長い間、モバイルマシンには「コンパクトなボディ」と「長時間駆動」が求められ、性能が軽視されてきた。その最たる例がネットブックといえるだろう。携帯しやすい小型ボディながら低消費電力なAtomをCPUに採用し、実用的な駆動時間を確保している。近年、流行となったCULV(超低電圧)版CPUを採用したノートPCも、同じ基準に依った製品ジャンルといえる。

ところが現在のモバイルマシンには、明らかにこれらの潮流とは異なる要素が求められている。携帯しやすいサイズ、実用的なバッテリ駆動時間に加え、ハイパフォーマンスというニーズも要求されているのだ。ここで紹介するマウスコンピューターの「LuvBook S」シリーズは、11.6型ワイド液晶を採用したコンパクトボディによる機動性と、スタンダードサイズのノートPC並みの高性能を両立したマシンだ。

11.6型ワイド液晶を採用したコンパクトなボディの「LuvBook S」シリーズ

アルミヘアライン加工で高級感を演出

まずは外観をチェックしてみよう。LuvBook Sシリーズにはレッド、ブルー、シルバーの3色が用意されているが、今回手元に届いたのはレッドの「LB-S210XR-SSD」。ビビッドなカラーリングの天板はアルミヘアライン加工が施され、樹脂素材にはないメタル感を放っている。また「mouse computer」のロゴタイプは立体的なエンボス加工になっており、外観上のアクセントとしての役割も果たしている。

LuvBook Sシリーズは、ビビッドなレッドとブルー、落ち着いたシルバーの3色から選べる
天板はアルミヘアライン加工が施され、金属の質感を強調。ロゴは浮き上がったエンボス処理となっている

パームレストおよびタッチパッド、左右クリックボタンも天板と同色でまとめられている。こちらはアルミヘアライン加工ではないが、天板と同色のカラーを採用することで統一感を演出。ちなみにブルーやシルバーも天板とパームレスト部のカラーが統一されている。なお、天板はラッチレス構造。ディスプレイを開閉することが多いモバイルマシンにはありがたい仕組みだ。

天板と同色となるパームレスト、タッチパッド、左右クリックボタン。ボディがコンパクトなため[半角/全角]キーは小さめだが、[Enter]や[Back Space]キーなど使用頻度の高いキーは押しやすいサイズだ
左側面にUSB 2.0×2、USB 3.0×1、メモリカードスロットを備える(左の図)。右側面にはオーディオ入出力、HDMI出力、D-Sub15ピン、ケンジントンロックホールが配されている(右の図)

標準電圧版CPUでスタンダードノート並みの性能

前述したとおり、モバイルマシンは機動性を優先するため、パフォーマンス面がトレードオフされてきた感は否めない。ところが、同モデルはスタンダードサイズのノートPCに使われる標準電圧版のCPUを採用し、性能を犠牲にしていない。特に試用したLB-S210XR-SSDは、CPUにCore i7-2640M、8GBのDDR3メモリ、80GBのSSDを採用し、11.6型ワイド液晶クラスの製品ではトップクラスといってよい。

早速、Windows エクスペリエンス インデックスのスコアをチェックしてみよう。7点をオーバーしたのは「プロセッサ」の「7.1」と「メモリ(RAM)」の「7.5」の2項目となった。Core i7-2640Mは2コア/4スレッド処理に対応し、ターボ・ブースト機能もサポート。定格クロックは2.80GHz、最大クロックは3.50GHzと、モバイルマシンで採用されるCPUとしては最強クラスといえ、7点オーバーは納得だ。またメモリは最高スコア「7.9」に迫る数値となった。64ビット版のWindows 7の採用により、8GBのメモリ領域が無駄になっていないことを示している。

Windows エクスペリエンス インデックスのスコア。プロセッサとメモリ(RAM)は7点を超す高いスコアとなった

ちなみに、CPUによる3Dレンダリングでパフォーマンスを計測する「CINEBENCH 11.5」での同モデルのスコアは「3.20pts」。一世代前となるCore i5-560M(定格2.66GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.20GHz)のスコア「2.16pts」と比べ約1.48倍、同世代のミドルクラスとなるCore i5-2410M(定格2.30GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大2.90GHz)のスコア「2.55pts」と比べ約1.25倍も高速という結果になった。

CINEBENCH 11.5
LB-S210XR-SSD(Core i7-2640M) 3.20pts
Core i5-2410M搭載ノート 2.55pts
Core i5-560M搭載ノート 2.16pts
CPUの発熱を銅製のヒートシンクで吸収、それを多翼タイプのファンで排熱する仕組み。高い負荷をかけると多少ファンはうなるが、標準電圧版CPUなのでうなずける。アイドリング時はかなり静かだ