動画のエンコードやゲームなどでヘビーにPCを使用するユーザーが、一度は手にしてみたいと思うであろう水冷PC。そんな、一部のパワーユーザーだけのものだった水冷の世界を手軽に楽しむことができる、ミニタワー型デスクトップPC「LUV MACHINES Lm-i740X-LC」がマウスコンピューターから登場した。早速、その中身と性能に迫ってみよう。
ついに水冷モデルが「LUV MACHINES」シリーズにも
高性能化するPCの流れの中で、常に課題となってきたのが冷却だ。安定した動作のためには、CPUから発生する熱を確実に除去する必要があり、一般的にはファンを利用した空冷式のCPUクーラーが用いられる。しかし、特に発熱が大きい高負荷時には、ファンを高速に回転させなければ冷却が間に合わないため、高性能なPCほど、パワーをフルに発揮する際の動作音や振動が大きくなる傾向にあった。
これを解決する方法の一つが、水冷式クーラーの採用だ。空気よりも効率的に熱を運搬できる冷却液を、CPUに取り付けられた冷却ヘッドとPCの背面にあるラジエーターの間で循環させることで、CPUの発する熱を外部へ排出する。冷却ヘッド自体はファンを持たず、冷却液は背面の大型ケースファンによって冷やされるが、一般的に大型のファンは低速で回転させても十分な風量を得られるため、動作音や振動を抑えることができる。
空冷式クーラーを搭載した一般的なPCでも、静音化のためのさまざまな工夫が行われており、Webブラウジングやオフィスソフトを利用した文書作成といった作業を行っているときは静かなものが多い。しかし、動画エンコードやゲームなど、CPUがフルパワーで動作する状態が長時間続く場合には、ファンの音が気になることも多い。これに対して水冷式クーラー搭載PCは、高負荷時にも安定して高い冷却性能を発揮でき、ファンも低速なので動作音も小さい。夜間に動画編集などの重い作業を行う際も、家族に気をつかわなくて済むので、ゲーマーはもちろん、多くのパワーユーザーにとってメリットがあるといえるだろう。
従来、マウスコンピューターの水冷モデルはゲーマー向けブランドG-Tuneの製品や、高性能デスクトップPC「MDV ADVANCE」シリーズなどに用意されていたが、今回新たにボリュームゾーンの「LUV MACHINES」に、79,800円からという魅力的な価格の水冷モデルが登場した。冷却ヘッドとポンプ、ラジエーター、それらを結ぶチューブなどは完全密閉構造になっており、冷却液が外に漏れることはないため、液の補充や交換は不要。水冷システムのメンテナンスは一切不要で、ユーザーは従来の空冷式PCとまったく同じように使用できるので、ビギナーにも安心だ。
ミニタワーケースでも余裕の拡張性
サイドパネルを外してケース内部を見てみると、水冷PCといってもその中身は実にすっきりとした構造になっているのがわかる。冷却ヘッドは小型で、ラジエーターも背面ケースファンと一体になる形で取り付けられているため、冷却液が循環するチューブに気づかなければ、水冷PCであることも忘れてしまいそうなシンプルさだ。
水冷システムがコンパクトにまとめられているため、拡張性はLUV MACHINESシリーズの従来モデルとまったく変わらない。ドライブベイとPCI Express x16スロットの位置は干渉しないように設計されているため、大型の高性能グラフィックスカードも問題なく装着可能で、PCI Express x1の空きスロットも2本用意されている。
高さ373mm、奥行きわずか382mmのミニタワー型ケースだが、5インチベイは2基(1基は光学ドライブ搭載済)、3.5インチベイは4基(1基はHDD搭載済)が用意されており、将来のストレージ容量の増強にも余裕で対応できる。なお、3.5インチベイは最上段の1基が前面よりアクセス可能となっており、オプションの18メディア対応マルチカードリーダーを選択した場合はそこに搭載される形だ。