日本HPの「Pavilion Notebook PC dv7/CT」は、17インチワイド液晶を搭載したPavilion Notebook PCシリーズのフラッグシップモデルである。高度な基本性能を有するほか、高いコストパフォーマンスも魅力の1つとなっている。
Pavilion Notebook PCのフラグシップモデル「dv7/CT秋冬モデル」 |
最小構成でも十分にフラグシップの名に恥じない処理能力を発揮するが、基本が安価な分、多少のコストをはらってパワーアップしても、他社の同等製品よりお手頃な価格で購入できる。今回はハードウェアの基本をおさらいしつつ、より良い構成となるようパーツごとに吟味していこう。
まず、標準のOSはWindows Vista Home Premium(SP1)となっている。オプションで64bit版のUltimateが選択できるのはユニークだが、よほど特化した用途に用いるのでなければ、32bit版のHome Premiumを選択しておけばいいだろう。
ちなみに、64bit版OSというのはあまりなじみがないだろうが、端的には3GB以上の物理メモリを無駄なく使えるというメリットがある。大容量の物理メモリを搭載すれば、64bitをサポートした動画編集・画像処理アプリケーションなどで高いパフォーマンスを示すとともに、複数のアプリケーションを同時使用する際にもその威力を発揮する。
ただし、OS自体が高価なことと、アプリケーションおよび周辺機器のデバイスドライバの互換性に若干の不安が残るため、比較的古いプリンタやフリーウェアなどを愛用している場合は、回避しておくのが無難だ。
チップセットはモバイル Intel PM45 Expressで、無線LANはIntel Wireless WiFi Link 5100(IEEE802.11a/b/g/n)という標準的な構成。上位のWiFi Link 5300シリーズよりもデータ転送速度は劣るものの、MIMO構成1×2のアンテナで最大300Mbps(理論値)という高速な転送が可能だ。また、WWANこそサポートしていないが、Bluetooth機能をデフォルトで搭載する。
CPUは、IntelのCore 2 Duo プロセッサ P8400(2.26GHz)かT9400(2.53GHz)の2択となる。ともにFSBは1066MHzと一世代前のデスクトップ向けCPU並みであり、どちらでもノートPCとしては高い性能を示す。
プロセッサナンバーの「T」は通常電圧版、「P」はいわゆる低電圧版であることを示しており、両者のTDP(熱設計電力)は、T9400が35Wなのに対してP8400は25W。つまり、P8400のほうがバッテリーの持続時間に直結する消費電力が低いという、よりモバイルユースを志向したCPUといえるだろう。
とはいえ、幅400mm、重量約3.7kgのdv7/CTを頻繁に持ち歩くということもそうはないだろう。L2キャッシュも倍の6MB設けており、パフォーマンスの差は周波数の差以上にあるといえる。家置きでメインとして利用するのならT9400を選択したい。
メモリはPC2-6400(DDR800)の2GBか3GB。4GB以上は64bit版Ultimateのみ選択できるようになっている。下位のdv5/CTでは4GB(2GB×2)構成も選択できるのだが、本稿執筆時点では32bit版OSでは非サポートとなっていた。ただし、2GBあるいは3GBでも申し分はないともいえる。
OSの項で触れたとおり、32bit版Windowsでは4GB以上のメモリを搭載しても3GB程度しか活用することができない。加えていうなら、ユーザーアプリケーションは最大2GBまでしか利用することができないのだ。また、大容量の物理メモリはアプリケーションの並行作業で威力を発揮するが、反面、ノートPCにはあまりうれしくないデメリットも生む。つまり、消費電力および発熱の増大だ。通常電圧版のCPUを推しておいて矛盾しているととられるかもしれないが、メモリではCPUほどのパフォーマンスの差は出ない。消費電力と発熱の増大により、かえって処理性能が低下することもある。
個人的な経験からいうと、Vistaは1GBメモリでは少ないが、2GBあれば十分と感じているので、あえて大容量を積むことはないだろう。残念なのは2GBの構成がDIMM1本なところだろうか。安価には済むのだろうが、1GB×2のデュアルチャネル構成も用意しておいたほうが、少しでも高いパフォーマンスを求めるユーザーにはありがたいのではないだろうか。