現在、各社がこぞってミニノートクラスのパソコンを投入しているが、モビリティ性能の確保は当然としても、スペック、デザイン、価格のいずれかの面で不満の残る製品も多い。日本HPの「HP 2133 Mini-Note PC」は、発表会で「あらゆる妥協を排した」という宣言のもと公開された。その新製品の実力がいかほどか、実機を用いて検証する。

“フルスペック”ミニノート「HP 2133 Mini-Note PC

まずは、パソコンの基本となるスペック面から見ていこう。「HP Mini」には、59,850円のスタンダードモデルと、79,800円のハイパフォーマンスモデルが用意されている。CPUはともにモバイル向け超低電圧版の「VIA C7-M ULV」を搭載し、クロック周波数はそれぞれ1.2GHz、1.6GHzとなっている。チップセットは「VIA CN896」で、Windows Vista Ultimate、Enterprise、Business、Home Premium、Home Basicの各バージョンのインストールを保証する「Windows Vista Basicロゴ」を取得したもの。

また、負荷に応じてプロセッサの周波数と電圧を高低に切り替える「VIA PowerSaver」機能に対応している。試しに「CrystalCPUID」の「Real Time Clock」機能を使用してみたが、アイドル時には300MHz台までクロック数が下がっているのを確認できた。同機能により、全体のCPU電力消費を約40%程度削減できるということで、モバイル中心に使う場合は心強いだろう。

今回試用したマシンでは、OSにWindows Vistaの上位モデルでWindows Vista Business、メモリPC2-5300 DDR2-SDRAMの2GB、HDDはSerial ATA、5400rpmの160GBを装備する。Windows XP、512MB、SSDという構成の多いミニノートと比較すると、モバイルノートかスタンダードノートに近いスペックだ。特にメインマシンとして使用するなら、余裕のあるHDD容量が嬉しい。

Windows エクスペリエンス インデックスのスコア

グラフィックはチップセット内蔵で、最大256MBの専用メモリを搭載した「Chrome9 HC」。DirectX 9を正式にサポートしており、Windows Vista Businessを搭載した評価機では、Windows Aeroも問題なく動作した。ただし、用途を考えるとそのように使うユーザーはめったにいないだろうが、最近の3Dゲームや高解像度の映像の再生にはさすがに向いていない。2Dクラス、あるいは「YouTube」程度の画質の動画共有サイトならそれほど問題はないとみていい。

負荷が気になる場合、上位モデルのWindows Vista Businessなら、Windows XP Professionalへのダウングレード権がついている。日本HPでは「リカバリメディアキット」や「HP Mini」のXP用ドライバなどをしっかりと用意しているので、職場や自宅の環境などに応じて選択してみるのもいいだろう。

ネットワーク性能だが、上位・下位モデルとも有線で1000BASE-Tに対応し、無線は上位が802.11a/b/g、下位がb/g。上位モデルの場合はBluetoothもサポートする。

バッテリ駆動時間は、3セルバッテリ搭載時最大約2.3時間、上位モデルの6セルバッテリ搭載時で約4.6時間となっている。急速充電が可能な「HPファスト・チャージ・テクノロジ」に対応しており、万が一の場合でも1.5時間で90%まで充電することが可能だ。

上位モデルに付属する6セルバッテリを装着したところ