ThinkPad X200」は、「リアル・モバイル」を掲げる「Xシリーズ」の正統な後継機種。Intel Centrino 2プロセッサー・テクノロジーを採用した高いパフォーマンス、B5ワンスピンドルの携帯性、モバイル性能のバランスに優れた人気モデルである。今回は、カスタマイズの幅も広い「X200」の実機を試用して、その魅力にふれてみよう。

ハイパフォーマンスモバイルノート「ThinkPad X200

まずは、ハードウェア面に目を向けてみよう。X200が搭載するCPUはCore 2 Duo P8400もしくはP8600だ。第二世代のモバイル向けCore 2 Duoで、デスクトップ向けCPU並みのFSB1066MHzを備えた通常電圧版モデルのため、「X200s」が搭載するSL9400や「X301」のSU9400などの低電圧版CPUと比較すると若干省電力性を犠牲にしているが、その分パフォーマンスは高い。

カタログスペックでTDP(熱設計電力)25Wとなっている発熱量だが、キーボード部・底部ともにそれほど熱くなることはなかった。膝の上において長時間使用しても問題なく、排気ファンの音も気にならないほどだ。

モバイル機とはいえ、より多くのユーザのニーズに細かく対応するため、ハードディスクの選択肢を広げている点もいい。

試用機は160GB(5400rpm)だったが、80/250/320GBのほか、より高速な転送を求めるユーザ用に7200rpmの160GB、暗号化機能「FDE(Full Disk Encryption)」を搭載した200GB(7200rpm)、さらには64/128GBのSSDを用意しており、予算や目的に合わせた選択が可能だ。FDEとSSD以外のハードディスクを搭載した場合は、Intelの「ターボ・メモリ」も選択できる。これは、Vistaの「ReadyDrive」などと連携し、2GBのフラッシュメモリに頻繁に使用するデータを記憶しておくことで、OSやアプリケーションの起動を高速化するオプションだ。

「ウルトラ・コネクトIIアンテナ」を搭載したモバイル性能は、受信感度も良好。無線LANアダプタとしては、Intel WiFi Link 5100およびWiFi Link 5300を選択できるようになっており、5300なら3×3のMIMO構成で複数のアンテナを利用して、理論値450Mbpsという高速な通信を実現する。BluetoothやKDDIの通信モジュールを利用したWWANといったオプションもあり、モバイルが主となるユーザには心強いだろう。

デザインは、ビジネスにも対応するシンプルでフラットなつや消しのブラック。トップとボトムカバーにはマグネシウム合金を採用しており、堅牢性も高い。

ThinkPadおなじみのシンプルなデザイン

操作部に目を移すと、伝統の89キーは、ディスプレイがWXGA(1280×800ドット)のワイド液晶を採用したことで横幅が広がり、ハイエンドモデルの「Tシリーズ」などと比較しても、キーピッチにほとんど差がない。

また、打鍵感も優秀であり、薄型パソコンにありがちなカチャカチャと軽い感じは一切ない。かといって重いわけでもなく、押下時のしっかりとした打鍵感は、さすが「ThinkPad」と思わせる設計だ。キートップに印字された文字の視認性も高く、比較的暗い場所でも問題なく使用できる。

そして、これもまた「ThinkPad」ならではの、キーボード中央に搭載された赤いボタンの「トラックポイント」。A4モデルなどに見られるタッチパッドとのデュアル構成ではないため、初めて使う場合にはさすがに慣れが必要だろうが、使い込んでくるとこれほど便利なものはない。ホームポジションに手を置いたままでポインタ操作やスクロール操作ができるので、マウスのない外出時などでの快適さは抜群である。

89キー(Fnキー付き)のフル・サイズキーボード