に遭っても、重要なデータの流出が防げる |
特に優れた品質を持つものとして知られているからこそ、ブランドは成り立つ。ThinkPadはまさにそのひとつで、実用性と信頼性の確かさがビジネスユーザーの間で広く認められ、ビジネスノートの筆頭ブランドに上り詰めた。だが、ビジネスノートのユーザー層やニーズが時代とともに移り変わる中で、果たして伝統の継承だけでこれから先もブランドを維持できるのか、という問題に直面する。
ここで難しいのは、ThinkPadにはIBM時代からの愛用者が多く、思い入れもことのほか強いという、PCブランドとしての特異性だ。新しい世代への訴求を目指して思い切った刷新を図ると、場合によっては既存ユーザー離れを引き起こし、ブランド価値を毀損しかねない。こうしたリスクは、長い歴史を持ち、ブランドイメージが完全に定着しているThinkPadゆえのものだ。
「ThinkPad X1」は、見た目こそ今風に洗練されたが、使いやすさ、信頼性の高さ、動作の安定感は、これまでのThinkPadと何も変わりがない。時代を取り入れてはいるものの、時代を先取りするようなセンセーショナルさとも少し違う。むしろそうしたものは、いっときもてはやされたとしても、旬を過ぎれば一気に陳腐化してしまう。「ThinkPad X1」には、歴代のThinkPadと同様、流行に左右されない普遍性を見いだすことができ、「これなら長く使える」という確信が持てる。
(マイコミジャーナル広告企画)
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