日本ヒューレット・パッカード(HP)がこの2月から販売している「HP TouchSmart tx2 Notebook PC」(以下TouchSmart tx2)は、12.1型ワイド液晶(1280×800ドット)を搭載したモバイルノートPCだ。ディスプレイ部分を回転して裏返すことのできるコンバーチブル型の構造や、軽快に操作できる新しいタッチパネルなど、ベーシックモデルが税込99,750円というという手の届きやすい価格からは想像できない特徴を多数備えたユニークなモデルである。機能の詳細と使用感を確かめてみよう。

タッチパネル式の12.1型ワイド液晶(1280×800ドット)を搭載した「HP TouchSmart tx2 Notebook PC

ディスプレイが反転するユニークな構造

まず、構造上の最大の特徴となっているコンバーチブル型のボディについて見てみよう。「コンバーチブル型」とは、キーボード側とディスプレイ側をつなぐヒンジ(ちょうつがい)の部分に回転2軸式のパーツを用いることで、ディスプレイを裏返してタブレットのような形状で使うこともできるようにしたPCのことを指す。言葉で説明するとイメージしにくいが、下の連続写真を見ていただければすぐ理解していただけるだろう。

ディスプレイを反転させてたためばタブレットスタイルに

この構造を採用したことにより、普段は通常のノートPCとして使いつつ、タッチパネルを利用した手書き主体の操作を行うときなどはシンプルなタブレットスタイルで利用するといったことが可能だ。

また、打ち合わせ中に使うノートPCとしても、コンバーチブル型のマシンはとても便利だ。資料となる文書ファイルなどを見ながら話をしているとき、確認のためその画面の内容を相手にも見せたいという場面はしばしば発生する。そんなときコンバーチブル型なら、電源コードなどを気にしながらノートPC自体を持ち上げて相手に向けたり、相手に席を立って自分の側まで来てもらったりしなくても、画面をクルリと回転させるだけで画面を見てもらうことができる。また、タッチパネルを搭載しており、そのまま画面に触れて操作することが可能なので、Webコンテンツなどを相手に実際に体験してもらいながらプレゼンテーションを行うといった芸当も可能だ。

この回転2軸ヒンジがコンバーチブル型の構造を実現。ぐらつきはほとんどなく、強度にも不安はない

このように、コンバーチブル型のノートPCは、普通の形状のノートPCではできない面白い使い方が可能になっている。一般的には、そのユニークさはビジネスシーンで力を発揮することが多いと考えられるが、メモを取る機会の多い学生ユーザーなどもメリットを享受できるだろう。

標準搭載されている「Windows Journal」を使って、手書きのメモなどを作成できる

静電容量式タッチパネルを新たに採用

さて、日本HPのコンバーチブル型ノートPCは、TouchSmart tx2の前にも「Pavilion Notebook PC tx2505/CT」というモデルが存在しており、一見しただけでは両機種はほとんど同じ製品であるかのようにも思える。しかし、実は大きく進化している部分がある。それは、この製品の要であるタッチパネルの仕組みだ。

従来製品の「Pavilion Notebook PC tx2505/CT」

従来機種では「感圧式」のタッチパネルを採用しており、これは文字通りパネルに圧力が加えられたことを感知して、画面上のどの場所がタッチされたかを検出する仕組みだった。画面を何で押さえるかは問わず、ペン、指、爪の先などさまざまなもので操作可能なのがメリットだが、パネル上には物理的に画面が押し込まれたことを感知する層などが必要となる。そのため、どうしても画面の手前に一定の厚みを持つ透明の層を設ける必要があり、若干ではあるが画質の低下などにつながっていた。

それがTouchSmart tx2では、「静電容量式」と呼ばれるパネルに変更された。これは、パネル面に設けられた特殊な薄い膜に指先が接近した際に発生する、膜の電気的な状態の変化を感知することで、タッチを検出している。原理としては、ノートPCのキーボード手前に設けられているタッチパッドとほぼ同じだ。指先や専用のペンなどで操作する必要があるが、画面を押し込まなくても軽く接触する程度で操作が可能なほか、画質への影響を小さく抑えられるのが特徴。また、複数の点が同時にタッチされたことを検出する、いわゆる「マルチタッチ」機能を実現できることも静電容量式のメリットだ。

TouchSmart tx2では、パネルの変更で画質や操作感を向上させたほか、マルチタッチならではの新しい操作スタイルが可能となっている。